見出し画像

第14回:たった一人を熱狂させる/なぜブランドは破産するのか

こんにちは、株式会社TO YOUの岩下です。

台風が来ております。みなさまどうか無理はなさらず、安全第一でお願いします。R for Dも当然お休みです。

第1回から第4回で「たった一人を熱狂させる」という弊社コンセプトと渋谷・神泉で営業しているセレクトショップR for Dにどう落とし込んでいったのか、という全体像をお話してきました。

第1回:たった一人を熱狂させる
第2回:たった一人を熱狂させる/R for Dの場合
第3回:たった一人を熱狂させる/R for Dの仕組み(前編)
第4回:たった一人を熱狂させる/R for Dの仕組み(後編)

第5回目では私の自己紹介もしましたので、第6回以降はもう少しディテールに注目してミクロに切り分けたテーマを取り扱っていきたいと思います。
テーマ設定は気まぐれです。

せっかくなので続けたいなと思っていますが、どこまで持つのか。
毎日1つ文章を書くことを続けるというのは結構大変なことなのだと毎日感じます。でもやっぱり反応をいただけると頑張れる気がするので、ぜひスキやフォローなどお願いします。

第14回のテーマは「なぜブランドは破産するのか」です。

今日もまたツイッターで見つけたニュースから。

私がツイッターを眺めている感じでは、東コレブランドのブランド力がないから、知名度の割に売れてないからみたいな論調のコメントが見られましたが、実際のところそれはほとんど関係ありません。

ブランド(メーカー)はブランド力や知名度がどうこうで破産するのではなく、作ったものが売れなかったから破産するのです。

単純化して言い切ってしまうと、1着しか作らなければ1着しか売れなくても破産はしませんが、10,000着作って1着しか売れなかったら破産するということです。

これはエルメスだろうとシャネルだろうとコム・デ・ギャルソンであろうとフォーエバー21であろうと無名ブランドであろうと一切関係がない鉄の掟です。

本質的には予測と実績が乖離するから破産するのです。

予測と実績が乖離する理由はほぼこの2つで説明ができます。

◼️需要予測があまりに的外れ
◼️初期投資や固定費を回収しなければならない

◼️需要予測があまりに的外れ
これは元を辿っていくと「自分が作りたいもの」と「他の人が買いたいもの」がミスマッチ状態になっているということです。ある意味純粋に需要予測を外して生産超過になっている、またはそれを薄々感じていながら作ってしまうケースです。

生産数を減らさずに解決する方法は「自分が作りたいもの」を変化させて「他の人が買いたいもの」へと近づけていくか、反対に「他の人が買いたいもの」を変化させて「自分が作りたいもの」に近づけていくか、「自分が作りたいもの」を欲しがる人をどうにか探し出すか、いずれかの方法になるでしょう。

例えるなら自分は林檎を作りたいけど、お客さんが食べたいのが梨だったとしたら、自分が林檎ではなくて梨を作るか、お客さんが梨ではなくて林檎を好きになるよう働きかけるか、どこか他の場所で林檎が好きな人を見つけ出すか、いずれかの作戦を考えて実行しないとミスマッチは解消されません。

これについて考え、企画を立てて実行するのが一般的にはマーケティングと呼ばれる分野です。

一方生産数を減らせるならば、不本意かもしれませんが破産は避けれられそうです。

◼️初期投資や固定費を回収しなければならない
初期投資や固定費(開発費、デザイン費、試作費、広告費、人件費、賃料など)の売上に関係なく発生する費用・支出があるといわゆる損益分岐点というものが制約として出現します。
これは逆算してどれだけ売上がないと利益がゼロかマイナスになってしまうか、という分水嶺のことです。

毎月の固定費が50万円であれば、粗利(売上ー売上原価)を毎月50万円確保しなければ通帳残高はどんどん減っていく一方ですね。

※マニアックですが粗利(売上ー売上原価)よりも貢献利益(売上ー変動費)の方がより正確な表現です。あまり気にしなくてもいいです。

このことがなぜ問題になるのかというと、手堅く客観的に粗利は30万円くらいだろうと純粋に予測できていたとしても、初期投資と固定費を賄うためには粗利50万円が必要なので、無理な目標設定をせざるを得ないからです。

こちらは予測精度の問題ではなく、ビジネスモデルの問題なのでより深刻です。

解決するには固定費を削減するのが近道ですが、削減する以前に投資の段階で慎重に検討をしておくことが大切です。とはいっても事前に予測を当てるのはそんなに簡単ではないので、基本的なリスクマネジメントとしては固定費はなるべく少なくすることを考えるのが良いでしょう。

私の知っているブランドに、特にファッション業界にファンが多く、順調に売れていてもなお自宅で展示会を実施している堅実なブランドがありますが、このようなブランドはビジネスの側面から考えても生き残りやすいと思います。

ビジネス上級者は逆に最初に大規模に固定費をかけて、いきなり100億円配ってしまったり、どんと100万着作って価格競争力を追求したりしますが、これは綿密な戦略と高度で組織的な実行能力があって初めて成り立つハイリスク・ハイリターンな方法なので、ブランド(メーカー)として事業をはじめる場合にはおすすめできません(そもそも最初はインパクト出せるだけのお金もないでしょうし)。

第3回の記事でレントシェア型のビジネスモデルがR for Dの賃料、人件費という固定費負担を緩和する仕組みを説明しましたが、それも今日の話と同じ理由でビジネスモデルに組み込まれています。
破産して閉店しなくて済むように、長くブランドを紹介する場として続けられるように、ファッション好きが集まるコミュニティとして信頼を得られるように、という私たちの思いを実現するための仕組みです。

とごちゃごちゃ言ってみましたが、破産したということはとにかくチャレンジしたということなので、そこについてはまっすぐに尊敬したいと思っています。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

株式会社TO YOUでは、それぞれの「たった一人を熱狂させる」を実現したいビジネスパートナーを募集しています。
ファッション業界でも、そうでなくても、どちらでも大丈夫です。
私たちはより多くの人が熱狂を形にできる社会がいい社会であると考えています。

あなたの熱狂を私たちに教えてください。そして一緒に実行しましょう。
反対の場合もあるかもしれません。
ビジネスのバックグラウンドがあるあなたであれば、そこでどんな熱狂を起こせるのか、私たちにも一緒に考えさせてください。

ご興味をお持ちいただけたら、Twitterのフォロー、DMやメールでのご連絡もお気軽にお願いします。

Twitter: @Iwashitayusuke

Mail: iwashita@deedfashion.com

第1回:たった一人を熱狂させる
第2回:たった一人を熱狂させる/R for Dの場合
第3回:たった一人を熱狂させる/R for Dの仕組み(前編)
第4回:たった一人を熱狂させる/R for Dの仕組み(後編)






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?