売り手市場のエンジニア採用を制する「マーケットインのペルソナ設計」とは?
みなさんこんにちは!ポテンシャライトの新井と申します!
■プロフィール :
- 新卒でIT/Web業界専門の転職エージェントに
入社
- キャリアアドバイザーとして3年間求職者の転職
支援に従事
- ポテンシャライトにジョインし、HRパートナー
としてスタートアップ企業の採用支援に携わる
突然ですが、みなさんに質問です。
あなたが転職活動をしている前提で、求人媒体を開くと、媒体上でのメッセージボックスに2社様からスカウトが届いていました。
1社目 Google
2社目 株式会社新井テクノロジー
どちらの会社に返信しますか?99%の方がGoogleのスカウトに返信するのではないかと思います。
求人倍率の高い「エンジニア採用」において、1名を採用することのハードルがどんどん上がっています。
ポテンシャライトの採用支援先企業様で、採用成功している企業様の共通点の一つは「身の丈にあったペルソナ設計」です。
「身の丈」というのは、採用市場における御社の人気度のイメージです。
自社(自己)認知として「自社はあまりエンジニアからは人気がないのではないか」と思っていらっしゃった場合は人気がないでしょうし、「他企業よりも応募が集まっており、優秀なエンジニアを採用できている」と思っていらっしゃった場合は人気がある、ということになるかと思います。
そして、ペルソナ設計の際に欠かせない要素は「マーケット視点」だと感じており、僕がキャリアアドバイザー出身ということもあり、過去の経験も踏まえつつ、その重要性をお伝えできればと思います。
1. 「これまで」のペルソナ設計
1-1. 「これまで」=「企業本意」のペルソナ設計
まずペルソナとは何か?
ペルソナとは:
- 採用したい人物像
- 求人票の「必須要件」「歓迎要件」が該当
従来のペルソナ設計方法は下記ブログに記載しておりますので、ご興味のある方はご覧ください。
「これまで」のペルソナ設計は、「こんな人材を採用したい」という「企業」本意のペルソナ設計がなされてきました。もちろん、自社にピッタリマッチするペルソナの設計は重要ですし、必ず実施べきことであります。
しかし、エンジニア採用において御社が求める人材(「企業」本意のペルソナ設計において設定された必須要件など)は、他の人気/著名企業が同じく求めている場合がほとんどです。なぜなら、エンジニアはスキルの可視化がしやすいと同時に汎用性が高いからです。
つまり、
上記の図の2点は把握しておくべきだと考えています。
例えば、下記はあるWebベンチャー企業のエンジニア採用における「求職者ペルソナ」に対して、「採用意欲(採用希望度合いの強さ)」を数値(1〜5) で表現した図になります。
わかりにくいかと思うので、説明させていただきます。
■Webベンチャー(企業) ⇒ Web大手(求職者)
「5」と記載があります
つまりWebベンチャー企業は、Web「大手」企業に在籍する「求職者」を採用したい度合いは5点という意味です。
■Webベンチャー(企業) ⇒ Webベンチャー(求職者)
「5」と記載があります
つまりWebベンチャー企業は、Web「ベンチャー」企業に在籍する「求職者」を採用したい度合いは5点という意味です。
■Webベンチャー(企業) ⇒ SIer
「2」と記載があります
つまりWebベンチャー企業は、「SIer」に在籍する「求職者」を採用したい度合いは2点という意味です。
■Webベンチャー(企業) ⇒ 受託・SES
「1」と記載があります
つまりWebベンチャー企業は、「受託・SES」に在籍する「求職者」を採用したい度合いは2点という意味です。
上記をご覧になっていただけるとご理解いただけるかもしれませんが、Webベンチャー企業はそれぞれの領域の求職者によって「採用意欲」が異なります。SIer出身、SES・受託企業の方は優先度が低くなっていることがわかります。
1-2. 採用上のライバル企業は?
