ありがとう
ある古本屋さんで、自分が小さい頃好きだった児童文学の本が沢山置いてあり、そこの店主と話をしていた。
ふと裏を見ると、どれもこれも本の値段にびっくりする。
よく考えたらハードカバーの本なんだから当たり前だ。
「毎年クリスマスとか、お誕生日になると母が本を買ってくれて…」と言いかけて、急に胸がいっぱいになり、慌ててごまかした。
こんな値段の本を、母はいつも買い与えてくれていたのか。
そんなに裕福な家ではなかったが、記念日には、母が必ず本を買ってくれた。その本を大事に読んでいくのが何よりも楽しみだった。
今の自分の感性、生き方を支えてくれているのは、間違いなくあの頃母が本を買い与えてくれたおかげだ。
大人になってから読んだ本よりも、あの頃読んだ一冊一冊の本の方が鮮明に記憶に残っている。
家に帰ったら母にありがとうと言おう。
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