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食レポ|博多ラーメン しばらく
その店名と味は遠い記憶を呼び起こす。西新の裏通り。大学の仲間たちと囲んだラーメンの味わいは安心と同義だった。「しばらく」の名は多くの新たな記憶が重なっても、消え去ることはなかった。水天宮の街路を歩き、その名が脳裏に微かな跡を残す。その跡を辿り、記憶と記憶は線を結ぶ。
十一時。開店と同時に入店した。濃い木目調の店内。外光が入り口の窓から奥まで吹き込む。「ラーメン」を注文した。過去の安心を求めて。白濁のスープ。チャーシュー、ネギ、キクラゲの共演。残した印象は輪郭を持ったスープとしてこの場で浮かんだ。
夏の熱気は世界の音量を下げたかのようだ。密度の高まった外界へと身を投げ、僕は日本橋へと向かう。