理想のクリスマスは過ごせないとしても
クリスマス、1週間前。
理想のクリスマスとはどんなものだろうか。
私の場合は、社会人1年目で一人暮らしで過ごす初めてのクリスマスだ。去年まではだいたい家族とクリスマスは過ごしてきた。
彼氏と、寒空の下イルミネーションを見に行って「寒いね」なんて言って手をつなぐ。おうちに一緒に帰ってきてクリスマスケーキを食べて、クリスマスプレゼントを交換して、忘れられない夜を過ごす…
なんて結果的に妄想にしかならなかったことを思い描いていた。まず、彼氏がいないのだから、成立しない話である。
マッチングアプリで出会った気になる彼はいるのだが、LINEはそっけなく返しようのない返事をしてくるし、いつ連絡が途切れてもおかしくないような有様である。クリスマスのクの字も出てこなさそうだ。
しかし、今年のクリスマス、幼馴染の友達と過ごせることになった。すごく大好きな友達で私のおうちに泊まりに来てくれる。この友達は、彼氏が途切れなくいるタイプの子だったのだが、最近4年付き合った彼氏と失恋してしまい、今年はフリーなのだ。友達からすればもしかしたら心の奥底では本意ではないのかもしれないが、せっかくのこんな機会なのだから楽しいクリスマスにしたい!そう張り切っている私である。クリスマスに一緒に過ごせるような友達がいることはすごく幸せな気もする。
クリスマスといえば、ケーキ。
そう思って私はケーキの用意に奔走する。ただ、家族とクリスマスを今まで過ごしてきた私は2人分のケーキの調達方法がよく分かっていない。当日、ケーキ屋に行って好きなカットされたケーキを選べばいいんじゃないかなどと甘く見ていたが、家周辺のケーキ屋に電話してみたところ、(24日は普通に出勤日なので)会社帰りの18時とかではほとんどケーキは残ってないだろうとのことだった。そしてクリスマスはホールケーキしか予約はできないとのことだった。
考えてもみれば、そりゃそうだ。誕生日は分散しているからいいが、クリスマスはケーキ屋さんにとって大繁忙期なのである。
メーカーで働き始めた今ならわかる。納期が24日に一点集中する。計画的に受注しないと大変なことになるだろう。ちょっと時期をずらせばいいのになんて思うが、そんな私もクリスマスにクリスマスケーキは食べたい。みんなそうだろう。
結局2人で頑張ってホールケーキを食べようか!という話になったのだが、クリスマス一週間前では遅かったようだった。駅チカのケーキ屋は予約受付が終わっていた。
電話してみるとまだ予約できるケーキが残っているというので、家から自転車で15分ほどのところにあるケーキ屋に行ってみた。幸い、2種類(いちごの生クリームと生チョコ)の予約ができるとのことだったのだが、ここで問題が発生する。
友達はいちごが食べられない。そして私は生チョコのケーキが苦手。
チーズケーキなんかの予約ができればよいのだが、手段がもう思いつかなかった。もしやと思って調べてみるが、ケンタッキーの予約も終わっている。
ちょっと大げさかもしれないが、途方に暮れた?私たちは当日はくら寿司で夜ご飯を食べて、25日にどこかおしゃれなケーキ屋さんに行くことにした。
くら寿司なら準備がいらないし洗い物も出ない。麺類も揚げ物もあるし、ケーキも食べれる!という単純な発想だ。
意外と理想のクリスマスを実現させることは難しいらしい。
この投稿を書きながら思い出したのが、瀬尾まいこさんの『強運の持ち主』というお話。
その中に「ダイエーで感じる幸せ」について描かれる一節がある。(読んだのはだいぶん前なのだが、すごく印象的で記憶に残っている)
というような内容だった気がする。(今、本が手元にないので、微妙に違ってたら申し訳ない…)
無理やり幸せを作り出そうとしなくても日常のささやかなところに幸せはあるんだよということを伝えられている気がする。よく聞くフレーズかもしれないが、どこに行くかより誰と過ごすかだということもしみじみ感じる。
せっかく、ケーキ屋まで来たのに何も買わないのもすこし悲しかったので私は500円くらいのいちごのタルトを買って店をあとにした。それを今ほおばりながらこの文章を書いている。
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