大学3年生が人事採用をやってみた件
現在自分が働いているベンチャーの業務の一環で、新規プロジェクトを始めるにあたって求人を掛けたところ、大学生から60代くらいまでの幅広い年齢の方合計200人ほどから応募をいただいた。この応募人数は、約50倍の倍率であった。
その際の採用活動の際に思った率直な意見をこのNoteに備忘録として残しておこうと思う。いつか自分が就活をするとき、もしくはこれ読んでくれてる方が就活を行う時の多少なりとも助けになると嬉しい。
(具体的に書きすぎると、僕の会社がばれてしまう恐れがあるので、具体的な業種は伏せさせてください)
今回行った採用までの流れとしては
1次審査:書類選考 200人
2次審査:Web面接 40人
3次審査:YouTubeでの自己PR配信 20人
最終審査:Web面接 5人
といったものであった。
1次審査:書類審査 について
最初の審査はもちろんといっていいのかわからないが、ES審査である。
今回記入事項としていくつか設定したのだが、自己PR欄や、研究などに関する学会発表や発表論文の記載欄に加え、自己PRのための動画提出を義務付けた。
全体的な印象として率直に言ってしまうと、200通ものESを全員分目を通すのは非常に苦痛な作業であった。面白い経歴の人、魅力的な研究をされてきた方、バックグラウンドが多彩でそれぞれの応募者特有の面白さがあるのだが、単純に量が多すぎるせいで一通ごとに精読するのが物理的に大変であった。
1‐1、記述欄に関して
多くのESを読んでいく中で良し悪しを分けた要因の一つはおそらく”いかに伝えたい内容を簡潔でビジュアル的に見やすく記入できるか”というところだったと思う。
日本人の性格だからという事かもしれないが、自身の熱意を伝えたいことが現れた結果かもしれないが、自己PR欄などに記載されている文章が異常に長いことが多い。これは、どんなに最高に素敵な文章であったとしても、つらつらと長い文章がPR欄などに書き連ねてあると、まったくもって読む気が起きないのである。一方そこまで長い文章、密度の少ない文章であっても、各項目ごとに段落分けされ、簡潔に書いてある方がよっぽどわかりやすく感じ、採用担当としても読んでいて目に留まりやすいのである。
あまり他社のESを見たことがないので正確なことは言えないが、手書きの場合であってもある程度要点は簡潔に、そしてポイントごとに絞って書くべきであると思う。
ESは”ふるい落とす段階”であるので、熱意があるかどうかというのは正直どうでもよく、その人間が仕事に会う人なのかどうかをマッチさせる段階である。であるため、”熱量を伝えるために無限に長い文章を書く”よりも、”自分にはどんな実力がありどのような仕事ができるのか”を伝えてほしい。
例)
分かりにくい文章:
自分は大学院時代に高分子合成の研究を行っており、そこで得た知見を活かし~~~
個人的にいいと思った文章:
大学院時代
研究内容:高分子合成
得た知見:~~~~
1-2、自己PR動画に関して
最近の就活などで、文章による情報量よりも視覚的、聴覚的情報である方が、より多くの情報量を持つことより、書類だけでは伝わらない応募者の魅力を確認するために動画による審査もあると聞く。今回、僕の会社でもESの項目の一つとして、3分程度の自己PR動画をYouTubeの限定公開で作成し、URLを張り付けるようにした。
今回、動画での自己PRに関して僕自身あまり知識がなかったこともあり、動画の時間とプラットフォーム指定だけし、それ以外に関しては特にルールを設けなかった。このこともあり、応募者によってそれぞれ異なった動画が送られてきた。実際に顔を出して撮影される方、パワポの画面キャプチャを映しながら喋る方、ボイスだけの方などなど、多種多様な動画であった。
この中で、内容とは別に心理的に一次審査を通過できるかどうかを判断する際に影響する事項を以下に列挙する。
・音声全般
動画はもちろん”見る”と”聞く”を併せ持つコンテンツであるため、聴覚の情報は非常に大切である。これの良し悪しは正直なところ、その人の伝えたい内容とは別に、採用判断に非常に強く影響すると思う。
1、音質
別段高級なテレビ局が使うようなマイクを変えとは言わないが、音質がいいか悪いかは非常に大切なポイントの一つである。このESの段階では”ふるい落とす段階”であるため、採用担当としては”意思をくみ取ってあげる”ことはしないと思っていい。(と思う)すなわち、音質が悪く、何を言っているか聞き取り辛い動画であれば、最後まで再生してもらえる確率はかなり下がるだろう。聞いている間、音質の悪さに苛々しかせず、内容は全く入ってこないことがほとんどである。
