逗子海岸で見たミライ
「海に行こう」
いつもと反対方向の電車に乗った。
と言っても旅行ではなく今日は家族リトリートだ。
いや、ワクワクするという意味では旅行と一緒だろうか。
仕事柄リトリートは何度かしているが、
普段と違う場所での対話には新しい発見があるとがわかっているから、
自ずと気持ちが高揚して足取りが軽くなる。
異世界への入り口
1時間強電車に揺られて逗子駅に降り立った。
自分の体にはまだ東京の感覚が残っていたが、ビーチサンダルで道ゆく人や、麻のシャツを着た紳士がカフェの店員さんと話込む姿を見るうちに少しずつ普段と違うモードに入っていった。
15分ほど歩き住宅地の一角にある今回の場所に到着。スペースマーケットで借りた築80年の一軒家の門をくぐる。門を境に違う世界にきたような、タイムスリップしたような感覚になるから不思議だ。
広い玄関で女性オーナーが気さくに迎えてくれた。
ひと通り場所の説明を受けソファーに腰掛けると、広い緑の庭が広がり東京のマンションでは聞こえない鳥のさえずりが心地よく響いた。
どうやらいい1日になりそうだ。
未来会議開幕
今回のリトリートタイトルは【未来会議2019】
我が家の未来について。
子供を畳の上に転がし一息ついたら、テーブルの上に夫婦それぞれが用意してきた未来のイメージ写真を並べるところからスタートだ。
リトリートまでにこのイメージ写真を集めるのがまた楽しい。なんとなく遠足やキャンプの準備に似ている。何を持って行こうか。相手がどんな写真を持ってくるのかわからないのもまたドキドキする。
写真を並べながら学生時代を思い出した。専門的にデザインの勉強をしていて、よくコンセプトビジュアルを作っていた。その頃はこんな場面を全く想像していなかったが、不思議と繋がってくるから年齢や経験を重ねるのは面白いと思う。
違いの発見
写真を見ながら対話やワークをしていく中で違和感に気づく。
わりと普段から会話をする夫婦だから、その中で自然に未来のことも話してきた。こんなことができたらいいね。あんなふうになったらいいねと意気投合していた認識だった。
これがいざ写真となると世界観の違いが顕著に見えてくる。時間軸の違いだったり、規模の違いだったり、感性の違いだったり。
アレレ、、、。
大分違ったなと思いつつこれは本当に興味深い体験だった。
言葉のコミュニケーションの本質も改めて実感できた。
グゥ
あっという間に時は過ぎていくが、お腹が時刻を教えてくれる。
借りた場所のオーナーが教えてくれた食堂に向けて散歩にでる。
細い路地を抜けるとそこには海岸線が広がっていた。
そして蒸し暑い。まだ梅雨も抜けきっていないようだ。
地魚のお刺身とアジフライ定食を注文したら、想像を超えるボリュームに驚いた。お店の人が端の席で何やら計算していたり、仕事途中らしき人や・犬を連れた老夫婦・旅行者などそれぞれの時間が流れている。
リトリート場所に戻る前に砂浜に少し出ることにした。砂浜まで来ると潮の香りが強くなり、天気や湿度のせいで海は白みがかって見えたが、それもまた綺麗だと思えた。
子供に初めての海を見せようと思ったら抱っこ紐の中でスヤスヤ寝ていた。彼はどこでも寝られる子になりそうだ。
家族のミライ
場所に戻り、対話を再開する。
写真を見ながら世界観の違いをそのまま楽しんだり、逆に違うと思ってものが一緒だったと気づいたり。
そしてもう一つ大きな発見があった。
イメージ写真やそこでの対話を組み合わせることで、今までなかった家族の新たな世界観が登場したのだ。
この瞬間はとても貴重だった。
自分だけでも相手だけでも生まれることのない世界観。
その場所・人・時間が全て揃ったからこそ出てきた世界。
ミライの一端が見え、また楽しみが増えた1日となった。
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