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トンネルを抜けて

ドラえもんの道具があればいいのに
そんなことを考えていた
フラフープをみて、通り抜けフープだ!
懐中電灯をみて、スモールライトだ!
いや、それはビックライトかもしれないよと誰かの声。
大きくなりたいのに、スモールライトを望む僕と現実的な姉
別に、大人になりたくないわけじゃないんだ
むしろ早く大人になりたい
早く一人で生きて行けるようになりたい
そのために、ドラえもんが必要だったのかもしれない

大人になった
別に良いことなんてなかった
昔に戻りたいな
そう思うときにはもう戻れない
時間は一方通行で
ガリバートンネルみたいに両面からは入れない
きっと大人になりたいのが子どもで
子どもに戻りたいのが大人だ
そんなの当たり前だ

大人になるとトンネルを見ても何も感じない
そこにトンネルが整然と佇んでいるだけ
トンネルを抜けても、どこにも繋がっていない
ただ、現実のこちらと現実のそちらを繋げている
いわば通信路だ。5Gだ。Wi-Fiだ。

こどものころにみたトンネル
向こう側にはネバーランドがあった
でも抜けてみると、そこは紛れもない殺風景な風景で夢のカケラもない
でも、それに落胆せず、次のトンネルの先を夢見てる。
その先は何もないと知っていながら…

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