アマテラスの誕生
最も尊い神
天照大神
神話に興味が無い方でも、この名を聞いた事はあるのではないでしょうか。
伊勢神宮を本宗とし、全国の神社を包括する宗教法人「神社本庁」によると、以下のように解説しています。
「天照大御神は、八百万の神々の中でも最も尊い神様とされ、三重県伊勢市に鎮座する伊勢神宮にお祀りされています」
古事記では天照大神、もしくは天照大御神とも表記されます。日本書紀では、それ以外に大日孁貴や日神とも表記されます。
禊から誕生
古事記では、アマテラスは伊邪那岐の「禊」によって誕生します。
イザナギは火の神を産んで死んだ妻の伊邪那美を追って黄泉の国に行きますが、そこで変わり果てた「うじたかれころろきて（蛆にたられてうごめいている）」のイザナミの姿を目にし、驚いて逃げ出します。追ってくるイザナミをふり切り、黄泉比良坂を岩で塞いでなんとか逃げ切ります。
＊黄泉の国と現世の境とされる黄泉比良坂は、松江市の揖屋が伝承地とされています。
「其の所謂黄泉比良坂は、今出雲国の伊賦夜坂と謂ふ」
イザナギは、黄泉の国の穢れを落とすために「禊」を行います。古事記によると、日向の橘の小戸の阿波岐原で行われたとされ、江田神社（宮崎市）には「みそぎ池」があります。
「竺紫日向之橘小門之阿波岐原に到り坐して、禊祓しき」
身を清めると多くの神が生まれ、最後に左目から天照、右目から月読、鼻から須佐之男が生まれます。イザナギは「貴い三柱の子を得た」と喜び、この神々を「三貴子」と呼びます。
「吾は子を生らし生らして、生らす終に、三の貴き子を得つ」
イザナギは「汝が命は、高天原を知らせ」と、アマテラスに天界を治めるよう命じます。
日本書紀のアマテラス
一方の日本書紀では、アマテラスの誕生が3パターンあります。
まずは、太陽の神「大日孁貴」としてイザナギとイザナミ夫妻から誕生するパターンです。
於是、共生日神。號大日孁貴。
２パターン目は、「イザナギが天下を治める子が欲しいと、左手に白銅の鏡を持つと生まれた」という内容です。
一書曰、伊弉諾尊曰、吾欲生御宇之珍子、乃以左手持白銅鏡、則有化出之神。是謂大日孁尊。
３パターン目は、古事記と同じく禊で左目から生まれてきます。
然後、洗左眼。因以生神、號曰天照大神。
このように誕生の話が複数あるのは、日本書紀が書かれる上で、天照系の文献と日神系の文献を合わせて編纂した影響だと言われています。
