ぴよりんこ

はじめまして! 最近始めてみました。小説を書いたり絵を描いたり、ベースを弾いたり、好き勝手生きております。 猫と音楽が大好きです。

ぴよりんこ

はじめまして! 最近始めてみました。小説を書いたり絵を描いたり、ベースを弾いたり、好き勝手生きております。 猫と音楽が大好きです。

最近の記事

青春!フーリッシュハイ(4)

青春とはなんぞや 3  ならばそれをどう始めるか。議題はそこから進んでいないのだけれど、真木は無闇に召集をかける男ではない。きっと何か報告があって僕らを集めたのだ。まあ、いちいち集めなくてもいつも一緒にいるのだけれど。  「まあ、さっきも言うたように、映画が参考になるかもしれんと思った。あくまで思っただけやけど」  うんうん、と三人は頷く。  「で、とりあえず何本か見てみた」  ほうほう、と三人が頷く。  「そこで、あることに気づいた」  うんうんうんうん、と三人

    • 【長編小説】青春!フーリッシュハイ(3)

      青春とはなんぞや 2  そもそも、気づいたら付き合っていました、とは一体どういう状況なのだ。最初はお互い気にしていなかったけど、ある時ふたりは急接近、気がついた時にはもう離れられませんでした。そんな状況は接触事故しか考えられない。  では恋とは事故か。違う。「お互いもう歳だから」と、成り行きで結婚した倦怠期の夫婦にとってはある意味事故かもしれないが、思春期真っただ中の僕らにとって恋とはもっとプラトニックでピュアでパッショナブルでなければならないし、更に望むのであればハートウ

      • 青春!フーリッシュハイ(2)

        青春とはなんぞや 1  キス、口づけ、接吻。呼び方はなんでもいい。とにかくそれがしてみたい。  高校に入ってからは毎日そればかり考えている。つのる妄想はシミュレーションという形で具体化し、可愛い妹系から妖艶な美魔女系まで、ありとあらゆる女性たちと日夜愛を酌み交わし続けているのだけれど、いまだにそれらが現実のものとなる気配はない。いつなんどき、だれの挑戦でも受ける覚悟はあるのだが、現実はそう簡単ではないようだ。  戦友であり、幼稚園からの親友でもある真木に言わせると、それは当

        • 青春!フーリッシュハイ(1)

          プロローグ  青春しなければならない。  十代、思春期を生きる若者たちの使命と言っていい。もちろん不文律である。大体にして規則だとか規律だとかいうのは組織の為のものである。僕らはもっと宇宙規模かつ人類規模でありたい。  青春に必要なものは何か。それは「女子」「友情」「冒険」である。僕らはそれを「青春の三大要素」と位置付け、そしてその「青春の三大要素」を根底で支えるのが「夏」である。花火、祭、浴衣、海。青春に必要不可欠なものは夏に凝縮しているのである。  夏を制する者はなんと

          【ショートショート】スフィンクスの耳

           ふわふわでもこもこは正義だ。  だから、ペルシャ猫のようなふさふさした毛を持つ猫は、もはや神に等しい存在である。  私はそう確信する。  神様はいるらしい。  そして願いを叶えてくれるらしい。  ただ、願いを叶えるならこんなにピンポイントではなく、もう少し広い範囲で叶えてほしいものだ。  神様は無慈悲だ。  確かに私は先週、鏡を見ながら「一回でいいから猫耳を生やしたいなあ」と言った。でもそれはコスプレであり、とてもファンタジーめいた願望であり、言ってもみればパソコ

          【ショートショート】スフィンクスの耳

          ブリンスミード・ストリート(下)

           「ゲンちゃん」  「ん?」  横で佇んでいた笠縫氏が私を見た。  「見つけたよ。あの景色を見て、僕は今何をすべきか、分かったような気がするんだ」  「本当かい?」  「マジっすか」  「うん」  迷いはなかった。自分がすべき事は何か、はっきりと見えた。  「僕はね、勇気がなかったんだよ。会社をクビになって家族に逃げられて、妻ともまともに話し合うことなく全てを諦めてしまった。仕事も、何故こうなったか考えることもなかった。自分の状況を見つめるのが怖かったんだろうね、殻に

