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大学8回生
あれは私がまだ大学に入る前の話。
2014年の夏、1人で京都を旅した。3日目の昼、あまりに孤独になり過ぎて鴨川沿いにいた謎の男に声をかけてみた。
彼はボーダーのポロシャツに、チノパン。もじゃもじゃ頭にメガネという風貌でいかにも大学生という感じだったのだ。
彼とは小一時間くらい話した気がする、どこか達観していて、常に遠くを見ていた。「長生きしたカメとか、仙人とかてこんな風になるんじゃないかなぁ。」なんて思っていた。
そして彼は大学8回生で、1年浪人、1年休学していると言った。計算すると29,30歳である。
それも相まってより彼を神秘的にさせた。最後に「京都はええぞぉ。」とだけ言って連絡先も交換せず彼はスタスタと去っていった。
そんな私も気がつけばその当時のあの人と同い年、あそこまで落ち着きは私にはまだない。