【レビュー】小俵鱚太『レテ/移動祝祭日』(書肆侃侃房)
「力を抜くこと」と、「力を入れないこと」は似ているけれど全く別物で、ストレッチの際はこのふたつがすごく重要だと、どこかで読んだことがある気がする。歌を詠むときもまた、程よく「力を抜いて」歌うこと、余計な「力を入れないで」歌うこと、はむずかしくも両立するべきものなのだと思う。簡単にできたら苦労はしないんだけどなあ、とため息をつく。
こういう歌の力の抜け具合がすごくいい。夏は誰にとっても特別な夏で、「明朗」の「朗」の字を持つ人と飲んだその一日も、もう二度と戻らない、たった一度き