誰もがふらっと迷い込み、気兼ねなく立ち去れる場――遊星D『低き楽園』評(柿内正午)
▼次回公演『どこへも帰らない』(2024/4/19~21)の詳細
雑居ビルの階段を登ると突き当たりの鉄扉が開け放たれていて、そこから外階段で屋上に上がったところに会場のカフェムリウイはある。これだけでもう楽しい。僕が遊星Dの前作『低き楽園』を観たのは夜風がきもちのいい時間帯だった。空間に対して窓が大きくて、アクトスペースは窓側にあって、客席は奥の壁面に沿ってつくられている。空間の中央には段ボールが積まれていて、内側からだと窓の景色が半分以上遮られている。客席から見て左側に