昆布みたいな人になりたい
自分の理想ってどんな人だろう。
タバコをカッコよく吸える人、笑顔が素敵な人、カッコつけないありのままでいられる人。
色んななりたい姿、憧れがあるけど
集約すると、
結局、
昆布みたいな人になりたいって事だと思う。
昆布って、噛めば噛むほど味が出て来て、はじめの一口じゃ、その美味さに気づかない。
というか、一口目(一噛み目)、今まで昆布という物を食べた事のない人なら、何だこれって絶対なると思う。
でも食べてたら、段々美味くなってきて、いつ飲み込もうってなるくらい、
もう口の中にずっと居ても良いみたいな。
そんな人になれたら良いなと思ってる。
て言えば、スルメでもよくない?っていう人もいるかもしれないけど
スルメはイカを天日干しにした物。
スルメになる生前は優々と海を泳いでたわけで、そりゃ味するよなって感じがする。
でも昆布は違う。海底で根を張って、海水の流れに身を任せてゆらゆら揺れてるだけで、生きてるのは生きてるんだろうけど、特別生き物らしい活動をする事はない。
なのに、マグロとか、カンパチとかよりも飲み込みにくくて、でも味わい深くて、イカとかタコとかと同じくらい、いや、むしろだんだんそれよりも濃い味がしてくる。
みたいな。
もはや、皆が立派に成長した昆布に憧れて生きてみたら少しは悩みとかも減るのかもしれないとすら思う。
昆布が味わい深いのは、生まれてからもぎ取られるまで塩分濃度の高い海水にずっと曝されてるから。
若い昆布は柔らかくて、薄くて、乾燥させて追い込んだとしても、本当の味わい深さは出ない。
だから自分はまだ若い昆布で、これからぐんぐん味を含んでいって、次々と流れる海水の塩分の濃さに圧倒される事なく、負けじと耐えて、耐えて、耐えていたら
気づけば自分は立派な昆布になっていて、どこからともなく現れた人間にもぎ取られて、こんなに味わい深かったのかこいつはって思わせられる時が来るのかもしれないと思ってる。
頑張ってたらいつか実が開くみたいな綺麗事言ってるんじゃない。
そんな期待だとか希望に満ち溢れた事を言ってるんじゃない。
スーパーとかに並べられた昆布には、僕たちの知ってる昆布は、本当に当たり前だけど、ちゃんと味わい深くて旨みがある。
それくらい当たり前な事。とにかく当たり前な事を言ってる。
だから、僕は昆布みたいな人に憧れて生きてる。
塩分に晒される時間が長ければ長いほど味わいは深くなる。
今はまだ若いかもしれないし、立派な昆布になるまでの過程は人それぞれかもしれない。
でも皆昆布なのは昆布だから。
一言付け足すのであれば
「立派な」昆布みたいな人になりたい。
ほんとそう思う。