全てを忘れて無心で癒される神ゲー「陶芸マスター」感想
とんでもない神ゲー、見落としていましたね。
みんな、最近疲れてませんか?
家庭、学校、仕事、人間関係、SNS、コロナウイルス、外出自粛、なんやかんや。
バトルロイヤル、ステルスゲーム、ホラーゲーム、確かに面白い。面白いけど、ちょっと緊張するよね。緊張の楽しさは、平穏なときがあってこそのもの。
日常で緊張してストレス受けて疲れてるときに、心落ち着き、無心になれるゲームがあったら幸せじゃないですか? 低価格でハイクオリティ。何も考えず没頭できるうえに、承認欲求が満たされる出来るゲーム。
あったんですよね、ここに。
価格:セールで369円で購入。定価410円。
制作:AZGames
プレイ媒体:Steam
プレイ時間:ゲーム内日数100日間プレイ:8時間超
Steamで410円。クラブのドリンク1杯より安い。タクシーの初乗り運賃。
それでこの神ゲーが体験できるっていうのがもう凄い。
ざっくりどういうゲームか
①陶芸を作ります。
②展示会で展示します。
③入場料や作品を販売したりで収入を得ます。
④その収入で展示スペースを増やしたり、
より幅広い陶芸作成が出来るよう素材を購入します。
⑤ ①にもどる。
これを繰り返していくゲーム。割と流れは単純だから、とっつきやすい。
これがまた、ハマっちゃうんだよね…。
ゲーム開始
ゲームをスタートすると、展示場を管理している友人から、「しばらく遊びに行ってくるわww展示場管理しといて!よろ!」といった手紙が届き、陶芸品の展示場を任されます。
スピード感あふれすぎている導入
プレイ画面は全て3D。画質調整できるのでPCのスペックに合わせてプレイ可能。
ちなみに俺は数年前に買ったPCで最近動作も遅くなっているので低画質でプレイしているけど、全く不満無し。
それでは早速陶芸を作っていきます。
行う工程
陶芸のことをちょっと調べてみたんだけど、
1. 前業 (粘土の中の空気を抜き、組織をやわらげる)
2. 成形 (ロクロ、たたらなどで形を作る)
3. 乾燥 (素焼きの前に粘土の水分を抜く)
4. 素焼き (粘土の組織を硬化させる)
5. 塗り (釉薬(ゆうやく)) (ガラス質の液体をコーティングする)
6. 本焼き (高温で釉薬を溶かし、器に焼きつける)
という工程があるらしい。
(引用元:「陶芸 はじめの1歩」)
かなり現実の工程に沿ったゲームだなーと実感。
手順は以下の通り。
粘土の成型
いわゆる陶芸と聞いたらイメージするであろう場面。高速回転するろくろの上に空洞のある粘土が乗っているので、それを好きな形に成型する。
画面右側のボタンで、どのような形に成型するかを選択でき、粘土をマウスでドラッグすることで高さ、横幅を意のままに成型できる。ここで決定したらもう完成まで変更はできない。
伸ばしたり
膨らませたり
整えたり
陶芸を一つ作ると経験値が得られて、一定経験値でレベルが上がるんだけど、レベルが上がると成型時に取っ手や注ぎ口などの付属品をプラスすることが出来たり、もともとの粘土の色を変えたりすることが出来るようになる。
まあ、それはあくまで自分の想像する完成形に近づけるための手段であって、必須ではないけど。好みで変えられる、って感じ。
特に何も完成形浮かばないなあ…と思っていても、適当に幅広げたり高さ調節したりしていくと意外と創作意欲が湧いてくるのが不思議。うーん、思い浮かばないから作るのやめよ!ってなったことないんだよね。
ちなみに陶芸の世界では粘土の質を均一にする作業のことを「土殺し」、回転のブレを取り除いて、ろくろの中心に据えることを「芯出し」というらしい。用語がRPGみたい。
焼く
おそらく「素焼き」と呼ばれているもののことだと思う。なんでも、粘土を乾燥させただけだと、水につけたときにもとの粘土に戻ってしまうらしい。まあ、それはそうか。
なので、800度くらいで焼成する。すると、水につけても粘土に戻らないとのこと。なるほど…。
ゲーム上では、ここがちょっとしたミニゲームになっている。というか、このゲームの中で最難関ポイント。
3つの炎マーク…低温、中温、高温の3つの炎ポイントがあって、適度にそれらの位置にポインタを合わせて焼かないといけない。
慣性を持ち勝手にふらふら動くポインタ(縦のライン)を操作する方法は、左クリックと右クリック。調整して炎マークの近くに必死に合わせる。炎マークの近くで数秒キープすることで、ちゃんと焼けたということになる。
それを、低温、中温、高温の3ポイントでやるわけなので、なかなかに集中力が必要な作業。しかしこれは後の評価に繋がってくるので、疎かには出来ない。
上手に焼けました!
