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プロダクトマーケティングマネージャー(PMM)が牽引したプロジェクトとそこから学んだ3つのこと

こんにちは。

freeeでPMM(プロダクトマーケティングマネージャー)をしているuchikadoです。

今回は私がPMMとして関わったプロジェクトについてお話します。
PMMという働き方について具体的にお話ができればと考えております。

なお、PMMの役割については先日同じチームのisekiが書きました。

簡単な自己紹介

私は2015年11月からfreeeにインターンとして入った新卒1期生です。
入社後は5年ほどで法人セールス、カスタマーサクセス、中部支社の立ち上げ、カスタマーサクセスマネージャー、カスタマーマーケティングと幅広くキャリアを積んできました。

そして2020年4月にPMMに異動しました。
PMMでは、製品利用率向上のための全社横断のセミナー企画(年100回近く開催)や、今回の申告freeeのリリースにおけるビジネス側の取りまとめを行っています。

大学在学中に中小企業診断士の資格を取得し、そこからずっとスモールビジネスに関わる仕事についてます。

freee流PMMとは

freeeにおけるPMMとは業務が多岐に渡ります。

PMMはプロダクトの価値をタイムリーかつ適切にユーザーに届けるミッションを担っています。freeeではPM(Product Mageger)は「何をつくるか」に責任を持ち、ENG、UX、QAなど開発組織を取りまとめています。
それに対してPMM(Product Marketing Mageger)は「売れるプロダクトとなるよう一緒に考え」「どう売るか」に責任を持ち、マーケティング、セールス、サクセスなどビジネス組織を取りまとめるチームです。

その中でも大きな役割として、新しいプロダクトのローンチがあります。
PMMでは、ローンチに至るまでの進捗管理から訴求ストーリーづくり、LPや提案資料といったコンテンツ作成まで、プロダクトが世に出るまでの網羅的なマーケティング活動を行なっています。

クロスファンクションで関係者多数のプロジェクトでは、期日通りに物事を進めるのは大変です。
複数のタスクの同時並行で行っていると、抜け漏れが発生したりします。
freeeでは新しいプロダクトを出す際にGo To Marketリストというものを運用しております。

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Go To Market戦略とは、製品の市場投入戦略とも呼ばれ、新たな製品を世に出す際の全体図のようなものです。
どのような顧客に対して、どのようにアプローチしていくかを営業やマーケティング観点で整理したものになります。
基本的にはこのリストを運用していくと論点の漏れがなくなっていきます。

開発側はプロダクトマネージャー(PM)が、ビジネス側はPMMが、このGo To Marketリストのオーナーを担当しました。
プロジェクトによっても立ち回りが変わってきますが、今回のプロジェクトではリリースに向けて事業部のメンバーと全体プランニングを行い、必要に応じてコンテンツ作成を行っていきました。

プロジェクトの概要

今回お話するプロジェクトはfreeeが2021年2月8日にリリースした「申告freeeの一般ユーザー開放」です。

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今まで会計事務所の方に対して提供していた申告freeeの法人税機能を一般企業向けに提供開始しました。
端的にいうと、一般の企業であっても小規模であれば、ご自身でも法人税の申告ができるようになるというものです。

市場調査をした時点で、会計事務所の方に頼むことなくご自身で法人税の申告をしている人が一定数いることがわかり、メインターゲットに定めました。

また、freeeでは一般ユーザー向けにサービス提供を行う一方、会計事務所の方に対して認定アドバイザーというパートナープログラムを提供しております。
そのためユーザーと認定アドバイザー双方へのメッセージを考える必要があります。

仕様についてPMやエンジニアとディスカッションしつつ、ユーザー側の事業部とアドバイザー側の事業部それぞれ関わることになります。
その他にもサポートやPR、法務、経理など関わってプロジェクトを進めていきました。

上記のような前提を踏まえ、今回のプロジェクトにおけるPMMとしてのミッションは、以下でした。

・ユーザー側の事業部と共に販売計画の作成および実行支援
・ユーザーと認定アドバイザー双方へのメッセージの発信
・プロジェクト全体の進捗管理

そして、プロジェクトに取り組んできた成果として、2021年2月にリリースまでこぎつけることができました。
今回はプロジェクトを通じて得られた学びをお伝えしたいと思います。

