【社長インタビュー】ユースキン製薬が格言集で生んだ出会いとは?
当社には、年末から年始にかけて「格言カレンダー」(31編の日めくり格言集)を取引先やご愛用者に配布するという歴史があります。
そして、その格言カレンダーは、単なるカレンダーではありません。
毎年全国から格言を公募し、集まった多くの格言の中からカレンダーに掲載する31篇を、ご愛用者の方々と一緒に選んで完成するカレンダーなのです。
そして、そのご愛用者と一緒に選ぶ催しが「格言選考会」と呼ばれるもので、実に1999年から2019年まで続けられました。
なぜ、ユースキン製薬が格言カレンダーを発行しているのか?どうして「格言選考会」を開催したのか?などの理由を社長の野渡に聞いてみました。
格言カレンダーの誕生
ーそもそも「格言カレンダー」は、どのように誕生したのですか?
社長:創業者である父・野渡良清(以下、「会長」)は、ことわざや格言が好きで沢山の本を持っていました。父は農家の四男として大正時代に生まれ、昭和4年に尋常小学校を満14歳で卒業しました。進学の意欲はあったものの「農家に学問は不要」と言われ、働きながらことわざや格言の本を買って学んでいました。
ー学生時代から格言が好きだったのですね。それが格言カレンダーを作るきっかけですか?
社長:「ユースキン」が問屋さんを通して売られるようになった昭和40年代ころ。年末にカレンダーを持って問屋さんに挨拶回りをするものと決まっていました。そのカレンダーを制作する際、近所の印刷屋さんからいくつかのカレンダーを提案されました。その見本は、カラー刷りの高価なものから、2色刷りの安価なものまでさまざまでした。会長は、その中から格言が書かれたカレンダーを採用しました。日めくりの格言カレンダーになっていて、余白に社名を印刷するだけでした。その趣向と低価格が気に入ったみたいです。
ー近所の印刷屋さんから提案されたのもきっかけのひとつなのですね。その「格言カレンダー」は、反響はあったのでしょうか?
社長:年末になると、問屋さんには各メーカーから大量にカレンダーが届けられます。問屋さんは高価なカレンダーを一つ、二つを残して、あとは社員が持ち帰るというようなことをしていた中で、当社の「格言カレンダー」は必ず問屋さんのどこかに掛けられていました。そして朝礼のネタに使われたりしていました。また、室内に見当たらない場合でも大抵はトイレに掛けられたりしていました。
ー朝礼のネタに使われるなど、問屋さんからは重宝されていたのですね!
格言カレンダー廃盤の危機とそれを救った社員の一言
社長:ところが、元号が昭和から平成に変わった辺りから、ワープロやパソコンが普及し出すと、街の印刷屋さんの売上が低迷しカレンダーを仕入れていた印刷屋さんもついに廃業となってしまいました。
ー格言カレンダーも廃盤の危機でしたね。
社長:でも私は20年以上も続けてきたカレンダーを絶やしたくないという思いで、一度はバックナンバーから抜粋して自社制作してみたものの、すぐにネタ切れとなり、困ってしまった。
次の年はどうするかと思案していると、一人の女性社員から「一般の方から格言を公募をしてみてはどうでしょう?」と提案がありました。そんなに簡単に格言なんて集まらないと半信半疑で試してみると、オリジナルの格言がいきなり3,000篇あまり寄せられました。毎日大量に届くハガキを見て大変ビックリしたのを覚えています。
ー3,000篇も応募があったのですね!でも「格言カレンダー」に掲載する格言は31篇ですよね?どのように選んでいたのですか?
社長:せっかく応募いただいたので、役員3人で選ぶという作業をおこないました。最初は、良い格言を選ぶぞと意気込んでいましたが、来る日も来る日も格言に目を通す日々が続き、切り捨てるのに忍びない応募作ばかりで、大きな負担となってしまいました。
格言選考会の誕生
ー格言好きな会長の想いもあって始まった「格言カレンダー」制作も、大変な苦労があったのですね。結果的に公募した格言をどのように選考していったのでしょうか?