そのため、音質はできるだけいい状況が好ましい。現在、スマホのマイクも性能は上がっているし、少しお金を出せば数千円でそれなりに音質が担保されたマイクは買える。
そして、何よりも重要なのは”録音した内容を聞きなおす”ことである。絶対に、聞きなおせばよくわからないホワイトノイズ、聞き取りにくい音質、音源などに気づくはずである。そして、全体的に音質やノイズなど問題がある場合は”取り直す”ようにすべきである。
採用する側としてはそこまで含めてみて、この応募者は”製作物のチェックを行わない、仕事が雑なのかな”と思ってしまう。
上記2点を含めて、音質はできるだけ気にした方がいい。
2、活舌
これに関しても、テレビアナウンサーのように超滑らかに噛まずにしゃべらければないというわけではないが、多少なり聞きやすいように工夫するべき点は多くあると思う。
1、音質の部分でも述べたが、”聞き返す”ことさえすれば、自分が喋っている間に噛んでしまったところがわかるはずである。応募者としては、自分の動画をある種”評価してもらう”ために提出しているわけなので、そこも含めて確認を行うべきである。
動画なのでいくらでも取り直しはできるので、最低限頑張ってほしい。
・動画(画像部分)関連
上で書いたように聴覚的情報とともに大切なのが、”視覚的情報”である。YouTuberのようにポップで、ゴリゴリの編集を行えとは言わないが、最低限動画部分で不採用になるようなチープなものにならないように工夫できる点は多くある。
1、字幕
字幕は非常に有用で、聴覚的情報の補助にとても役立つ。現在、無料のソフトでも字幕を入れることはでき、2,3分の動画であれば少しの時間で編集ができるはずである。また、動画の際に読む原稿があるのであれば、それをコピペすれば作れるので非常に楽な作業である。このように、少し努力するだけで字幕を入れることができるのだが、採用する側としてはこの少しの努力が多少なりポジティブに働くのである。
2、画質
実際に自分の姿を映して動画をとる場合は特に、画質には気を付けた方が良い。Webカメラなど性能が悪く画質が悪い場合、見ていて伝えたい情報がマイナスに働いてしまう。音質の部分でも書いたが、一度は見直してほしい。そして、”ほんとにこの動画を人様に見せるのか”と自分の心に問いかけてほしい。そう考えれば、酷い画質の動画は絶対に提出されることはないはずなのである。
また、YouTuberが丸い照明器具を使って録画しているところも見たことがあるかもしれないが、あのように光量は本当に必要である。あの機械は使わなくてもいいが、部屋を明るくして撮る、であったり可能なら卓上照明でも使って、顔を明るく照らして撮るべきである。まったくもってい印象が変わる。
また、画質とは違うところだが、ボイスメモの画面だけ(人物やパワポの画面が映っているわけでないもの)は問答無用で”やる気がない”と判断されるので、絶対にやらないようにお勧めする。
・その他
上記メインの音と映像における点を記載したが、そのほかにもいくつか気にする点があるので補足で付け加える。
1、動画時間のルールは守ること
今回であれば、2~3分で動画をとることとしていた。そのため、長くても5分程度が限度かなという数字であった。そのような中で、熱意を伝えた伊藤気持はわかるが、永遠と自分の話をし続け30分以上の動画を提出してくる人もいた。応募する側の気持ちになれば、実際に伝えたいことは多く、熱にを表現したいのだろうが、審査する側は大の迷惑である。ぜひ、何十人もの応募者の動画を見て評価をしている最中にURLを押した瞬間に30分以上の長さの動画が始まる絶望感を想像してほしい。
今回は評価の平等性を期すために動画の評価時間は5分までとしていた。そのため、5分経過した時点で動画の視聴は一律終了させている。そのため、30分もの長さで提出された動画の場合、最初の5分間で必要事項が話されていないため自動的に不採用となってしまう。
このように、伝えたいことがあるから全部言っちゃう!ではなく、ルールを守って動画作成を行ってほしい。
2、カット編集はすべき
原稿をもとに喋っている場合でも、話し始めに若干間があったり、全体の流れが悪いと感じられるような間や時間があると思う。その場合、そういった不要な部分はある程度カット編集して、聞きやすくなるように動画編集しておくとものすごく好印象である。
2次審査:Web面接 について
就活といえば面接といった感じじゃないだろうか。僕はそう思っている。この仕事をするために、色々な就活生向けの面接動画を見たりしたり、実際に大手会社の採用を行っている方に採用面接のやり方を教わりに行くなどした。