学び①ただ伝えるだけではなく、伝え“切る”ことが何より大事

今回のプロジェクトのキックオフがあったのが2020年4月でした。
その時にはすでに緊急事態宣言が発令されており、freee社内ではフルリモートが始まっていました。

プロジェクト概要にも述べたように、今回関わる関係者が非常に多くおり、幹となるメッセージが必要でした。

まず行ったことは、「ユーザーや認定アドバイザーの方が半年後、1年後どういう状態であってほしいか。」を言語化することです。

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コンセプトメイキングやコピー作成などを得意とするブランドチームの協力も借りつつ、それぞれの行動変容とメッセージを整理していき、メインメッセージを決めました。

小さな企業の決算に「セルフ申告」という選択肢を

これを軸にしてマーケティング活動などを行っていきます。
※会計事務所の方に頼むことなくご自身で法人税の申告をすることをセルフ申告といいます

メッセージの方針は決まりました。
しかし、新しい製品が出るので売ってください というだけでは事業部に動いてもらうことはできません。
そしてリモートの状況下だとコミュニケーションの手段も限られるため、人に動いてもらうためのきっかけを作りづらい環境でした。

事業部に動いてもらうためには、メリットだけではなく感情としても一緒にやりたいと思ってもらうことが大事です。
そうしたことから社内でこのプロジェクトへのムーブメントを作る必要がありました。

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freeeは社内に事業部がいくつもあって、PMMが横串機能を担っています
私が行ったのは、実際に販売を行う事業部にリリース内容を発信し続けることです。
例えばユーザーが現在持っている課題感や、このプロジェクトで解決したいことなどを関わる人たちにどんどん発信していきました。

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中でもインパクトが大きかったのは、社内向けに遊び心を加えたイベントを企画したことです。

freeeの重要な行動指針の中に「Hack Everything★」というものがあります。
※freeeマジ価値指針について

インパクトをより大きくするためには楽しさも加えていこうというものです。

今回はただ単に製品や仕様の説明をするだけではなく、社内メンバーを巻き込んで実際に法人税申告書作成の様子を動画にして放映しました。

100名近くのメンバーがこのイベントに参加し、全社的にリリースへの期待感を持ってもらう工夫をしました。

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リモートの環境だと一方的に情報を受け取ることになりがちですが、リリースの背景や進捗などを楽しく見れるコンテンツを準備していきました。

このプロジェクトに関わるとメリットが大きいだけではなく楽しそうというムーブメントを醸成していきました。
一緒に仕事をしたいと思ってもらうことが大切ですね。

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また、そういったイベントと並行しつつ、実際に販売を行う事業部に製品の仕様を伝えるという説明会も別途開催し、社内周知を行っていきました。

こういった取り組みの成果もあり、このプロジェクトの社内SNS部屋にはプロジェクト開始から半年で150名もの人に参加いただきました。


しかし、社内で伝えておくべきメンバーに正しく伝わり切っていないという事態も発生していました
リモートということもあり、今まで対面でやっていたコミュニケーション以上に伝わっているかどうかの確認が重要となります。

社内SNSで一方的に共有しただけでは結果として不十分だということを痛感しました。
本来であれば、誰に伝えておくべきかを事前に整理し、伝わっているかの確認をしておくべきでした。
大きな問題には発展しませんでしたが、プロジェクトの進捗に影響を与えてしまいました。

また社外についても同様です。
誰にどういったことを伝えるのかを明確にしていく必要があります。

認定アドバイザーの方に対しては1年間で延べ30名以上の方とリリースについての個別相談の場を設定し、今回のリリースの狙いやターゲットを伝えていきました。

社内外へのコミュニケーションの取り組みもあり、リリース後大きな問い合わせをいただくことはありませんでした。

ただただ発信するだけではなく、正しくその発信内容が伝わり切ったのか確認する大切さを学びました

学び②答えはユーザーが持っている

今回のリリースの前に、2020年11月頃に一部のユーザーに対してテスト販売を企画しました。

これは狙っていた層に対して販売ができるのか、そして購入した方々が正しく製品を使えるのかを本販売前に検証するためです。
今回のターゲットとしては、今まで決算を自分でやっていた小規模法人です。
あらかじめテスト販売で検証するべき項目を定めておき、一定の期間を区切って販売活動を行い、その後振り返りを行いました。
検証項目の振り返りのオーナーだけではなく、テスト販売で営業メンバーが使用する提案資料もPMMで作成します。