作品のデザイン
素焼きが終わると、ここからが自由度が最大限に広がる。FF13で言えば11章。アルカキルティ大平原。
出来る作業は、着色、釉薬、模様、パターン、片面/両面塗り。
着色
着色は、画面左側の四角の中に色を塗っていくことでそれが粘土にも反映されるっていうシステム。
塗るのは左側の四角のスペース
で、すごい良いなって思ったところなんだけど、この着色って、色の選択がある程度固定されてるんだよね。つまり、「純白」「濃い緑」「薄い青」みたいに、いくつかある色から選ぶスタイル。
自由度は制限されるけど、こういうゲームに慣れていない自分としては、どんな色でも使えるパレット用意するので自分で色作ってください、どうぞ!っていうよりやりやすい。
芸術性のスキルが貧弱なので、こういう風に「答え」となる色を先に準備してもらって、その答えから選ぶっていうのがありがたかった。
画面下部の色から選んでいくシステム
もう一つ良かったのが、色の塗り方。四角の中に自分の好きな色を塗っていくんだけど、この色の塗り方、いわゆる筆で絵を描いていくような塗り方ではなくて、横列ごと一気に色が塗られていくんだよね。
点ではなく線で色を塗っていく。これも嬉しかった。一つ一つ細かく色を塗っていったら、愛着は増すかもしれないけど数はこなせない。これも自由度を犠牲にしてるんだけど、逆にやりやすかった。
塗りムラがまた味になる
塗る際も濃度の調整が出来たりするし、重ね塗りも可能だし、粘土に反映されている様子がリアルタイムで見れる。というか、適当に塗っても「あれ?いい感じじゃね?」と思えてきちゃうからすごい。魔法。
釉薬(ゆうやく)かけ
陶芸だと、素焼きしただけだとだめらしい。この釉薬っていうものを塗ることで、表面がガラス状になるそう。
装飾にもなるし、ガラスコーティングによって強度も増すし、水や汚れを吸収しにくくなることで汚れにくさもプラスされると、まさにいいこと尽くし。
実際には灰と粘土を混ぜることで何らかの釉薬になるらしい。粘土と釉薬の違いは石灰質があるかどうかで、石灰質が釉薬を溶かしたりガラスになる役割を持っていると…。
そういえばマインクラフトで、砂をかまどで精錬するとガラスが出来たの一体なぜ? と思っていたけど、ちょっと納得した。
ということで、この釉薬も塗るのは必須。最初のうち全然意味が分からなくて塗らないまま完成させたりしたけど、それはダメだったのね…。
ゲーム内では、いくつかある釉薬のバリエーションから一つを選択する。荒い感じを出したり、金属っぽくしたり、透明だったり不透明だったり。
釉薬の種類もたくさんある。釉薬をかけたことで、
粘土の表面がツヤツヤしてるのがわかる。
おそらく本来の陶芸であれば模様や下絵を全ておわらせてから釉薬をかけるんだと思うけど、このゲームでは特に順番は関係ないみたい。まあゲームだからね。
模様
ここまでで、粘土に色は塗れた。釉薬も塗った。でもこれじゃあ、シンプル極まりない作品だし、なんか陶芸とか陶器でイメージしてるのはもっと模様があったはず。
その目的を叶えるのがこの模様付け。しかもこれもすごい楽に模様をつけていける。
具体的には、任意の模様を選ぶことで、作成中の粘土を一周するようにその模様で彩ることが出来る。
四角の模様を選べば…
簡単に四角の模様を塗ることが出来る
任意に色も変えられる