          ブリンスミード・ストリート(下)

          ブリンスミード・ストリート(中)

           私たちは順調に南下を続けていた。毎日交代で運転し、交代で助手席に座って酔っ払った。風に吹かれながら、穏やかに揺れる海を眺める。空に浮かぶカモメに声をかけ、優しい波の声を聴く。  人生をやり直しているわけではない。忘れ物を取りに来たのだ。形などなく、だからこそ色褪せたりせずにずっと持ち主を待っている忘れ物、人生の一かけらを。  山間の道を抜けたところにひっそりと建っていたその民宿は、昔ながらの日本家屋を改築したもので、大きな筆文字の看板が風流だ。遠くに滝の音が聞こえ、木漏れ日

          ブリンスミード・ストリート(中)

          ブリンスミード・ストリート(上)

           二十世紀初頭の作家、スティーヴ・ウェインは、彼が生まれ育ったオーストラリア北部を拠点にいくつもの地を廻りながら、訪れた地を舞台に多くのロード・ストーリーを執筆した旅行作家である。  彼は多くのロード・ストーリーを執筆した割には生涯オーストラリアから出ることはなかったが、彼の愛した大陸は、生涯をかけるに値する壮大さを誇った。広がる大地と海の深い蒼。それらは見る者全てを圧倒する。  彼は自身の著書に、自分が生まれ育った街、ケアンズをよく登場させた。世界最大のサンゴ礁、グレートバ

          ブリンスミード・ストリート(上)

          ノーちゅーる、ノーライフ

          ノーちゅーる、ノーライフ

          【短編小説】ヘンリーのポケット

           朝起きたら、猫みたいな耳になっていた・・・。猫耳じゃなく・・・。  神様はいるらしい。  そして願いを叶えてくれるらしい。  ただ、願いを叶えるのなら、私なんかじゃなく、もっと助けが必要な人の願いを叶えてあげたらいいのに・・・。  しかも、こんなバカな願いを・・・。  神様は無慈悲だ。  確かに私は昨日、「猫みたいな耳が欲しい」と言った。「猫耳」がかわいいと思っているのが事実だけれど、さすがに頭の上に猫耳が付いていては何かと不便だから「猫みたいな耳」と言ったのだ。

          【短編小説】ヘンリーのポケット

          いったんもめんが、憤慨しているよ

          いったんもめんが、憤慨しているよ

          【短編小説】そして河童になる

           衝撃を受けた。  世間的な基準は分からないが、恋とはなんなのかすら知らない田舎の中学二年坊主が受ける衝撃としては、最大級のディープ・インパクトだった。 十四歳、女子というものはどうやら違う生命体のようだと気付く多感なお年頃。あくまで持論に過ぎないが、そんな多感なお年頃に受ける衝撃というのは、後の人格形成において、非常に大きな意味を持つのだと信じている。 これは、そんな夏の小さな冒険談だ。  スティンクレス・ジョーと名乗るその男が姿を消し、再び現れたのは夏休みが始まる一週間

          【短編小説】そして河童になる

          座敷わらしが、嘆いているよ

          座敷わらしが、嘆いているよ

          【短編小説】 幸せを願う

           タクシーをヒッチハイクしたら、止まる。止まるし乗せる。でも金を取る。  その当たり前のシステムがいまいち理解できない面倒な客を乗せたのは、午後九時過ぎだった。今年も今日で終わりだというのに、奇妙な客を乗せてしまった不運を、少し呪った。 中肉中背中年。頭頂部では、砂漠のオアシスように一部だけ生い茂った髪の毛がゆさゆさと揺れて未練たらしい。真っ赤なジャケットを着たそんなおっさんが、  「なんで金払わなあかんねん!ちょっと乗せてもろうただけやないか!ヒッチハイク知らんのか!」

          【短編小説】 幸せを願う