短い期間の中で多くの検証が必要だったので、事業部のメンバーには非常に負荷をかけて取り組んでもらいました(非常に感謝しています)。

テスト販売の結果は非常によいものでした。

・マーケ:目標比110%の商談を創出
・セールス:受注件数、受注率ともに目標比100%
・サクセス:ユーザーからの問い合わせ数目標比90%

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テスト販売で得られた知見をもとに、製品に関するガイドやハンドブックを作成し改良を加えていきました。
これはテスト販売で一部つまずいていたユーザーの声を回収した成果です。
ユーザーが理解できる文言への変更やヘルプの配置など、改善案をリストにしてプロジェクトに関わるメンバーで優先度を議論しました。

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テスト販売前では机上の空論になっていた点が、実際のユーザーの声を収集することにより、より具体的になっていくことを実感することができました。
どこがネックになってユーザーの利用率が下がっていきそうかどこをクリアにすれば解決できそうかなど、具体的な議論ができ、テスト販売からリリースまでの限られた期間で修正を行いました。
テスト販売時にユーザーがつまずいていた点がリリース時には解消され、ユーザーに製品の価値を届けることができました。

マジ価値を考える上で、ユーザーの声は非常に大切ですね。

※マジ価値とは:ユーザーにとって本質的(マジ)な価値があると自信を持って言えることをする。

学び③理想ドリブンで物事を考える

freeeの重要な行動指針の中に「理想ドリブン」というものがあります。

※freeeマジ価値指針について

これは、現在のリソースやスキルにとらわれずに理想から考えるというものです。

普通に考えたらできなさそうと思えるものでも、それが理想な状態としてあるべきであれば、現在のリソースやスキルにとらわれずにどう実行できるかを思考します。

今回のプロジェクトの例でいうと、案として出たものが、認定アドバイザーや国税庁の方と一緒にイベントができないかというものでした。
通常、国税庁という公的な機関がfreeeのような一民間会社と一緒にイベントするのは難しいです。
しかし、電子申告を増やしたいという国策とも合致したことから、freee側からアプローチし、議論を重ね開催にこぎつけました。

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いざやろうと決めてからのスピード感は非常に早かったです。
社内関係者から先方に問い合わせし、開催実現に向けて動いていきました。
先方と会議をし、実現可能となった時は理想ドリブンの大事さを感じました

PRチームとも連携し、企画書作成や会場、配信の手配、集客など準備を進め、そして2021年2月のリリース後のタイミングにイベント開催に至りました。
イベントには200名以上の方にリアルタイムで視聴され、大盛況でした(動画はアーカイブされ、その後も閲覧されるコンテンツとなりました)。
結果として、イベントアンケート回答者の7割以上が今回のリリースについての話を聞きたいと回答をいただき、順調なリリースができました。

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イベント準備を協力いただいた社内メンバーも多くいます。(配信メンバーには本当感謝してもしきれないです。)
本当に多くの方に支えられました。

普通だとできなさそうということで思考が止まってしまいそうなところだったのですが、理想ドリブンで物事を考えることによって、大きなことを成し遂げることができるのだと実感しました。

まとめ

PMMに配属され1年経過したところですが、いろいろと失敗を重ねつつ、多くの方に協力してもらいながらここまでやってきました。

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リリース時にプロジェクトメンバーでくす玉を割りました。
リリース日に飲んだお酒はおいしかったです。

またこういった達成感のある仕事をしていきたいですね。

多くの人と関わりながら物事を前に進めているPMMの業務の手触り感が伝わると嬉しいです。

これからもスモールビジネスにマジ価値を届けていけるように頑張っていきます!!

freeeではPMMを積極的に採用しています

プロダクトの領域拡大やユーザーの変化に合わせて、PMMの役割がますます広がっています。カジュアル面談という形でお話しする場をセッティングすることも可能ですので、ぜひ以下フォームよりお気軽にご連絡いただけますと幸いです。

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