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Part.4<読書編>個人的には1作目の方が好き。でもやっぱり面白い地面師たち。相変わらずテーマは欲望と裏切り。

1作目を読んだあの時の衝撃をもう一度味わいたく続編-ファイナル・ベッツ-へ。

1作目との違いは主戦場が東京からシンガポール&釧路に。

個人的にはVIVANT以来のドラマでのめり込んだ経験となった地面師たち。

自分がどんなドラマにハマっている傾向にあるかを考えてみると、
普段かかわりのない職業や業界の裏側をフィクション・ノンフィクションを織り交ぜながらリアリティある描写で進んでいく系だなと気づきました。

探偵社の『ラッキーセブン』や銀行員の『半沢直樹』、
弁護士の『リーガル・ハイ』、商社マンの『VIVANT』、
そして今回のデベロッパーの『地面師たち』
こう挙げてみるとよりいっそうその傾向が際立ちますね…(笑)

前作は現実に起きた地面師詐欺をモチーフにして
港区や品川区を中心に物語が進んでいましたが
今作はきちんと調べてはいないのですがおそらくほぼフィクションで
シンガポールの大手会社の御曹司が釧路で地面師詐欺に遭う流れでした。

前作と今作の共通点は主人公がいわゆる「無敵の人」

Netflixでもドラマ化されている前作『地面師たち』の主人公タクミは
実の父が経営する会社が倒産し家に放火したことで母と妻、子を失い、
途方に暮れていたところハリソン山中に声を掛けられ地面師になりました。

今作も主人公はすべてを失った稲田が地面師として
200億円規模の詐欺に加担することになるのですが
元々はプロサッカー選手で裏カジノへの出入りが表に出てしまい
収入源がなくなりカジノにのめり込んでいたところハリソン山中に声を掛けられ地面師になりました。

どちらの主人公も現実世界に居場所がなく、
自分の存在意義を地面師に見出すように
犯罪に加担していきました。

やはり2作どちらを見ても現代の日本社会に
注意を促すような作品と言えるでしょう。

大切なのは自分の居場所を複数のグループに見出すこと

よく言われる例として
仕事を熱心に取り組んでいた男性が定年退職をした途端に
人が変わったように老けてしまったり
孤独死を迎えたりしてしまっているものがあります。

確かに1つのことに熱中できる性格は
素晴らしいことで1つの才能として認められています。

しかしながらその1つを失った瞬間に
自分のアイデンティティがなくなってしまうように
感じてしまっている人がいるのもまた事実です。

地面師たちで描かれる登場人物たちも
「俺にはこれしかない!」
という状態になってしまっている人が
それを失い、
どん底に落ちていく姿が複数存在します。

まとめると今作『地面師たち ファイナル・ベッツ』を読んで
自分の中で考えたことは、
『居場所を出来る限り多く作る。』
です。

家族という集団、パートナーという集団、
会社という集団、友達という集団、
1つなくなっても他で所属感を見出せる、
1つの対象に依存しすぎない、
そんな人間関係を構築していきたいです。

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