渦巻だったり三角だったり分かりやすいパターンはもちろん、星や馬、木やグラデーションなどバラエティに富んだ模様があるので、適当に選ぶだけで模様がつけられる。陶芸にこんな模様使うの? 俺が無知なだけ? と思えるような模様もあり、新鮮さが抜群。
豊富な模様のバリエーション
マウスで数クリックするだけで、テープを貼るように模様が出来るので、色を塗って2,3模様をつけるだけでほぼ完成、十分に陶芸品になる。
模様も自分で一から作るとかじゃなくてよかったよ。やっぱり自由度はあればあるほどいいわけじゃないなって思う。
パターン
いわゆるスタンプ。マーク。さっきのは模様だから粘土を囲むように彩ることが出来たけど、これはスタンプを押すように粘土にイラストや文字なんかを付けることが出来る。
丸や三角、四角の他に、象形文字みたいやマークや祭、酒、のような文字もあったりでバラエティに富んでいる。明らかに遊んでるでしょ、と思うけどこれがまた奇抜な陶芸を作れたりするのでこれはこれで面白い。
これは徳利を作りたかった図
※途中から解放:外部画像機能
このパターン…いわゆるスタンプ機能に、外部画像を用いることが出来る神機能が途中から解放。これがすごい。
要するに自分の持ってる写真やら画像やらを粘土に張り付けて陶芸品を彩れるわけ。これがもうエポックメイキング。すごい。
粘土と陶芸、どうも歴史というか時代を感じるので、無意識的に教科書で見たような陶芸品を作りがちだったんだけど、そのルールをぶっ壊すような外部画像挿入。完全に黒船。
ある意味バランスブレイカーなんだけど、それは後述の「評価」要素があるので微妙に乱用しないよう心にブレーキがかかってしまう。いやー秀逸。
白っぽい画像の方が映える気がします
片面/両面塗り
粘土の外側だけじゃなく内側も塗るかどうか。これは外側の下絵をそのまま内側にコピーするだけの機能。
盃みたいな作品を作るとしたら、両面に下絵を塗っておいた方が完成度高いよね。
ちょっとわかり辛いけど、粘土の内側まで色付けされている
本焼き
一通りデザインが終わったら本焼き。これは見るだけ。なんとなく達成感と愛着が生まれています。
完成
本焼きが終了すると完成です。嬉しい!
ここで何があるかというと、技術判定と作品評価。
技術判定はおそらく、成型のときの滑らかさゲージがマックスになっているかどうかと、素焼きの際の炎ミニゲームがどのくらい上手に出来たかで計算されてると思う。最高点は5.0点。慣れてくれば大体4.5~5.0点が取れるようになる。
で、作品評価。C判定からSSS判定で評価される。これはまだ評価要素がわからないけど、おそらく上記の記述判定に加えて、模様やパターン、着色などをどのくらい多くデザインしたかによるのかもしれない。それとも芸術的な観点から評価されているのかわからないけど、なんとなくシンプルな作品はSSS判定には届きにくいと思う。
釉薬を忘れると自動的にC~B評価になるようなので忘れずに…。
あと、値段高めの模様やパターンを使うと割といい判定が出やすいかも?
なので、技術を完璧にして、値段高めの素材を使うことは割と必須にしてる。これで大体SS~SSSが安定している状態。
この評価は作品人気に直結しているのと、普通にSSS評価とかだと嬉しいのでモチベーションに繋がるので良い。まあ、ネタに走った陶器なのにSSS評価とかもらえたりもするのでまだまだ研究中だけど。
君、ほんとにSSS評価でいいの?
最上部にMerry CHRISTMASって書いてあるけど??
