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アイディア溢れる組織を作るには?

先日、昨年度の新入社員研修を担当させてもらった企業さんから嬉しいお言葉を頂きました。
「去年の新人さんたちはひとりも辞めてないんだよ!」と。

イベント業界の企業さんなんですが、元々この業界自体がかなり人の回転が早い傾向にあります。とても想いの素晴らしい企業さんなんですが、それでも、ハードな現場仕事が多いためか、毎年1年以内にで辞めてしまう方がいたそうです。
実際に研修に参加してくれていた社員さんたちにもお会いしましたが、大変そうな現場の中、積極的に働かれていました。

さて、その研修の中で僕が何をしたかと言うと、名目はコミュニケーション研修なのですが、高度なコミュニケーションのテクニックを教え込むなどといったことは特にしていません。
ゲーム感覚のワークでコミュニケーションを楽しみつつ、同時にみなさんが潜在的に持っている良さを引き出しながら、「ここはその感性を遠慮なく出していい場所なんだよ」という空気感を全員で作っていきました。
その研修の後半に、みんなでイベント事業の企画案を練るというプログラムが入っていたのですが、その時には、良い意味で年齢や立場など関係なく、フラットな意見が飛び交うようになりました。自由なアイディアがどんどん生まれ、自然とミーティングにおける適正な役割分担なども生まれていきました。

僕は本来誰もがコミュニケーション上手だと信じています。だって、子どもの頃はすぐに友だちと仲良くなれちゃってましたよね?そう、みんな元々はコミュニケーションの天才なんですよ。

必要なのは、余計な遠慮を剥がすことと、自分自身を信じ、相手のことも信じること。

お互いにどこかよそよそしいコミュニケーションなんてしてたら、それぞれの持つ良さを出しにくい環境になってしまいますから、当然豊かなアイディアも生まれませんよね?

豊かなアイディアが生まれるような環境は、年齢や立場に関係なく、お互いの”存在”を尊重し合あえる人間関係の中でこそ育まれます。このような職場だったら、ネガティブな理由で退職してしまう人はほぼいなくなるのではないでしょうか?

時代に合わせた変化の必要性はわかっているものの、まだまだ多くの組織が、アイディアを出せー、イノベーションを起こせーと煽るような空気感をつくってしまっていると思います。こういう昔の体育会系のようなやり方は、かえって人の潜在的な感性を圧迫してしまうため、一時的に数字上の成果は出せるかもしれませんが、かえって、柔軟性のある優秀な人材が辞めてしまうような結果を招いてしまうでしょう。

まさに今、リーダーの在り方が問われていますね。

組織内コミュニケーションにおいて本当に大事なこととは?


以前、大手自動車企業のグループ運動会での司会を担当させてもらっていたことがあります。毎年、社員さんの歌唱コンテストがあって、とても素人とは思えないクオリティだったのですが、ある年に特別賞を受賞した方のパフォーマンスが、今でも強烈な印象として残っています。
その方は、あるラップの曲を大胆に替え歌にして歌っていたのですが、その内容が「研修でやったお辞儀30度、翌日から誰もやってねぇ~。」といったもので、聴いた瞬間、えーこれをステージで歌っちゃうの!?と衝撃を受けました。
ステージ横にフツウに社長いるし、しかも会場のお客さんたちもめっちゃウケてるし。。。

これ自体は、とても面白かったのでよかったのですが、
そこで明確になったのは、もはや誰もその研修やコミュニケーションの仕方が良いとは信じていないんだなということと、自分がしっくり来ていないコミュニケーション方法なのに、それも仕事だからと仕方なくやっているんだなということ。
中には、礼儀など必要な学びもあるのだとは思いますが、きっとまだまだ多くの企業さんが、こういう形式的な研修を、ただ慣習としてやってしまっているんだろうなぁと感じました。
まぁ、大きな企業さんほど、これまでのやり方から変化を起こしていくのは、決して簡単なことではないんでしょうが。。。


しかしながら、やはり時代の変化に伴って、これまでのような研修や社内コミュニケーションのやり方ではダメだ!と考えている企業さんも増えてきているようです。

僕のやっている研修は、企画書もなければ、研修時の紙資料もありません。パワポも使いませんし、研修時には社員さんに軽装になってもらうような、おそらく研修業界から見てもアウトローなスタイルです。
限りなくシンプルな状態で参加してもらうことで、日頃よりも”感じ取ること”を大事にしてもらっています。
そんなスタンスでやっていると、不思議といつも、感覚の柔らかい方がどこからか僕を見つけてくれて、研修や講演のご依頼を頂きます。

