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秋にも映える!!新宿御苑のレトロ建築(近代レトロ建築-14)
今回歩いた新宿御苑の歴史を紐解くと…
甲州街道の宿場町として誕生したのが「内藤新宿」です。新宿とは、高井戸宿が遠いため追加で設けられた新しい宿場という意味。また信州高遠藩主の内藤家が幕府に返上した屋敷の一部に宿場町が造られたことが所以です。ちょうど新宿御苑の大木戸門入り口にあたる場所に四谷大木戸がありました。
江戸時代に信州高遠藩主内藤家の屋敷があったこの地に、1879年(明治12年)に宮内省により新宿植物御苑が開設され、のちに新宿御苑となったのは明治39年のことです。この新宿御苑で大正天皇と昭和天皇の大喪の礼が執り行われました。
皇室の庭園として造られましたが、戦後、国民公園となり、多くの方に親しまれてきました。広さ58.3ha、周囲3.5kmの庭園は数少ないわが国の風景式庭園の名作とされています。
この一帯の多くの近代建築は1945年の東京大空襲により焼失した中で、新宿御苑には焼失を免れ今に残る近代レトロ建築があります。
マップが見えない方(iPhoneのsafariでは警告が出る)はこちらのリンクから。
最寄りは新宿御苑駅ですが、新宿駅、新宿三丁目駅から歩いてもそう遠くありません。まずは新宿御苑の入り口、大木戸門を目指しました。
新宿御苑の大木戸門入り口付近に、甲州街道内藤新宿の痕跡である内藤新宿開設三百年記念碑、玉川上水水番所跡、四谷大木戸跡がありますので、寄り道して見ていきます。
内藤新宿開設三百年記念碑
内藤新宿は1698年(元禄11年)に開かれました。1998年に開設三百年を迎え、記念碑が作られました。
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四谷大木戸跡
1616年(元和2年)、甲州街道の江戸への出入り口として大木戸が設けられました。門は夜になると木戸を閉めていましたが、1792年に大木戸は撤去されました。
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玉川上水水番所跡
玉川上水は、多摩川の刃村堀で取水し、四谷大木戸までは開渠で、四谷大木戸から江戸市中へは石樋・木樋といった水道管を地下に埋設して通水していました。水番所には、水番人一名が置かれ、水門を調節して水量を管理したほか、ごみの除去を行い水質を保持していたとあります。
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新宿御苑入口に戻り大木戸門に向かうと、右側に旧大木戸門守衛所を見ることができます。
旧大木戸門守衛所
竣工年:1927年(昭和2年) 設計:宮内庁
宮室庭園だったころの貴重な建物で、細部まで見事につくられています。戦災も免れ、当時の独特のデザイン性や歴史的価値が高く、皇室御料地であったことを覗わせる貴重な建物です。
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残念なのは無造作にコーンで囲われていて、この建築を保存、展示しているようには見えず、あたかも工事中のように見えてしまうことです。保存状態も良好とはいえない外観です。
そのまま、園内の内側通路を通って新宿駅の方向に戻るように歩くと旧新宿門衛所があります。
旧新宿門守衛所
竣工年:1927年(昭和2年) 設計:宮内庁
ヨーロッパの古い修道院のような、シンプルで温かみのある外観が魅力です。旧大木戸門守衛所ほどは目立ちません。こちらも保存状態もイマイチなのはなんとも残念です。
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遠目で見ると背景のイチョウの黄色と建物の外壁の色がマッチして良い雰囲気です。ではまた、大木戸門に戻り新宿御苑に入りました。
旧洋館 御休所
竣工年:1896年(明治29年) 設計:小林正紹ほか
天皇や皇族の休憩所として作られ、大正にはクラブハウスとして使用されました。19世紀後半にアメリカで流行したスティックスタイルを基調とした希少な洋風木造建築です。
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園内は紅葉の真っ只中でも人はそれほど多くはなく、秋を楽しむには良い場所です。
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旧御凉亭
竣工年:1927年(昭和2年) 設計:森山松之助
昭和天皇のご成婚を記念して台湾在住邦人の有志により建てられました。屋根の形や瓦の色、内部の装飾などに中国南方地方の建築様式が取り入れられています。
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池越しに見る旧御凉亭は絵になる景色です。
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今回は新宿御苑に絞ってレトロ建築を見てきました。街中を歩き回ってレトロ建築を探しまわるケースが多い中、紅葉の中で広大な公園を歩くのも良いものでした。(なお、記事は2022年11月22日の街歩きの記録です。)
この記事は、私の「東京レトロ街歩きガイド&マップ」サイトのテーマ別「Th-07今に残る近代レトロ建築」の一部を基に街歩きをしています。記事の内容以外にもAll in Oneのガイド&マップになっています。こちらもぜひ参照ください。
またinstagramでも「近代レトロ建築」を発信していますので、訪問してみてください。
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