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万世橋からに神田須田町に残る老舗の町屋、看板建築(近代レトロ建築-11)

万世橋界隈、神田須田町の周辺は明治から大正にかけて東京で最も賑やかだった街だったというのを知っていましたか。その中心となったのが万世橋駅でした。

日本橋・銀座と並んで最も賑やかだった街の名残りで多くの老舗が須田町には残っています。その中で震災後に建てられ、空襲を乗り越えて現在でも当時のまま残っている老舗の町屋や看板建築を巡りました。残念ながら夏目漱石ゆかりの「松栄亭 (洋食)」やあの有名な「かんだ藪そば」は建て替わってしまったのは残念です。

万世橋駅は中央線(当時は甲武鉄道)の駅として1912年(明治45年)に完成しました。浅草から上野、銀座、品川を結ぶ市電の系統が集中するターミナル駅として、当時日本で一、二を争う乗降客の多い駅でした。東京駅を設計したことで知られる辰野金吾の設計による重厚な赤煉瓦建築で、後の東京駅を彷彿させるような駅舎でした。

しかし東京駅間が開通すると万世橋駅は単なる途中駅となってしまい、位置付けは低下してしまいました。追い討ちをかけるように1923年(大正12年)の関東大震災で被災してしまい、さらに「神田駅」、「秋葉原駅」が開業したことによって、1943年(昭和18年)に万世橋駅は廃止されました。その後、跡地は、2013年(平成25年)に商業施設mAAch ecute(マーチエキュート神田万世橋)として復活し現在に至っています。


マップが見えない方(iPhoneのsafariでは警告が出る)はこちらのリンクから。

最寄りのJR秋葉原駅から歩くと、神田川に架かる万世橋を渡ったところがマーチエキュート(万世橋駅跡)になります。ここから、歩きました。

万世橋駅 (前方は秋葉原)
万世橋とマーチエキュート(万世橋駅跡)
万世橋駅跡

旧万世橋駅

竣工年:1912年(明治45年) 設計:鉄道省。
かつて東京駅や神田駅ができる以前、中央線に万世橋駅があり一大ターミナル駅として賑わいました。マーチエキュートにジオラマや一部の階段やホームが再現されています。

マーチエキュート内にある万世橋駅ジオラマ
当時の万世橋駅の情景 (wikiより)

竹むら (和菓子店)

築年:1930年(昭和5年) 木造3階建
竹むらは、 1930年 (昭和5年)年創業の甘味の老舗です。作家池波正太郎が通ったことでも知られています。

小振りではありますが丁寧な造作で仕上げられており、木造3 階建としては貴重な建物となっています。外観は屋根と庇で4層に見えます。入母屋造りで2階の欄干に竹と梅模様が彫られ、軒下に木製の提灯が下げられています。建物は修復が施されており、創建当時の原型をよく留めています。

https://www.city.chiyoda.lg.jp/documents/4200/29-takemura-r405.pdf
竹むら (和菓子店)
竹むら (和菓子店)

あんこう鍋いせ源本館

築年:1932年(昭和7年) 木造3階建。

入母屋造りと2階の欄干に施された菱形模様の彫りが特徴。木製の看板は建築当時から使用(平成8年(1996)補修済)しているもの。外壁はモルタルで塗り込められているが、創建当時より防火のためにこのような材質を用いたと思われる。

https://www.city.chiyoda.lg.jp/koho/machizukuri/kekan/documents/26-isegenhonkan.pdf
あんこう鍋いせ源本館
あんこう鍋いせ源本館
あんこう鍋いせ源本館

ぼたん (すき焼き)

築年:1929年(昭和4年)
ぼたんは、1897(明治 30)年頃創業の「鶏のすきやき」専門の老舗です。

入母屋造の建物です。玄関を開けると格式の高い式台が見えます。3 階部分は増築ですが、1,2 階は創建当時の原型をよく留めています。外壁はモルタルで塗り込められていますが、創建時期より、 防火のためにこのような材質を用いたと思われます。

https://www.city.chiyoda.lg.jp/documents/4200/28-botan-r405.pdf
ぼたん (すき焼き老舗)
ぼたん (すき焼き老舗)

山本歯科医院 (看板建築)

竣工年:1929年(昭和4年)
山本歯科医院は、1897(明治 30)年以前に、現在の神田須田町一丁目1番辺りで創業しました。関東大震災で被災し、診療所兼住宅として新築された建物が現在まで残っています。外観はきれいに保たれており、医院も続いています。

震災復興期に見られる看板建築3階建ての切妻造,金属板葺の診療所兼住宅です。軒蛇腹、看板、菱形装飾などによる正面の外観意匠に創建当時の特徴が良く出ています。3階部分はマンサード形式の屋根、外壁は洗出風の左官仕上げとなっており、タイルの埋め込み模様が個性的です。

https://www.city.chiyoda.lg.jp/documents/4200/25-yamamotoshikaiin-r405.pdf
山本歯科医院
山本歯科医院

神田まつや (蕎麦)

築年:1925年(大正14年) 木造2階建
神田まつやは、1884(明治 17)年に現在の場所で創業しました。

近代和風の建物で、創建当時の原型をよく留めています。屋根の豪快な出し桁造り、巨大なちょうちんや看板など、大造りで個性豊かな店構。2 階の欄干や、1 階の松の葉をモチーフに小壁をくり抜いたデザインなどに特徴が見られます。

https://www.city.chiyoda.lg.jp/documents/4200/27-kandamatsuya-r405.pdf
神田まつや (蕎麦)
神田まつや (蕎麦)

レトロ建築を巡りましたが、ちゃんと時間をとって老舗の味を確かめたいな〜と思いました。いつか実現できるよう、もっと余裕を持って生活しなければ…。

今回は、割と狭いエリアに集中しています。余裕があれば、須田町から淡路町を抜けて、お茶の水へ足を伸ばすこともできます。お茶の水の街歩きは記事「大学の街、御茶ノ水駅と駿河台のレトロ建築(近代レトロ建築-09)」をぜひ参照ください。


この記事は、私の「東京レトロ街歩きガイド&マップ」サイトのエリア別「Ar-05神田からお茶の水を歩く」、更に詳しくはテーマ別「Th-07今に残る近代レトロ建築」を基に街歩きをしています。記事の内容以外にもAll in Oneのガイド&マップになっています。こちらもぜひ参照ください。

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