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ロシアW杯 観戦記|日本 vs セネガル|2

 穴の細かいフェンスのような外壁には彩り豊かなLEDが無数の色を解き放っていた。「必勝」の鉢巻きを配る日本人サポーターの姿も見える。別々にチケットを購入した僕と蓮木くんは別々の席に座る。僕たちは帰りの待ち合わせ場所を決めて、それぞれのゲートへと向かう。ゲートを見つけ、入念なボディチェックを受けてから中に入る。スタジアムに入る際はファンIDとチケットをかざし、グリーンのランプが点灯してからゲートが開く。スタッフの男性が”Enjoy”と声をかけてくれる。コンクリートがむき出しのせいか、スタジアムの中はひんやりとしていて気持ちがいい。対戦する両チームの国旗があしらわれたバドワイザーを購入し、ピッチへと階段を上る。席はメインスタンドから見て左、バックスタンドのコーナーフラッグ付近だ。鮮やかな緑色の芝生とオレンジ一色の客席が眼に飛び込む。円形に縁取られた屋根が絵画のように空を切り取っている。試合まではまだたっぷりと時間があった。太陽を真正面から浴びながら、ビールを飲んで余韻に浸る。僕は待ち望んでいたように、この空気を肌に焼きつける。

 首位で並ぶ両チームの対戦。日本の勝利は実力で勝ち取ったものではあるが、コロンビアが過信から自滅したとも捉えることができる。後半にはアイデア、運動量、連携が冴えを見せ、相手を敵陣深くまで押し込んでみせた。守備でも高いラインを保ち、後半は完封した。ただ、そのどちらもが「相手に退場者が出たから」という注釈をつけることもできる。それは日本が作り出した状況ではあるが、その状況が訪れていなかったとしたら、同じように良質なサッカーが展開できたかはわからない。数的同数となるこの試合。セネガルは初戦でポーランドを相手にソリッドな試合を披露した。マネは当然だが、ニアンもACミランで一時期に見せていた力強い動きでボールを運んで攻撃を牽引していた。こう言ってはなんだが、アフリカのチームに見られがちなムラがあまり見られなかった。守備でも均整の取れたブロックを作り、その食らいつくような守備は相手の攻撃を無力化させることに成功していた。日本に対する期待値はもちろん高い。だが、安定感のあるセネガルを相手にどこまで通用するかは半信半疑だった。主審を務めるロッキはカードを多く出し、試合を壊す印象を持っている。泥仕合のような展開になった場合、日本は集中力を維持することができるのだろうか。

続く


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