では、「採用意欲」が最も高いWeb大手・Webベンチャーに在籍しているエンジニアを採用しようとした時に、バッテイングする(ライバルとなる)企業をイメージしてみましょう。
例えば、
・SmartHR
・Sansan
・ラクス
・楽天
・Yahoo
上記の企業様と、エンジニア求職者様の”争奪戦”が起こることは避けられませんね。
これらの企業出身者と採用市場における争奪戦をするためには、求職者様に自社を認知してもらい魅力を伝えるために「採用マーケティング」は必須になってきます。
・採用ブランディング
・採用広報
・SNS運用
・イベント(ウェビナー) など
上記は採用マーケティング業務の一部になりますが、仮にこれらを全て完璧に実施し、採用力を最大限に高めたとしても上記のような大手Web企業に勝てるかはわかりません。
つまり、最も優先順位が高い「ペルソナ」を採用していくには、多大なコストがかかる上、採用可能性も低いということです。
そこで必要になってくるのが、「マーケットイン」のペルソナ設計です。
2. 「マーケットイン」のペルソナ設計とは
2-1. 求職者様の「志向」を考慮する
次は「求職者様」視点の話をします。
各領域(Web大手 / Webベンチャー / SIer / 受託・SES) に所属する「求職者様」が、それぞれ「Webベンチャー」企業に転職をする意欲(転職希望度)は下記で表現することができます。
わかりにくいかと思うので、説明させていただきます。
■Web大手(求職者) ⇒ Webベンチャー(企業)
「2」と記載があります
つまり、Web「大手」に所属する求職者様は、Web「ベンチャー」企業に転職をしたい度合いは 2点という意味です。
■Webベンチャー(求職者) ⇒ Webベンチャー(企業)
「2.5」と記載があります
つまり、Web「ベンチャー」に所属する求職者様は、Web「ベンチャー」企業に転職をしたい度合いは 2点という意味です。
■SIer(求職者) ⇒ Webベンチャー(企業)
「5」と記載があります
つまり、SIerに所属する求職者様は、Web「ベンチャー」企業に転職をしたい度合いは 5点という意味です。
■受託・SES ⇒ Webベンチャー(企業)
「5」と記載があります
つまり、受託・SESに所属する求職者様は、Web「ベンチャー」企業に転職をしたい度合いは 5点という意味です。
上記をご覧になっていただけるとご理解いただけるかもしれませんが、SIと受託・SESに所属する求職者様は、Webベンチャー企業への転職意向は高めです。
つまり極端に言うと、「何もアクションを起こさなくても、すでに自社への志望度が高い」求職者様が存在するということです。
2-2. 求職者様のインサイトが起因
では、なぜSI、受託・SESエンジニアは、Web企業を希望するのか。
それは、求職者様の「インサイト」が起因しています。
インサイトとは:
「人を動かす隠れた心理」のこと。潜在ニーズともいえます。
インサイトについて詳しく知りたい方はこちら↓
下記をご覧ください。
◆ SI/受託・SESエンジニアのインサイト一例
- 開発をして終わりのサイクルから脱したい
- 開発サービスの”その後”に関われない
- 長期的(プロダクト思考)に開発/運用をしたい
- あくまでクライアントのプロダクト開発になる
- プロダクトの企画/運用に入りにくい
- プロダクト開発の仕様が決まってから情報が
降りてくることが多い
- エンジニアとして自社サービス開発をしなくて
良いのか
- 漠然とした不安(キャリア側面)
SI、受託・SESエンジニアの方々はこのようなインサイトをお持ちのため、「事業会社のWeb系企業」を希望する傾向にあります。
また、仮に事業会社のWeb系企業が採用活動において「SIエンジニア」をターゲットとした場合、採用上のライバルは、
・SI
・受託企業
になることが多いです。そのため、事業会社からすると競争優位性を持った上で採用活動を行うことができます。
3. ターゲットにすべきペルソナとは
3-1. 求職者の希望×企業の希望=採用難易度
前段が長くなってしまいましたが、これ以降が本題です。
前項でご紹介した上の2つの図についてですが、
<左の図>「採用意欲」
<右の図>「転職希望度」
と表現いたしました。
この2つの事象をうまく掛け合わせることによって、何かできることがあるのでは?と考えた結果、
「採用難易度」
を算出することができると気づきました。
下記をご覧ください。
※数値が高いほど採用難易度が高い
※計算式:採用意欲÷転職希望度×2=採用難易度
上記の表から、企業と求職者間でミスマッチが起こっていることがわかります。
たとえば、一番上の行では、
「Web大手企業の求職者様」が「Webベンチャー企業」に対する数値は「2.0」
「Webベンチャー企業」が「Web大手企業の候求職者様」に対する数値は「5.0」
自社としてはぜひ採用したいが、求職者様からの意向は高くないという状況です。
つまりこの差分が、「採用難易度」になると考えました。
3-2. 採用意欲×採用難易度=優先度
採用難易度がわかれば、自社にとって優先すべきペルソナが算出できるのでは?と考え、下記のような表で整理してみました。
ペルソナの「採用優先度」を数値化すると下記のようになります。
※計算式:採用意欲÷採用難易度=優先度
前項で算出した「採用難易度」に「採用意欲」を照らし合わせることで、ターゲットにすべきペルソナの優先度が算出できました。
ここからわかることとしては、
・Web大手、Webベンチャーの求職者様
- 「採用意欲」と「採用難易度」ともに高い。
・SI、受託・SESの求職者様
- 「採用意欲」に対して「採用難易度」は低い。
つまり、SI、受託・SESの求職者様の採用優先度が高くなります。
わかりにくいかと思いますので、前述した「採用難易度」と「採用意欲」を図で表すと下記のようになります。
この差分(オレンジ色の部分)が大きいペルソナほど、採用成功の確度は高くなるといえるのではないでしょうか?
多くの企業様はこの差分に気づかず、誰もが求めるようなキラキラ人材を求め続けて採用難に陥ってしまう場合があります。
とはいえ、「やっぱりドンピシャの人材がほしいよ」という声が聞こえてきそうですが、一度「なぜそのペルソナでなければならないのか」を整理してみるとよいかと思います。
可視化してみることで、本質的には必要でない経験やスキルがでてくる可能性も高いです。
その上で、採用難易度の高いペルソナを採用すべきという結論が出た場合は、それもひとつの解だと思っています。重要なのは、それを認識できているかどうかです。
最後に
いかがだったでしょうか?
採用戦略を立案する上で全ての起点となる「ペルソナ設計」
なかなか採用に繋がらない場合は、採用活動の根本となるペルソナの見直しが必要かもしれません。
ペルソナ設計含め、ポテンシャライトでは採用/人事の支援をしております。
当社にご興味をお持ちの方はお気軽にご連絡をいただけますと幸いです。
ポテンシャライトのノウハウを取り入れたATS、Opelaにご興味をお持ちの方はこちらよりご連絡いただければと思います。