社長:私の想いだけでは、絶対に続けることが出来なかったと思います。何事も長年続けていると困難に出くわします。そういう時、必ずまわりが助けてくれるということが分かりました。前に述べた「格言を公募したらどうか?」と提案してくれた女性社員が、今度は「当社には、これまでアンケート(※)に答えてくださった沢山のご愛用者の名簿があります。この方たちを集めて格言を選考していただいてはどうでしょう?」と言い出しました。
それを聞いたとき私は、「格言カレンダーを配り続けたい」という思いと、「愛用者と親しくお話をしたい、感謝の気持ちを伝えたい」という思いが一致して、とても名案だと思い、すぐさま採用することになりました。それが、「格言選考会」という発想が生まれた瞬間でした。
※アンケート葉書の記事はこちら↓
https://note.com/yuskin/n/n309c649a7e2c
ー「格言選考会」が生まれたきっかけは、社員のアイディアとご愛用者の存在が大きかったのですね。
社長:私は前々から、ご愛用者と直接会って感謝を述べたいと思っていましたし、ひとりひとりの声を直接聞いてみたかったので、まさに一石二鳥だと思いました!アイディアを出してくれた女性社員には感謝しかないです。
格言選考会の軌跡~お客様との出会いが学びの場~
ー「格言選考会」の誕生をきっかけに、全国のご愛用者に直接会うということが叶いました。どのように全国へと広がっていったのでしょうか?
社長:第一回格言選考会は、東京の品川プリンスホテルで開催しました。参加のお客様は首都圏を中心にお手紙でお声がけをして結果的に32名の方が参加してくださいました。また、当社からは創業者の会長と私、そして社員7名が出席をしました。広告代理店やイベント会社には頼らず、発案から実行までをすべて自分たちで手作りかつ手探りで進めました。
宴会場の円卓にお客様が10名程度着席し、そこに社員が一人つき、格言を選考しながら様々な会話を楽しみました。まさにグループインタビューそのものでした。
手探りで始めた第一回格言選考会は、結果的に大盛況に終わり、お客様から「来年もこの会に呼んでください」「お友達を連れてきてもいいですか」という言葉を多くいただきました。
ー手作り感や親近感がお客様から好評を得た理由のひとつかもしれませんね。
社長:好評に気をよくして翌年に規模を拡大して第二回を開催しました。開催場所は、東京、名古屋、大阪の三か所の大都市に金沢、福岡を加えて開きました。もちろん、お呼びするお客様は、当時の顧客リストから選び、それでも足りない時は、アンケート葉書を読み漁り愛用度の強そうな方を選びました。当時はメールがあまり普及していなかったので、一通一通封書で案内状を送りました。
ー顧客リストがあったおかげで、一気に全国に広がっていったのですね。
社長:さらに、第四回には札幌が金沢と入れ替わり、5つの都市で開かれるようになりました。お客様の数も、年々増え続け、2014年第17回には全国合計で2,000人近い選考委員という名のご愛用者を集めて開かれました。円卓のお客様10人に対して社員が一人つきお相手をするということが原則でしたので、多い時には40卓以上あり、そういう時は工場の一部ラインを止めて社員を動員しました。
ー毎年すごい人数のご愛用者に会っていたのですね。どこまで増えていくのでしょう?
社長:長い間大都市に偏って開かれたため、他の都市のお客様のところにも、という気持ちになりました。そこで2016年からの3年間は「地方の中核都市」に会場を移して開催してきました。その間、大都市での開催はお休みにしました。手作りで開催しているため、これ以上の開催は、社員の対応が難しいため諦めました。
結果的に20年間で、延べ2万名以上の方と出会う事となりましたが、それでもまだまだ全国の一部でしか開くことができていないと感じています。
ーなぜ、20年間も続いたのでしょうか?
社長:とにかく、ひとりでも多くのお客様と話がしたい・感謝を述べたい、その一心でした。
格言を選考していただくことが目的で始まった会ですが、最終的には、お客様ひとりひとりと対話することで、社員がお客様から学ぶ場として、当社の理念や創業の原点を体現できる会となったことが、長く続いた理由のひとつです。ちなみに、原則として全社員が少なくとも年1度は参加することとして、社員教育の場としても利用されました。
格言選考会存続の危機~新型コロナウイルス蔓延~
ー20年もの間、当社の重要なイベントとして続けてきた「格言選考会」も中止に追い込まれました。その理由を教えてください。
社長:2020年の新型コロナウイルス流行の際は、さすがに開催できませんでした。世の中のイベントが相次いで中止となり、私たちも同様に中止を余儀なくされました。しかし、私の中では、やはり「格言カレンダー」をやめる訳にはいかない、その思いが強くありました。
毎年、私たちと会うことを楽しみにしているお客様たちに、格言カレンダーだけは届けたい、そう思いました。そこで、手紙とインターネットで格言を選考してもらおうと考え、これまでの参加者に依頼をしました。ひとりひとりと対話することは叶いませんでしたが、せめて年末に格言カレンダーをお届けして、私たちも元気にしているから、頑張って乗り越えましょう!と伝えたかったのです。
ー毎年お会いしていたお客様と会えなくなるのは残念でしたね。手紙とインターネットで格言は無事選考できたのでしょうか?
