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モラルハザードとは、コンビニ受診のことである

「モラルハザード」という経済学の用語があります。モラルとは、「モラルハラ」などの形で使われるように倫理や道徳意識のことを指します。またハザードとは危険という意味です。

よって、モラルハザードというと、なんとなく「倫理観を失って問題行動を起こしている」みたいなことをイメージする人がけっこういるみたいなのですが、実はこれは誤用です。

実はモラルハザードとモラルとは関係がなく、それどころか、モラルハザードは特に悪いことですらありません。

これはどういうことなのでしょうか?順番に説明していきましょう。

先に結論から言うと、経済学におけるモラルハザードとは、医療などにおいて保険を持っている場合に、窓口で支払う価格が、真の価格がよりも安いため、、その結果として行動変容が起こり、本来必要としているサービスよりも多くの量のサービスを消費してしまう現象のことを指します。

つまり、モラルハザードは価格とサービスの価値とがかい離しているために生じる現象に過ぎず、別に良いことでも悪いことでもありません。酔っぱらって救急車を呼んで病院に行きスタッフに暴言を吐くのは、モラハラやカスハラかもしれませんが、モラルハザードとは呼びません。

ちなみに医療保険に市場原理を適用してもうまくいかない理由は2つあり、それは①モラルハザード(Moral hazard)と②逆選択(Adverse selection)であると医療経済学では言われています。

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