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現代では憲法違反かも?大丈夫か雇用保険

皆さんは退職して雇用保険を利用したことがありますでしょうか?
雇用保険に関して、疑問に思うことを記事にする試みです。

今回は「給付制限期間」に関してです。


自己都合と会社都合

雇用保険は、退職後から再就職までの生活をカバーする、読んで字の如く「保険」的な制度です。

「給付制限期間」は退職の仕方から導かれます。退職の仕方は主に2パターンに大別されます。(介護などの特定理由を除く)

  • 会社都合退職
    倒産、リストラなどで退職した場合で、即座に給付を受給でき給付総額も多い場合があります。

  • 自己都合退職
    自分の都合で退職する場合です。雇用保険を申請すると「給付制限期間」が2ヶ月間もしくは3ヶ月間発生します。

給付制限期間は自己都合退職に絡んで発生するということ。
2〜3ヶ月の給付制限期間が経過した後に雇用保険給付金が振り込まれます。お金がもらえない期間という感覚でOKです。
ちなみに私JPコアラは自己都合のみなので、会社都合を経験したことはないです。

給付制限期間に納得できるか?

自己都合退職で発生する給付制限期間に関して、初めての時はそういうものかと思っていました。しかし、実際に給付制限期間を経験して思ったことがあります。

これは単なるペナルティであると。
給付制限期間中も年金、健康保険、住民税の支払いは止まりません。給付を受けるにはこの期間を経なくてはならないのです。逆にペナルティではないとするならば、他に合理的な理由が思いつきません。

一方で、急なリストラなどで困窮してしまった人には援助が必要ですので、会社都合の方を即座に救おうとする制度は良いと思います。

会社都合の場合からも分かるように、物理的に手続きの時間が2、3ヶ月必要という訳でもないのは明白です。

まとめると、「自分勝手に会社を辞めた奴にはペナルティがあって然るべき」という制度設計であると思わざるを得ません。

給付制限期間が設けられる理由の考察

なぜ、ペナルティとも言える給付制限期間が設けられてしまったのか、机上の論は置いておいて、真意を考察したいと思います。

1974年のオイルショック時に雇用状況の悪化に伴い雇用保険制度は制定されたとのこと。約50年前になりますね。

この時代は終身雇用が当たり前で、今ほど多様化もしていないので、そもそも自己都合退職の割合が少なかったのだと思います。

つまり、雇用保険制度は社会における「雇用の安定」が第一の目的だったのだろうと思うのです。単純に非労働者を減らしましょうということですね。

企業にもその終身雇用という責任があったからこそ、雇用者がこの保険に加入して労働者を守っていたのでしょう。

仕事の多様化と雇用保険

さて、時代は変わりました。終身雇用は非現実的な言葉になり、雇用者も労働者も過去の労働習慣に苦しめられるようになりました。

そもそも、仕事や価値観が細分化、多様化し過ぎてしまっています。
「働きたくない」、「働けない」、「それはできない」、「これだけやりたい」などなど、そしてそれらの考えが受け入れられてきています。

そうなると、「退職して転職、独立は当たり前だよね」という、
昨今の考えが当然の如く出てきます。

つまり、現在の雇用保険は
過去の幻影である終身雇用をベースに設計維持されている。
ので、それらは現代の価値観に即していない。
むしろ害になっているケースもあるのです。

化石システムとでも言っておきましょうか。

雇用の流動化

そして、最近は「雇用の流動化」と言うキーワードもあります。
政府の発言やニュース番組でもよく聞く言葉です。

雇用の流動化、活性化、
要は、「人材が活発に動いてベストマッチしないと経済伸びないよね」ってこと。
長い時間軸で見たら雇用者も労働者もリスキーだと盛んに議論されています。
産業の発達、経済成長が終わり、終身雇用が成り立たなくなった現代ではこの流動化が起こらないと厳しいらしいです。
これは雇用者も労働者も感覚的に分かっていると思います。

法律上、雇用者は正社員を簡単にリストラできないのです。従って、自主退職するしかないのですが、ここで出てくるのが給付制限期間問題です。

このペナルティがあるので自主退職してでも転職とはいかないのです。踏み切れないのです。在職中に相当な資金を貯めながらリスキリングの勉強をしなければなりません。
何年かかるのでしょうか。その間に歳を取るので人材としての市場価値は目減りするという罠です。明らかに流動化の妨げになっているでしょう。

コアラは過去、転職に8ヶ月くらいかかって、退職金の100万円は住民税、保険、年金に消えました・・・

職業選択の自由とは

職業選択の自由が憲法で認められています。しかし、上記の雇用保険が理由で踏み切れないというパラドックスが起こります。
この部分が雇用保険の給付制限期間が憲法に抵触していると思われる点です。

雇用保険を使わなければいいという意見も出そうですが、であれば加入が義務になっている理由がわかりませんし、
そもそも自主退職者には給付しないという制度設計になっていないことから、被加入者である労働者が退職時に雇用保険を利用しないと言うのはナンセンスな意見です。

更に、
辞めようとしている会社は自分で自由に選んだんだろうと、それを辞めて自由がないとは自分勝手だと自己責任論が飛んで来そうですが、
振り返ると、新卒時の就職活動とは乏しい社会経験の中で、更に限りのあるリソースを割いて職探しをして、その仕事に就くケースがほとんどだと思います。
それって本当に自由な選択でしょうか?
学生の時よりも、実際に働いてみて気がつくことの方が多いのは自明でしょう。

流動化の必要性、現代の価値観から考えて、弱者を救うはずの雇用保険が持つデメリットを述べたつもりです。

制度のアップデートもですが、抜本的な解決に必要なのは教育だと思います。
労働、賃金、権利、税金などディテールを含め、歴史的背景とセットで義務教育で伝えなくては若者が困惑することになると思います。

憲法抵触と大きなことを言っても仕方がないのかもしれません。
まずは「給付制限期間」に関して議論してみてはいかがでしょうか。
もし、時間やお金があれば国に対して訴訟するのも良いかもしれません。

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