本当に必要なもの
長年、スペイン語を勉強していた。
学生時代の第二外国語がスペイン語で、そこから少しずつ、趣味の範囲だが週に一度先生について教わっていた。
お酒を飲むと、何かを書き散らしたくなる。
一人でふらっと飲みにいき、ひたすらスペイン語の活用をノートに書きまくるのがお決まりだった。
多分私なりのストレス発散だったのだろう
バーの店員さんも、何だこの人?って言う顔をされる時もあれば、面白いですねー。これ何語ですか?と聞いてくる人もいた。
理由などなくて、ただ単純に好きだったのだ。
スペイン語の音の響き。言葉の美しさ。
スペイン語圏の映画や、小説から感じる、大人になってもどこか魔法を信じているような感性。
もっとスペイン語圏の人と関わりたくて、色んな所でスペイン語が好きだと話すようにしてきた。
でもなかなか繋がりが持てなかった。
思いもかけずこんな時代になって、急に世界が閉ざされたように感じた。
それと同時に、スペイン語なんて勉強してみてもどうせ行けないし、とどうしようもなく後ろ向きになってしまう自分が生まれてしまった。
長年、続けたレッスンも辞め、スペイン語の夢も諦めた。
単語帳や、勉強ノートも見えないようにダンボールに押し込んだ。
ところがつい最近になって、スペイン語の繋がりができた。
それも思いもかけないところから。
そして今、またダンボールを開け、単語帳を取り出している。
本当に必要なものは、自ら放棄したとしても、こうしてまた帰ってくるのだ。
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