展示
出来上がった陶芸品を展示し、展示会を開く。
展示会には作品を見にお客さんが来場して、その入場料がプレイヤーの収入になる。
このときに、おそらく作品の評価に応じて「作品人気」という数値が上昇。
作品人気が高いほど来場者が増えるみたい。作品人気については、作品の評価により上昇率や上昇限界が決まっているので、まあ簡単に言うと良い作品を作るほどたくさんの人が見に来て、収入が増えますよということ。
得た収入で展示スペースを拡張したり、新たな素材を購入したりする。これによって、新しいデザインの陶芸品を作れることになるので、飽きずにゲームを続けられる、という仕組み。
ちなみにランニングコストはかからないので、家賃とか材料費とかは考えなくていい。純粋に陶芸に集中できる。
承認欲求の満たされポイント
うまいな~と思えるところなんだけど、自分の作った陶芸品を「欲しい」と言われることがあるんだよね。
展示会を開いて、お客さんが来る。すると、たまに家にお客さんからの手紙が届く。展示会に来た際の写真、そしてこの作品が好きだから売ってくれ、といったメッセージが添えられた内容。
この、写真システムが秀逸。作品が見切れてたりするんだけど、いかにも展示会に来たお客さんが撮りました、っていうような、本当に素人が撮った写真感が強い。これが逆に良いんだよね。
その陶芸品を売ることで収入になって、またそのお金で陶芸用の素材を買う…という流れになるんだけど、それとは別に、陶芸品を売った後に「こんな風に飾ってます!ありがとう」みたいな写真が届くんだよね。
見切れ感が良い
こういう細かいところが嬉しくて承認欲求を刺激してくる。
「ゲームで承認欲求満たされるか? 褒めてくれるの本物の人じゃないのに?」と思うかもしれないけど、自分の行動に対してのリアクションとして何かが行われたとしたらもう嬉しいんだよね。
エースコンバット04なんかでも、戦闘中に無線で間接的に褒められるだけで嬉しかったし。これもちょっと研究したくなってきたな…。
さておき、こんな風に褒められるので、「作品を作って満足」では無くて、「これは売れるかな…」っていう感情がモチベーションに繋がってくる。
「自分の好きなものを作る」といったモチベーションが、
「人に好まれるものを作る」というモチベーションに自然に移り変わる
簡単に作れて、様になる
こういう自由度の高い作品って、やっぱり素人でもある程度様になるっていうのは重要ポイントだと思う。いや、もちろん良し悪しはあるけれども、簡単に様になることで今回かなり敷居が下がって俺のような素人でも楽しめたのはあるかなって思う。
これが、現実に即した複雑なシミュレータだったとしたらおそらくハマりはしなかっただろうし。
特に、陶芸っていうのはかなりニッチなジャンルだと思うから、こういった形で簡単に作品が出来上がるゲームデザインにしたのはとても良いと思う。野球やサッカーみたいな市場自体が大きいコミュニティにリーチするようなゲームだったら、それは詳細な操作や設定があってもいいかもしれない。
ただ、こと陶芸というジャンルに関しては、ユーザーが求めているもの(もしくは初めて触れたユーザーの意欲を削がないもの)は、簡単かつそれなりに満足できる作品が出来るってことだと思うし、このゲームのシステムはちょうど良かったと思う。
がっつり楽しめました
終わり。
Steamで、安くて評価のいいゲームを見つけたからやってみたらその質の良さに爆ハマりしました。合計8時間もプレイしたみたい。値段の割に十分楽しんだね…。
とりあえずゲーム内日数で100日間プレイが一応の規定になってるんだけど、あんまり関係なくそれ以降もプレイは可能。まだ解放されていない要素もあるので、今後もアップデートしていくみたい。
ゲームに何を求めるかっていうのは人それぞれだと思う。敵や対戦相手を打ち負かすこと、レベルを上げて敵を倒すこと、友達や知らないプレイヤーとワイワイ楽しむこと、色々あると思うけど、最近考えているのは、「ゲームを通じて新しい知見を得ること」もひとつじゃないかということ。
今まではプレイして楽しかった~で終わってたけど、せっかくならもう一歩進んで自分の経験にしたいなと…。
今回はこのゲームで、陶芸について興味を持てて、少し学ぶことが出来た。これはこのゲームをやらなければありえなかったし、このゲームがきっかけでちょっとだけ自分の人生が変わった、陶芸の知識がゼロだった自分が微弱ながらも知識と経験値を積めたと考えると凄い面白い。
好きなゲームにニーアレプリカント、ニーアオートマタがあるんだけど、ニーアシリーズもコンサート、オーケストラ、舞台なんかのイベントを開催してて。ニーアが好きじゃなかったら多分ゲーム音楽のコンサートやオーケストラには行くことはなかっただろうし、舞台なんかも今まで興味もなくて一回も行ったことがなかった。それがゲームのおかげで自分の世界が広がった、って考えると嬉しいなって思う。
もちろんそのためには、自分もこのゲームから何かを学ぶぞ!って気持ちを持たないとだめだけど。
ニーアと言えばニーアオートマタで9SのCVを担当された花江夏樹さんも
陶芸マスターをプレイされています。これは覇権
今までゲームとしてはほとんどフォーカスが当たらなかった「陶芸」というコンテンツをゲーム化した「陶芸マスター」、純粋にいちユーザーとしてストレスが無かったし、芸術作品を作るのに慣れてなくても満足感や評価された嬉しさもあるし、ゲームの値段もワンコイン以下。何かを無心でやりたいときなんかにもピッタリで、お勧めです。
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