#4 迷いの森
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いつのまにか踏み入った森。
正しい道を進まないと入り口に戻ってきてしまう。
ここが噂の迷いの森。
森を一生懸命に掻き分けて歩き進めていた頃、
正しいかはともかく、自分なりの最大限を尽くして生きていた。
正しい道に微かに聞こえるこころの高鳴りに耳を澄まし、しっかりと道を選んで。
森では沢山の敵と出会った。
戦い方なんて知らないけど、大切なものを守るために、死に物狂いで盾を握りしめた。
笑うことこそ武器であり、剣だった。何があっても笑って毅然とする強さを覚えた。
この森は囁く。まだやれる。ここでくたばるのか雑魚。もっと、もっとだ。
ゆうしゃはその声に応える。まだ、やれる、もっと、できると。
敵がどれだけ流れ込んできても、傷ついても、ゆうしゃは笑う。
どれだけ過呼吸になろうと倒れようとも、それは自分の弱さゆえと信じて。
だって、まだまだ笑える。大丈夫。
それが、ある日突然森の入り口に出てきてしまった。
どうしてだろう、ちゃんと進んでいたはずなのに。
ちゃんと頑張っていたはずなのに。
そうか、まだ努力が足らないからだ。
まだ自分に弱さがあるせいだ。
まだまだ頑張れるのに、出し切れていないからだ。
まだまだまだ聞き取ていないこころの高鳴りがあるのだ。
また森に入る。
入り口に出てきてしまう。
それでも入る。
やはり入り口に出る。
少しずつ、少しずつ、進んでは戻り
また少しずつ、少しずつ、進んでは戻り
でも確実に奥には進めているはず
どこまで長いかは知らないが、
確実に毎度の距離を伸ばして
もうすぐ、もうすぐなんだ
ただ、ただ、そう信じて
だけど
いつの間にかだった
もう、道標のこころの高鳴りは聞こえない
もう、入口にすら戻されない
さっきまでのは、本当に入口だったのかも分からない
どこにもいけない
いや、どこからきたか、どこへつづくのか
わからない、わからない
どうやってここまできたのか
わからない、わからない
どこへすすんでも、もどってみても
でられない、でられない
ああそうか、
これがまよいのもり
ねえ、
この森を抜けた先には、なにがあるの?
ーーー
進んでいるのか、戻っているのか、立ち止まっているのか、振り出しに戻ったのか、
いや振り出しって何だっけ?あれ…?それもよくわからなくなるような
どうにも掴めない霧がかったような時間ってありますよね…
気持ちの面に限らず、生活やお仕事や制作や人間関係とか、もはや人生まるっと!笑
抜け出せなくなった時に、進んでいる実感があった時はよかったな、と思いつつ、
肝心な進んでる実感があった時の感触が思い出せなくなったり。
突然踏み入れてしまう、というより、向こうから来てる感じ…
いや踏み入れているとすれば、我々は毎日進んでいるということだっっっ!
どんな時も、進み続ける冒険者同志皆様に本日も大拍手を。
ーーー
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