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数字にとらわれる歪んだ世界



今から、2000字に渡ってアイドル界隈の現状について話していく。
私の最推しグループINIを話題に出すが、おそらくどの界隈にも通ずる話だと思うので、興味のあるオタクの方はぜひ。




先日、INIが初めてミリオンを達成した。
簡単にいうと、CDの売上枚数が100万枚を突破したということ。
数字であらわれる実績というのはアイドルとしても一つの目標だと思う。
字面だけ見れば、確かにすごいことだ。


ただ、私はこの状況を素直には喜べない。
というのも、人気があってファンが増えた結果が必ずしも反映されていないことを知っているからだ。


サブスクが浸透し、音楽を知るきっかけ、流行のきっかけが多様化してきているこの世の中。
日本国民の多くが口ずさめる、誰もが人気と認める楽曲はCDの売上重視のオリコンランキングにどれだけ入っているのだろうか。

CDとして売上が著しくないとしても、日本だけでなく世界で流行している日本の曲はたくさんある、今はこれが世界としては主流なのかもしれない。


実際、INIは旧ジャニーズ系じゃないにしてはそこそこ健闘しているほうだと思う。
しかし、若い人かつエンタメに興味のある人だと名前を知っている程度で、日本のほとんどの人がグループ名、ましてや楽曲なんて全く知らないのが現実だ。


そんな状況でミリオンという記録の背景に何があるか。


CDを発売するたびにオリコンデイリーランキング1位を獲得してきた。
これも本当にすごいことだが、いわゆる「連覇」というのは怖い。
だんだんと「1位とって当たり前」といった風潮に変わり、「今回も1位じゃなきゃ」といったプレッシャーがオタクにのしかかる。


そして悪夢のようなことが起こる。

今回のシングルでデイリーランキング1位をとれなかったのだ。
おそらく運営側も今まで強敵がいない日を発売日に選ぶ戦略はあったと思う。
しかし、いかにも積むオタクが多そうなアイドルグループとバッティングしてしまった。
INIとしても過去最高の売上だったにもかかわらず、ハーフミリオンで勝てる相手ではなかった。


当日のイベントを配信で見ていたのだが、最後の挨拶でメンバーはどこか元気がないというか申し訳なさそうな顔をしていたのが印象的だった。
そして、口々に「もっと頑張る」と言っていた。


メンバー自身もきっと1位が当たり前だとは思っていないと思うし、いつも「僕たちはまだまだだ」と謙虚で努力家な姿勢を見せてくれる。
だからこそ、オタクが頑張ってCDを買ってくれているのに結果がよろしくなくて、それが自分たちの力不足だと思い「申し訳ない」という気持ちなんだと思う。


そこからが地獄で、両オタクが週間ランキング1位に向けてCD購買合戦が繰り広げていた。
「店舗の在庫を枯らす」といった言葉を何度も目にした。


その結果、週間では逆転しその先のミリオン突破まで達成した。


私は側からこの状況を見ていて、どこかモヤモヤする気持ちがあった。
なんかこの世界おかしいな、歪んでるなと。


私のオタクとしての持論は、超合理主義で自分のためにしかお金を出さない。
言い換えると、アイドルのために推しのためにお金を出しているわけではなく、自分が娯楽として楽しむため幸せな気分になるためにお金を出す。


実際、INIのオタクになって人生で初めてCDを積んだことがあるが、それもセルカトレカの封入とオフライントーク会の実施が初めてでこの時に積もうと決めていたからだ。
ちなみにそれ以降は、3形態1セットだけに戻っている。


これは「アイドルに依存しない」という価値観にも通ずるのだが、「推しのために」を続けていると、推しに裏切られたり思ったような結果が得られなかった際に「自分はこんだけ貢いできたのに」といった思いになってしまうのではないか。


もちろん、いろんな応援の仕方があっていいと思う。
そこを否定しているわけではない。


CDを積む、大金を貢いでいるオタクが偉くて、積んでいるオタクが「みんなで頑張りましょう!」とか呼びかけて、積んでないオタクは「自分はオタクとして愛が足りないんじゃないか、みんな頑張っているし自分ももっと貢献しよう」という気持ちになる。


ただ、こういった一連の出来事の常態化が果たして健全なオタク活動なのかなと疑問に思う。
きっと疲れているオタクもいるはずだ。


生活に余裕があって好きで売上に貢献している人、推しに会うために積んでいる人、さまざまなコンテンツへの課金を取捨選択している人、課金はせず無料コンテンツの範囲内で楽しんでいる人。
もちろん、無課金勢だからって負い目に感じることはなく堂々とオタク、ファンと名乗っていいはずだ。


オタク同士がお互いを干渉することなくさまざまな応援の仕方を尊重することも大事だと思う。



そして最初の話に戻ると、CDが記録をつくる道具でしかないのであればきっと多くのCDが廃棄されることになるし、いっそのことデジタルオンリーでも良いのではと思った。
特典類は別で販売すれば良いことだし。


あとは、ランキング。
確かに「1位」や「ハーフミリオン」といった肩書は話題にはなる。
しかし、オタクたちは数字に囚われ不毛な競争を勃発させてしまう。
こんな無意味なランキング無くなればいいのにとつくづく思う。



いつかINIの楽曲が日本や世界の流行になり本当の意味での人気グループになればいいなと願う。


そして、アイドル界隈がもっとみんながそれぞれ楽しく健全で気持ちのいい世界になればいいなと思う。






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