昨年末、名古屋トヨペットさんでの社内研修を担当させてもらったのですが、この時の研修担当チームのみなさんが持つ展望に、僕はとても希望を感じました。

ことの始まりは、昨年僕が日本赤十字社さんの愛知県献血運動大会にて基調講演を担当させてもらった時のこと。
(その時の記事がありました https://www.bs.jrc.or.jp/tkhr/aichi/2018/07/post-67.html

その会場にいらっしゃった名古屋トヨペットの人事担当の方が、これだ!と感じたようで、その後僕に研修のご依頼をくださいました。
その方は、以前から、これまでの社内研修のやり方に疑問を感じていて、何か新しい風を吹かせられないかと考えていた矢先に、ちょうどタイミングよく、僕の講演に参加していたようです。まさにご縁ですね。

その方の推薦により、僕の研修が社内決済にかけられました。しかし、僕の研修には企画書や資料が特にありませんので、研修担当チームの方々との打ち合わせの様子を経営陣のみなさんに伝えていただき、無事予算が下りました。

この過程をよくよく振り返ってみると、とても感覚的な連鎖が生まれています。
ひとりの人の直感を仲間が信じ、自分たちが良いと思ったものを想いを込めて伝えた。ただ、それだけなのです。

まだまだ人の想いよりも、紙資料やデータが重んじられる傾向がどの企業にもあるとは思いますが、より本質を見極めようとするまっすぐな想いがあれば、加工し過ぎたプロモーションなどは、特にいらないんだと思います。

自分の感覚を信じ、その想いを勇気を出して誰かに伝えてみること。そして、そういう人の想いを大切にして、実際に変化を起こそうと仲間たちと協力して行動を起こしていくこと。
そんなコミュニケーションや人間関係が社内で生まれていけば、きっともっと明るく楽しく、イノベーティブな雰囲気はどんどん広がっていくと思います。

感性の連鎖を生み出すと、アイディアが実現する。


アイディアはどこから生まれるのでしょうか?
時代に革新を起こしてきた偉人たちのように、スーパーアイディアをひらめいてしまう天才的な人たちも確かにいます。

しかし、そういうアイディアを世の中に広めていったり、そのための組織の雰囲気を良くしていったりするのは、もっともっと身近なレベルのアイディアの積み重ねから生まれるものだと僕は思います。

むしろ身近なアイディアなんて、誰もが常日頃から思い付いているもので、決して特別なものではありません。
しかし、多くのアイディアが浮かんでは、”試しにやってみる”ことすらされずに消えていっています。

原因は、浮かんできたそのアイディアを素直に伝えられる環境が、今の社会の中には、あまりたくさん存在しないからではないでしょうか?
特に会社などでは、”言えない”空気感がむしろ普通になっているところも少なくないと思います。

特に、その組織のリーダーが保身的な場合は、感性を大事にまずやってみるという考えは承認され辛いですよね。
それよりもどうしたら失敗しないか?を考えすぎて、資料の量がやたら多い、あまり中身のない同じような会議が続く、そして結局やらない。なんてパターンに陥ってしまいがちです。
こういう組織は、感性豊かな若い世代にとっては、とても居づらいですから、入社してもすぐに辞めてしまったりします。
感性に蓋をすることは活力を失うことに等しいですからね。
若手が辞めてしまうのは、若手のせいではありません。


教育フィールドでの活動を通して、今の若い世代に触れてみると、本当に豊かなアイディアを有り余るほどに持っているんだなぁということを痛感します。
以前、愛知県岡崎市の光が丘女子高校で特別授業を担当していた時のことです。授業を通して、自分を表現することやエンタテイメントの在り方について考えてもらうのですが、毎年大人がびっくりするようなアイディアを生み出してくれていました。
ある年は、演劇の”なんにでもなれる”という特性を活かして、自分たちのアイディアを表現してもらうという授業を行ったのですが、最初に、変な遠慮はしない!まずは自分たちが楽しもう!という空気感を、ワークを通して作り上げたあとは、僕がほぼ何もしなくて良いくらい、生徒さんたちが自発的にチームミーティングを行っていました。
その後の彼女たちの演劇表現は、それはもう爆笑の嵐でしたね。
そして、自然と生まれる他チームを尊重する雰囲気も素晴らしかったです。