今回は、グループ面接などではなく、ZOOMを用いた一対一の面接を平均して一人につき1時間で行った。そんな中、僕が思った面接での大切なポイントをいくつか書ければと思う。
・受け答えについて
面接では当たり前だが質問を面接官側がしていきながら、答えを話して自信をアピールする場所である。その一方で、いわゆる会話のキャッチボールを行う必要もある。それを踏まえたうえで、質問種別ごとに気づきを記載する。
1、YES/NO質問
”はい”か”いいえ”で答える対応の質問の場合、普通に考えればどちらか答えて終わりにするかもしれないが、それでは正直言って不正解である。自身のチョイスに対して”理由”まで含めて答えるべきである。ただ、しゃべる際は簡潔に行うべきである。文字通り”一文程度”の長さで充分である。
どちらにせよ、せっかくのアピールポイントを無駄にするのはもったいない行為であるし、会話のキャッチボールの基礎である。
2、考えを要求する質問
”今後どのような仕事を行いたいか”であったり、”○○に関するあなたの知見をお聞かせください”といった質問に対しては、ある程度長文で考えを示すべきである。この際に、できればノータイム、間があったとしても完全な沈黙はやめた方がいい。たまに、ベンチャーであると突拍子もない質問をするような会社もあるようだが、それは別として想定されうる質問に関しては、その仕事を本当にしたいと思うなら一度は考えるようなことを聞いているので、常にとまではいわないが、”面接するまでに一度は考えておいてほしかった内容”なのである。
そのため、聞いた際にはすぐに解答を言えるとかなり好印象である。
3、逆質問
面接の最後などに、”○○さんの方から弊社にご質問等はありますか?”と逆質問を促すことがある。この際にはぜひ、質問をしてほしい。正直、他の会社の人が何を求めて聞いているのかは知らないが、僕の会社では、今後会社を大きくしていく上で客観的な目線からの気づきにもなるので、必ず聞いている。
実際に、質問をしてくれると”この人は割とこの会社の事を考えてくれているんだな~”などという事が伝わる。今まで人生で、こういうところに惹かれてこの仕事、学校などには行ってみたものの、何か違うなあと感じる点があったりする経験は誰しもあるはずで、それを考慮すれば逆質問はおのずとして出てくるはずである。
逆に、この質問を促された際に、ノータイムで”ないです”と言ってしまうのが一番最悪の解答である。なくても、少なくとも数秒は考えている感を出した方がいい。できれば何でもいいから質問すべき。
・その他
面接では”始まった瞬間に合否が決まる”などという動画なども、YouTube上にあったりするが、実際に自分が面接したときもそうで、初めて数分でこの人な不合格だなと決まることがある。
このようなことが起こる理由として、単純に”この人と仕事したくない”という部分が見えてしまうという事である。いくら有能であったとしても、表情や言葉遣い、態度等、多くの点でファーストインプレッションで不合格になる。正直なはなし、対人との会話が最低限出来ない人は多くの確率で有能でないことはわかる。
そのようなこともあり、最低限のマナーというか、言葉のキャッチボールはするべきである。
ちなみに、この人はないなと感じた場合は”圧倒的に質問が少なくなり、面接時間が短くなる”こととなる。そのため、なんか進みが早いなと感じたらその時点で不合格になったと捉えていい。
今回の採用に関しては、新卒などという括りではなく、どちらかというと即戦力を要するものであった。そのため大学生との面接はあまりしなかったが、個人的に期待していた”ボランティアで学校を立てました”みたいな話はなかった。一方、”大学のサークルの部長で、仲間をまとめるのが大変だったです”や”バイトリーダーで”という話をする方はいたので、若干テンションが上がった。ただ、そういった話は正直なところ響かなかった。話すのであれば、”その経験がなぜ、この応募した仕事に役立つのか”という部分を含めて解答するべきである。
最後に
採用は正直なところ、かなり難しく、実際に仕事をしてもらってありかなしかを見極めたいほどであるが、そんなことは無理なのでこのような選定方法しかないのかなと思う。
実際に人事採用を行って思ったこととしては”自分の強み”を持つことは大切だが、オールラウンダーなものでなく”その仕事に即した強み”を持つべきであると思う。
結局採用する側としても、職場にその人がいる未来が見えなければ採用することはないので、そこも含めて自分が実際にその職場で働いている姿を想像しながらESなり面接なり受けるのがいいのではないか。
今回は備忘録として、軽く要点を絞って書いたが、もし時間があればより精細に思ったことを書ければと思う。
最後まで読んでいただきありがとうございました。