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解説『パーフェクトな意思決定』

「検討します」は、全裸より恥ずかしい。

この過激な帯の文言に気を取られ、気づいたら本書を購入していました。

「検討します」って結構油断すると使っちゃうんですよね。
A案B案C案があって、たぶんA案がいいんだけど、でも「A案で行きます」って言って決めてくる。
で、上司に報告したら、「なんでA案なんだよ。どう考えてもB案だろ」って言われて、振り出しに戻る

かといって、「持ち帰って検討します」って言って帰ってきて、上司に「どの案がいいですかね?」と聞いたら
「何持って帰ってきてんだよ、ちゃんと決めて来いよ」と言われる。

いったいどうしたもんだか?
精度70%くらいで安定的に、スパッと意思決定できないだろうか?
・・・そんな悩みを解決してくれるのが、『パーフェクトな意思決定』です。

本書は、株式会社識学の安藤広大氏による著書です。
氏の著書といえば、『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』と3部連続でベストセラーになっているのが印象的です。
今回の『パーフェクトな意思決定』からも大いに学ばされましたので、学びを共有させてください。

パーフェクトな意思決定って何?

本書のタイトルにもある「パーフェクトな意思決定」とは何なのか?
一発で精度100%の意思決定をすること?と思いきや、実はそうじゃありません。

僕の理解では、
パーフェクトな意思決定=さっさと決めて、状況に応じて軌道修正しながら最終的に正解に持っていくこと
こんな定義です。

最初から100%の精度で意思決定するなんて無理なんだから、さっさと決めて動いてしまう。
動いてみて判明したエラーを1つひとつ潰していく。場合によっては朝令暮改も辞さず、方針転換していく。

朝礼暮改、おおいに結構

こう書くと「え、一度決めたことはブラさずやり遂げたほうがいいのでは?」と思うかもしれません。
ただ、本書は「一度決めたことに固執すること=意思決定もどき(思考停止)」だと述べています。

これ、僕が大好きなアダム・グラント氏も『THINK AGAIN 発想を変える、思い込みを手放す』の中で、朝令暮改に肯定的な意見を示してまして。

『Think Again』によると、過信サイクルと再考サイクルがありまして。

過信サイクルとは、以下の流れに陥ることです。

  • 自尊心の高さから、自分の考えに確信を持ちやすい

  • 確信を持っていると、次の2つのバイアスが生まれやすい

    • 確証バイアス:自分が持っている知識や前提から予期するものに視点が偏るものの見方

    • 望ましさバイアス:自分が見たいものを見たいように見るものの見方

  • 以上のバイアスから「自分の考えは正しい」と是認する(思い込む)

  • 「自分の考えは正しい」と是認すればするほど、さらに自尊心が高まる

特に、周りから「優秀だ」「頭がいいね」って言われてきた人ほど、このサイクルに陥りがちだと。

では、過信サイクルに陥らないためには、どうすればよいか?
答えは、過信サイクルを再考サイクルに変える必要があります。

再考サイクルとは、次のようなサイクルです。

  • 無知を自覚する=知的謙虚さを持っておく

  • 知的謙虚さを持っておけば、自分の考えが本当に正しいのか、常に懐疑的でいれる

  • 懐疑的であれば、「本当は何が正しいのだろう?」と常に好奇心を持っていられる

  • 好奇心があれば、常に新しい発見を得られる

  • 新しい発見を得るたびに、「うわー、自分って知らないこと多いなー」と、より謙虚になれる

この「知的謙虚さ」を持ち、常に自分の意思決定が正しかったか、どこが間違っているかを疑う。
そして間違いに気づいたら、都度、朝令暮改も辞さずに修正をかけていく。

『Think Again』p53より

決めるのが怖い、そんなときは?

さっさと決めて、行動してみて、間違っていたら朝令暮改してもOK。

ここまで理解していても、それでも意思決定するのが怖い。
なぜ、意思決定するのが怖いのか?
本書によれば、「どんな選択にも賛否両論があるから」だと。

どちらの選択肢にもメリットとデメリットが存在し、どちらを選んでも周囲から反対意見や批判が出る可能性があります。
自分の判断が間違っていたらどうしよう、否定的な評価を受けたら嫌だなぁ・・・みたいな気持ちが、僕らを迷わせ、決断を先延ばしにさせます。

ただ、どこかのタイミングで「デメリットがあるのはわかっているけど、でもやるんだ」と決めなきゃいけません。
どうやって決めるか。
言い換えると、デメリットとどう向き合えばよいか?

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