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傲慢と善良

「傲慢と善良」
辻村深月さんの著書だ。

この小説は、主人公の真実が婚活をして知り合った相手との結婚直前にとある理由で失踪してしまうという小説だ。

この小説を手に取ったのは、辻村さんの小説が好きだからという理由ももちろんあるが、それ以上に、ここに私が求めている答えのヒントが隠されているような気がしたからだ。

私は現在22歳でまだ周りから結婚を焦らされることはないけれど、なんとなくどんな人と人生を歩みたいか?とか恋愛と結婚は違うのか?とか考え始めている。

でも考えても明確な答えは出なかった。

きっと今の自分の人生経験や知識が不足しているのだと思い、小説にすがりついたというわけだ。


始めてこのタイトルを見たとき、私や私の生活とは繋がりの薄い言葉だと思った。しかし、この考えこそがまさに傲慢だったのだと後で気づくことになった。

傲慢と善良。それは、現代の結婚がうまくいかない理由だという。

自己評価は低いのに自己愛は高いから、ささやかな幸せを望んでいると言いながらも相手を値踏みする傲慢さ。そして、善良なあまりに親の言いつけを守り誰かに決めてもらう人生を送ってきたという自分のなさ。

こうやって改めて言葉にすると、冷酷な感じがする。
そして、「私はそんなことはない」と違う根拠を並べたくなる。

しかし、私の「私は違う」という確信は真実の姉のセリフでぐらぐらと音を立て始めた。

「みんな、自分のパラメーターの中のいい部分でしか勝負しないんだよ。自分の方が収入が低くても、外見が悪くても、相手より勝っている部分にしか目が向かない。傲慢だけど、人ってそういうものじゃない?」

正直どきりとした。胸を張って否定することはできないと思った。

これが、自己愛が強いとか自己評価額が強いということなんだと理解した。

頭の中では、相手の自分にない良いところを認められていると思っていたけど、自分優位なパラメーターを重視して自分は相手より上だと評価している場面がある。

自分のことを恥ずかしく思った。

なんでこういう思考になっているのか考えてみたけど、きっと、自分を安心させるためなのだと思う。

だからこそ癖になっていた。気づかないふりをしていた。


自分の傲慢さを認識して、人の見方を意識的に変えていこうと思った。
私にとって「傲慢と善良」は小説というよりは自己啓発本に近いものになった(笑)


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