社長:2,000人中、約500人程度の方が選考に参加してくれました。その間、励ましのお手紙もいただき、勇気づけられました。そのおかげで、格言カレンダーは無事発行することができ、現在でも続いています。コロナの影響は2000年から3年ほどありましたので、現在はリアルでご愛用者の方にお会いする「格言選考会」は中止となっています。
新たな挑戦~ご愛用者に会って話す大切さとは~
ー今後、「格言選考会」を復活することはありますか?
社長:前にも述べましたが、「格言選考会」の本質的な目的は、お客様ひとりひとりと直接対話をすることにあります。実は、コロナ禍でもご愛用者の方々との対話をやめてしまった訳ではなく、zoomなどを活用しオンライン交流会等を何度か開催しました。格言選考会に参加いただいていたご愛用者の皆さんは、比較的年齢が高めであったためオンラインでの参加は難しかったため、その間に若年層のご愛用者の囲い込みを中心におこなっていました。今では便利なツールがあるなと感心しました。私もYouTube Liveなどにも挑戦しました。
ー直接対話することが出来なくなっても、オンラインという手があったのですね。
社長:オンラインは、九州や北海道など遠くの方でも気軽に参加できるメリットがあります。ただ、参加するのは若い人が多く、私のような年配者には少し難しいと思いました。私はやはり、直接お会いして会話をしたいというのが本音としてあります。
ーそんな中、今年から新たに始められた「ご愛用者の集い」というものがあるそうですね。
社長:これまで20年続けてきた「格言選考会」のご愛用者の方々に、もう一度会いたいと思い社員に相談しました。コロナも5類になったので、規模を小さくすればお会いできるかなと思いました。社員からは、以前の形式に戻さなくても、新しい形式でご愛用者と対話する「ご愛用者の集い」を開催しませんか?と提案がありました。格言選考会では、高級ホテルの大宴会場でケーキやコーヒー付きでおもてなしをしていましたが、今は時代も変わり小規模で身の丈に合った開催方法もあるな、と思いましたので採用することにしました。
ー会の名前が変わっても、ご愛用者と対話するという本質的なところは変わりませんね。
社長:そうです。格言選考会に参加されていた方と会える喜び、新しいご愛用者に会える喜び、お互いに笑顔になれる喜び、そういうことを感じることのできる会がまた開催できるということに感謝しました。結果的に、川崎の本社と大阪で開催をして、計120名ほどのご愛用者に会うことができました。
ー私も参加しましたが、本当に皆さん楽しそうで笑顔で帰られる姿が印象的でした。
社長:参加者の最高齢は90歳でした。若い方は30代の方もいて、まさに老若男女でした。今回は、1テーブル4~5人着席いただき、そこに社員が一人つく方法で対応しました。
昔の思い出話をする方や、製品の愛用自慢をする方など様々で、皆さんに沢山話していただくことができ、大変にぎやかに終えることができました。
ーこうしたご愛用者との直接的な触れ合いが、私たちユースキン製薬にとって大変大切なことだと感じました。
社長:ユースキン製薬の創業の原点は、ひとりのお客様に寄り添うということです。「あなたの肌のために」というコーポレートステイトメントにも、そのことが記載されています。そして、経営理念にも、「長く愛されるように、肌と心と社会にうるおいを提供しよう」、とも書いてあります。「格言選考会」も「ご愛用者の集い」も、こうした目指すべき姿があって実現してきたのだと思います。そして、これからもご愛用者との対話は、ずっと続いていくと思います。まだ出会えていない方に、ひとりでも多くお会いしたいと感じています。
ー私も、ご愛用者の方々から学ぶことが多いと感じていますので、その気持ちを大切にしていきたいと思います。社長、ありがとうございました。
ここで、過去に「格言選考会」に参加した社員の声を紹介します。
最後に
時代は変わっても、私たちがお客様から学ぶ姿勢は変わりません。今、「格言選考会」や「ご愛用者の集い」で出会ったひとりひとりとの思い出が、当社の財産となっています。
これからも、ひとりひとりとの出会いを大切に、沢山の笑顔を見届けたいと思います。
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