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たかだか旅行にこだわりなんてあってたまるか
なんだか、noteで面白そうな投稿企画が組まれているな。よし、旅の流れに身を任せて西に東に南に北に自転車に跨ってもう四年と少し、いっちょここらで私の旅人としてのこだわりを大公開してやろう、、、と考え始めて2週間。我ながら驚くほどこだわりない旅行をしている自分に気がついた。なんだか悲しくもあるけれど、背伸びなんてしないで自分がどれだけこだわりのない旅行をしているか、ここに記しておこうと思う。
①旅の持ち物
こだわり抜いて選んだはずだった。気がつけばアメリカで全部盗まれて全部買い替え。値の張ったものも多かったし、海外で一から全く同じものなんて買えるはずもなく、妥協に妥協を重ねた備品となった。妥協の品だからいずれ壊れる。壊れたらまた妥協の品に買い換える。しかも失くしものも多い。goproなんて旅行に出てから5回は新調しているから、もはや失くしてんだか盗まれてんだかよくわからない。どうせ失くすもの・壊れるものをこだわる必要はもはやない。何かと選んでいたはずの衣類も、気づけばほとんど貰い物や拾ったもの、手袋もそこらの軍手になった。襟付きのアロハシャツ着て自転車漕いでいる旅人はまだ会ったことない。なんなら、荷物の持ち運ぶスタイルですら、安さに目を惹かれパニアバッグからトレイラーに切り替えた。
②旅のルート
こちらも世界一周出発前にゆっくり考えたはずだった。まずは憧れのアラスカからスタートするでしょ?そしてユーコン川でシャケ釣って、、、、。なんて考えていたら出発直前に突如としてコロナのせいで取っていた航空券がゴミになった。こだわりの予定なんて立てるだけ無駄なんだと悟った。一年半後、改めて出発する時にはスタート地点はアラスカのはるか南、ロスアンゼルスになっていた。あまりにこだわりがないもんだから、一年で一大陸ずつ計5年で終わらせるはずの旅行はそろそろ3年経つというのにまだ二大陸目が終わっていない。旅行なんてなるようにしかならんのだ。
③食べ物
現地のゲテモノを食べに行くこともあるし、食文化体験みたいなこともするけど、物価が高ければ現地の食事にこだわることもなく、毎日パスタでも良い。自転車旅ではまず重要なのはエネルギー補給。大盛りパスタにコーラをガソリン代わりにガバガバ流し込んで、今日も満タン!
④行先の選び方
どこへでも行く。博物館、遺跡、山、川、海、砂漠、大都会、リゾート、村。写真映えする場所が大好きな訳でもない。強いて言えばテーマパークへの興味が薄めかも。下調べもするっちゃする。安全第一で旅行したいし、有名な観光地を知らずに通り過ぎるのは勿体無い。でも、わざわざ英語で情報検索かけるほど徹底はしてないし、旅の偶然性にも期待したりもするからあんまり調べすぎずに。今日も中途半端に観光地のことを知ったような知らないような状態で突っ込んでいく。有名な観光地でも、気分で行かなかったりもする。
⑤アクティビティ
なんでもやる。スポーツ観戦、トレッキング、バンジー、ダイビング、嗜好品(キューバで葉巻、ボリビアでコカ)、ギャンブル、釣り、温泉、カヤック、登山、観劇。個人でやってみるほうが安上がりだけど、コスパが良さそうならツアーでも躊躇なく参加する。これだけはやる、みたいなことは決まっていない。その時々で楽しそうなことをやってみる。
⑥宿泊場所
物価が高ければ野宿をするような身分なので、こだわりも何も屋根と壁があるだけで存分に幸せ。それ以上に望むことなんて基本的にない。かといって、野宿や貧乏旅にこだわりがあるわけでもなく、ロケーションの良い野宿ちを探し求めることもないし、安さを求めるって言っても宿の値段を聞いて回るのはせいぜい3−4軒。少し高くついた時でも快適な宿があればそれはそれで楽しめる。
⑦コミュニケーション
一人旅が好きだなぁ自由だなぁ、と思いながらも誰かと一緒に旅することもある。誰かと一緒に旅するのが嫌いな訳ではない。気が乗れば、相部屋の旅行者と一緒に出かけたり、ツアーに参加したりもする。ローカルの人との交流を大事にしているわけでもないし、特段蔑ろにしようというほどでもない。頑張ってスペイン語や英語で話そうと思うけど、無理な時は普通に翻訳アプリを使っちゃう。
⑧移動手段
こればっかりは自転車で移動しているから他人様から見ればこだわっているように見えるかもしれない。でも、私に取ってみると、自転車での旅行がとんでもなく楽しいから自転車を選んでいるだけで「こだわっている」のかと問われると別にこだわっている訳ではない。これまで、小舟、カヤック、フェリー、長距離バス、飛行機、トラック、ヒッチハイクと実に多様な手段を用いて移動してきた。その時々で一番面白そうな移動手段を選んで移動しているので、何も自転車での移動にこだわりがある訳ではない。
我ながら、軸の定まらない旅行だなと思う。こだわり旅は素敵だ。旅に目的を、彩りを、個性を与えてくれる。
、、、、でもさー、、、、時にこだわりが自分の旅に不自由な縛りを科すこともあるんじゃないか?そして「こだわり」という名のルーティン化に甘えて面白そうなこと見逃してないか?
気づけば1ヶ月同じ街に滞在して特に何をするでもなくボーッとドラマをみてたり、かと思えば、毎日自転車漕いで4000mの山からジャングルに到着したり、バックパック背負ってガタガタバスに揺られたり。雪山の美しさに見惚れて、リャマ肉を噛みちぎり、アヒノメン(南米主流のインスタント面)をすすって、北極圏で独り風邪ひいて絶望して、パスタを作って、YouTube動画作って、、、、、こだわりなんぞがなくたって自分の旅はどうしようもなく自分らしさに溢れている。なあに、たかだか旅行なんだ。こだわりなんてあってあってたまるか。俺は俺の好きに旅行するんだ。なんて、こだわりを持っているみんなへの若干の、いや、相当のやっかみと、自己正当化とともに、これからもこだわりのない旅行を続けていくんだろうな、、、、。