NHK交響楽団第2000回定期公演
去る12月16日(土)、17日(日)、NHK交響楽団の第2000回定期公演がNHKホールにおいて行われ、本日NHK FMで当日の実況録音が放送されました。
今回は、マーラーの交響曲第8番「一千人の交響曲」が演奏されました。独唱はソプラノがジャクリン・ワーグナー、ヴァレンティーナ・ファルカシュ、三宅理恵、アルトがオレシア・ペトロヴァ、カトリオーナ・モリソン、テノールがミヒャエル・シャーデ、バリトンがルーク・ストリフ、バスがダーヴィッド・シュテフェンス、合唱が新国立劇場合唱団、児童合唱がNHK東京児童合唱団で、指揮はファビオ・ルイージでした。
NHK響にとって2026年の創設100周年と並ぶ節目となる第2000回定期公演ということもあり、聴衆の投票によって演奏曲目が検討され、結果としてマーラーの交響曲第8番が選ばれたことは、1986年の第1000回定期公演でメンデルスゾーンのオラトリオ『エリヤ』をヴォルフガング・サヴァリッシュの指揮で演奏したことと並ぶ壮挙と言えるでしょう。
それだけに、今季のあらゆる公演の中で最も重厚な独唱陣を配置し、演奏者も万全の体制で臨んだのも当然のことです。
そして、こうした取り組みは、実際の演奏を濃密なものに仕上げました。
以前に比べれば音楽の表情に見合った表現の起伏の度合いが高まっているとはいえ、依然として曲の難易度にかかわらず平然とした様子で演奏するのがNHK響です。
この日の公演は、そうした楽団の特徴が大枠では保たれつつ、時折意外な相貌が姿を現した点に少なからぬ魅力がありました。
一方、終始濁りのない演奏を維持したことは一人ひとりの奏者の集中力の高さを物語っており、それだけ聞き手の注意を惹きつけて離さないものでした。
このような演奏を背景としつつ8人の独唱者がそれぞれの持ち味を活かしながら、時に奥行と広がりを示し、時に峻厳さを見せつつ歌唱する様は、合唱陣の手堅い歌唱とともに、作品の輪郭を鮮やかに描き出しました。
何より、ルイージがその内奥に秘めている熱気を隠すことなく披露したことは、「一千人」の中に指揮者も含まれることを聞き手に改めて訴えかけるとともに、「生まれたのはアルプスの南ながら、活躍の場はアルプスの北」という評価をわれわれに思い出させるものでした。
以上のように、楽団が大いに注力して迎えた公演は、主催者の意図する以上の成果を収めたと言えるでしょう。
<Executive Summary>
The NHK Symphony Orchestra the 2000th Subscription Concert (Yusuke Suzumura)
The NHK Symphony Orchestra held the 2000th Subscription Concert at the NHK Hall on 16th and 174th December 2023 and broadcasted via NHK FM on 23rd December 2023. In this time, they performed Mahler's 8th Symphony, Symphony of a Thousand. There were eight solo singers and two chorus groups. Conductor was Fabio Luisi.
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