きっと自分の感性を素直に表現できる喜びというのは、周りにも伝搬していくのでしょう。
ここには、誰かの正しさが誰かを否定するような空気感は存在しませんでした。


みんながみんな、それぞれが違っていい。
そのマインドを持つだけで、自分自身を承認し、他者をも承認できるようになります。

そして、チーム内でその空気感を共有すると、話し合いの中で、アイディアがまたアイディアを生み出すような連鎖が生まれます。
そうすると、自然と軽やかな気持ちのまま、じゃぁやってみようか!と、行動を起こせるようになるのです。

アイディアを実行に移すことは、ひとりではなかなか困難ですが、感性を共有できる仲間たちとだったら、恐れずにどんどん実行していけるんですよ。

これからの時代、リーダーはどう在れば良いのか?


企業の組織開発の経験を通して、確信したことがあります。

それは、結局は経営者のマインドが組織すべてに影響しているということ。

人は、皆エゴで動きます。
エゴを強引に理性で押さえようとするアプローチも世の中にはたくさんありますが、結局それも”誰も見ていないところ”では、エゴが漏れ出てしまっているので、やっぱりエゴで動いてしまうんでしょうね。       

リーダーが、保身や支配のマインドを無意識下に抱えたまま自分のエゴに動き出すと、周りもまた同じように保身や支配のための行動をとります。多くの組織の中に政治上手が増えていくのはこのためです。
保身や支配のマインドは”正しさのぶつかり合い”を生み出すので、この状態ではお互いがわかり合うことは難しいです。意見の強い人がその正しさを押し付け、優しくて共感性に優れた人が我慢をするというような、とてもギスギスした組織になっていくでしょうね。

一方で、名付けるとしたら、ハッピーエゴとでも言ったらいいでしょうか、
これまで資本主義的な豊かさと人間が自然な感性を活かして生きられる縄文時代的なあり方、この双方が統合していく未来を実現していこうとするエゴに動くと、周りもまた自分の感性を大事にして、相手の存在そのものを尊重するようになります。

今、欧米諸国をはじめ、先進的な考えを持つ企業ほどアート性を経営に取り入れ始めているのはこのためでしょう。
より”感じる”ことを大事する傾向が世界的に広がっています。

これは、旧資本主義時代の終演と共に生まれた”自然な流れ”なのです。

ただし、こう書くとなんとか頭で理解してできそうな気もするのですが、
そもそも、僕ら人間は自分のエゴのモードがどうなってるかなんて、自分自身で気づくことができません。
だからこそ、自分の無自覚領域を知ろうとするアプローチが、今とても重要なのです。

まぁかく言う僕自身も、自分のエゴを追求した結果、なかなか手痛い失敗も数々経験しましたので、結局失敗を通して学んだというのが、正直なところですけどね(苦笑)

だから、素直に自分の無自覚領域を見てもらおうとする(ある意味、弱さを他者にさらけ出すことができる)人は、本当に勇気があってすごいなぁと、僕の歴代のクライアントさんたちなんかを見てても思います。本当に尊敬の念しかありません。
そして、失敗からしか学べなかった僕にとっては、それがとても羨ましいです(笑)

だって、心を暴かれちゃうのって、プライドが高い人ほど怖いことだもんね。自分一人で抱えて頑張ってきた人ほど、なかなかできないものなのです。


あるひとりのクライアントさんがこんな風に言っていたことがあります。
「自分ができないことは、どんどんアウトソーシングして、潔くプロに助けてもらったらいいんだよ!はははー。」と。

あぁーこの人超素直だわぁと、その時感じました。
自然と人から愛されてしまう才能を持っていた人でしたね。

彼は、誰もが思い付かないような斬新かつ面白いアイディアを生み出し、業界に革新を起こしたり、
普通だったら敵対してしまうようなライバル会社と仲良くなって、業務提携してしまったりと、まさにイノベーター的存在でした。


”強がらず素直に生きる”
”和をもって貴しとなす”


そんなリーダーが、これからの時代を引っ張っていく人たちなのかもしれませんね。

~無工夫、平素に在れ~

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