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最近観た美しい線の数々
夏に中国に赴く直前、羽田空港から更新したnoteがある。渡航前に観た展示会の美しいジュエリーのことを手短に書いた。
じつは本日、このときと同じように羽田空港の搭乗ゲートでこれを書いている。またちょっとのあいだ日本を離れるのだけど、今度は日本とほぼ変わらずネット接続ができる米国。中国の時ほどの不便さは感じていないけれど、ネット経由のやりとりが可能だからこそいろいろとやることがあって、日本の日中が向こうの夜間にあたるという時差の関係もあって、あまりのんびりしてはいられないのは確実だ。
この数ヶ月、いろいろと観たけれど書いていなかったことがいくつもある。それぞれ後ほど個別のエントリとして書ければ良いけど、とりあえず今は備忘録的に簡単に書いておくことにする。
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9月、自分の誕生日に観に行ったのはSOMPO美術館のロートレック展。この日、たまたま次男を東中野まで送る用事があって、その後に西新宿まで歩いて観に行くことにした次第。
![](https://assets.st-note.com/img/1730940204-GhR6W5z0nydVAgwQSmZL8KsO.jpg?width=1200)
以下リンクは公式サイト。
ポスターなど版画をよく目にするトゥールーズ=ロートレック。この展覧会では版画のみならず素描が多く展示されていて、画家の手によるストロークを直接見ることができる。
展示解説によれば、5000点弱ある彼の素描から、ほぼ毎日描いていた計算になるとのことだった。数字がでてくると、わたし自身の「一日一画」を連想してしまう。わたしはもう7500点に迫ろうというところだけど、トゥールーズ=ロートレックは幼少時からのカウントでその数字とのこと。あらためて短命だった彼の無念さを実感した。
トゥールーズ=ロートレックといえば版画の大胆な構図が印象深い。画面構成よりも描写に注力した素描では、対象の動きをとらえようとしたその瞬間の視点と手の動きが想像できて興味深い。人物も動物も、生命感というか躍動感を探っていたのが想像できる。クロッキーをやる人には共感できるところが多いと思った。
ちょうど今、汐留でもベル・エポック展をやっている。
そしてもうじき再開する三菱一号館美術館でも、リニューアル記念の展覧会はトゥールーズ=ロートレックだ。
SOMPO美術館で素描を先に観る機会があったので、これらの展覧会での版画作品では、素描を通して選ばれた線の表現として鑑賞できそうだ。
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10月の終わり、仕事帰りに八丁堀にあるギャラリーまで足をはこんだ。比較的早くに職場を離れられる現在のタイムシフトのおかげだ。
そのギャラリーはかわうそ画廊。ビルの4階にあり、小規模ながら小品の壁面展示に適した空間になっている。
ここで開催されていたのは現代作家の個展。わたしは最近まで存じ上げていなかったのだけど、今年前半にたまたまソーシャルメディアで作品を見かけて気になっていた花岡寿一氏のエッグテンペラ画。作家在廊日ということだったので伺うことにした。会場での写真はないので、いただいたDMの写真を載せておこう。
![](https://assets.st-note.com/img/1730943192-9dcWkwVvoU1nAuyQT7rYtfpO.jpg?width=1200)
テンペラと聞いて思い出すのはワイエス。わたしはやったことのない技法なので経験から語ることはできないけれど、顔料を卵黄とお酢で溶いて絵の具を作り、細い線を重ねて描く技法だ。非常に細かい描線で濃淡などが表現される。いつだったか、レオナルド・ダ・ヴィンチが油絵にも卵黄を使っていたのではないかなんてニュースがあり、それで卵黄を使う技法が気になっていた。
画廊の営業時間の終わりかけ。在廊中の花岡氏には、このエッグテンペラという技法のことやモチーフについて、また、制作意図など、まるでインタビューのように図々しくもいろいろと聞いてしまった。聞いた話をネットで書いてもよいかどうかを確認するのを忘れてしまったので、詳細は書かないけれど、やはり百聞は一見に如かず、いや、聞いた話の場合は百見は一聞に如かずということになるのか、とにかくとても良い刺激を受けた。お疲れのところ丁寧に応対してくださった花岡氏には感謝するばかり。
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そして昨日。夕方に長男の通う高校で三者面談があり、早めに出られるわたしの勤務時間でもぎりぎり間に合いそうになかったので、午後に休暇を取っていた。これ幸いにと上野公園の東京都美術館で時間調整をすることにした。
東京都美では田中一村の大規模な回顧展が行われている。
https://www.tobikan.jp/exhibition/2024_issontanaka.html
幼少時からの作品、芸大中退から中央画壇になかなか認められない苦悩の時代、米邨あらため一村としての試行錯誤、そして50歳にしてわたった新天地奄美大島での制作が、展示室ごとにわかりやすくまとめられている。とくに50歳からの挑戦は、わたしにとってもタイムリーで、いろいろと考えさせられる内容だった。
![](https://assets.st-note.com/img/1730948890-kFJAv7hSf543o0gYHGwQPz8W.jpg?width=1200)
田中一村も、その描線が美しい画家だ。動植物のモチーフが多いが、そののびのびとしたストロークを目で追いながら、彼の筆致を想像するととても楽しい。
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さて、ちょっと中途半端になったけれど、搭乗時間が来てしまった。まずはこれにてこのnoteを公開。あらためて後ほど書き直す内容があるかもしれません。