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食レポ|赤坂焼肉 KINTAN
寒気が肌を通り、骨を伝って肉に達する。赤坂の街を歩く。凛とした空気。ビジネスと酒が混濁した香りがこの街にはよく似合う。
冷気から逃れるように地下へと潜った。その先には「赤坂焼肉 KINTAN」が店を構える。広々とした店内。茶色を基調とし、適度に調節された照明の光が五感を癒す。女性スタッフが温もりのある笑顔を湛え、個室へと僕たち家族を案内してくれた。
ゆとりを包んだ気配は水流のように個室へと流れる。贅沢に余白を設けた空間は隠れ家のようだ。肩をほぐし、腕を伸ばした。
食前酒で喉を潤す。華やかな香りが鼻腔を抜け、湧き水のように冷えたスパークリングワインが胸の奥を伝った。
注文したボリュームランチ。牛タンの食感。カルビの肉感。ロースは薄くも肉厚。口にすると甘みが広がり、同時に消えてしまう。はかなき存在。甘みのあるたれで食が前進し続ける。
満足感をさらなる高みへと引き上げる。追加した「日本一のサーロインユッケ」が運ばれてきた。ピンクの花が咲く。薄く切られたサーロインが皿に広がり。たれとネギ塩が二分される。箸で肉をすくう。まろやかな肉の味わい。甘みと清涼感。この一品はユッケの概念を変える。
店外に出ると、水色の空に黄色が混ざる。新鮮な外気を身体に取り込み、溜池山王駅への帰路につく。