緊急事態宣言の延長と追加に際し問われる当局の実行力

昨日、政府は新型コロナウイルス感染症にかかる緊急事態宣言を8月20日(金)から京都府、兵庫県、福岡県など7府県に適用するとともに、発令中の東京都、大阪府など6都府県も期間を延長し、まん延防止等重点措置も現行の6道県に10県を追加することを決定しました[1]。いずれも期限は9月12日(日)までとなります。

現在、日本各地で新型コロナウイルス感染症の感染拡大が続いていることを考えれば、今回の措置は妥当なものと言えるでしょう。

また、政府の新型コロナウイルス感染症対策本部長でもある菅義偉首相が最優先の対策として医療体制の充実を明示したこと[2]も、現下の状況に鑑みれば適切な判断となります。

一方、今回の措置により大型商業施設への入場制限などが取られるものの、これまで種々の施策を行いながら十分な効果を上げられなかったことを考えれば、当局が対策の強化をどこまで行えるかが問題となるのは当然のことです。

実際、本来は政策の立案や提言を本来の役割としない新型インフルエンザ等対策推進会議基本的対処方針分科会が「法的な仕組みの構築や現行の法律のしっかりした運用」を要望しており[3]、当局の現在の対応が必ずしも十分とは言えないことが示唆されます。

とりわけ、菅首相が政府を代表する形で行う種々の発言は、直ちに国民に対する「約束」となります。

従って、菅首相以下の当局者はこうした「約束」の内容を守る必要がありますし、守れない内容を発言するなら、そうした発言を信じるほど国民は現在の事態に無関心ではないことを銘記すべきです。

もとより緊急事態宣言もまん延防止等重点措置も、当局者が検討を重ねた結果発令されるものに他ならないことは、誰もが知るところです。

それだけに、人々が宣言や措置に疑念を抱くことがないよう、当局者には改めて実行力を発揮することが求められるのです。

[1]緊急事態13都府県 決定. 日本経済新聞, 2021年8月18日朝刊1面.
[2]新型コロナウイルス感染症に関する菅内閣総理大臣記者会見. 首相官邸, 2021年8月17日, https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/statement/2021/0817kaiken.html (2021年8月18日閲覧).
[3]分科会 尾身会長“一般の人々への行動制限の仕組みづくりを”. NHK NEWS WEB, 2021年8月17日, https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210817/k10013207621000.html?utm_int=all_side_ranking-social_003 (2021年8月18日閲覧).

<Executive Summary>
Will the Japanese Government Realise a Policy of the COVID-19 as a Promise for the People? (Yusuke Suzumura)

The Japanese Government decided to extend the term of the State of Emergency for 6 prefectures and add 7 prefectures to the object of the declaration on 18th August 2021. In this occasion we examine a problem of authorities' policy against to prevent the COVID-19.

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