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メンタルヘルスについて考える②(労働時間が長い原因)

前回の続き

さて、仕事や職業生活のことで強い不安、ストレス、悩みを抱えている労働者の割合はどれくらいだろうか。
厚生労働省調べで令和5年では、なんと82.7%だった。

https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001314682.pdf

その内容として、特に多いのは「仕事の失敗、責任の発生など(39.7%)」、「仕事の量(39.4%)」である。今回は仕事の量に関して、特に長時間労働を取り上げる。

日本の労働時間は長いのか?

日本人は勤勉でよく働くというイメージがある。しかし、実際には以下データで示すように労働時間は減少しており、海外と比較しても長くないように見える。

https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/databook/2024/documents/d2024_ch6.pdf

しかし、これにはカラクリがある。
パートなど短時間で働く人の割合が増えてきた結果、平均の労働時間は減少しているのだ。
正社員に限定した場合、年間の総労働時間は1900時間を上回る(なお、サービス残業は当然ながら含まれない)。OECDの調査による各国の労働時間平均は1716時間であり、大きく上回っいる。


なぜ労働時間が長い?

労働時間が長いということは、それだけ残業時間が長いということである。日本の残業時間が長いのにはいくつか理由がある。

以下の本より引用する。

①日本の雇用体系がメンバーシップ型である

日本以外の多くの国では、「ジョブ型」という雇用体系が取られている。これは雇用契約時に仕事の範囲が明確に規定されるのである。

一方で日本は「メンバーシップ型」という体系で人を採用したのち、仕事を割り振り、皆でこなすという形態をとるため、お互いの仕事の相互依存度が高まり、オーバーラップする部分もあるため、一人当たりの仕事量が増えるのである。

②メンバーシップ型雇用+残業で高度経済成長を成し遂げた経験

一見、メンバーシップ型にはデメリットが大きいように見える。しかし、自社文化に精通した人材をジョブローテーションで育成することで、市場が変化しても安価に人の配置換えができるのである。逆に、内部で育成させる形態のため、外部と人材を連携することが難しい。

そこで、残業である。残業することにより、人を入れ替えることなく、労働のパフォーマンスをあげることができる。

こうして、市場変化に対応しつつ、モノを大量生産することで、日本は高度経済成長を成し遂げた。この成功体験により、残業の文化が現在でも根強く残っているのである。


③労働時間に対する法律の規制が厳格ではない

労働基準法により、週の労働時間は40時間と規定されている。しかし、規制は厳格ではなく、労働組合と会社が36協定を結ぶことで、制限はありながらも、青天井で労働することが可能である。

次回は、長時間労働に対して、どのように対処するのが良いかを書いていきたい。

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