わらびもちって、なんなんだろう
わらびもちってなんなんだろう。
松重豊さんが自身のラジオ番組『深夜の音楽食堂』で、わらびもちが高級化していることについて異を唱えていた。
松重さんによると、故郷福岡では、もなかの皮にわらびもちをのせてきなこをサッとかけて、おじさんが20円、30円で売りに来ていたものらしい。(これは福岡だけかもしれない…説)
あぁ言われてみれば確かになあ、わらびもちってなんなんだろうと思う。
ちょっと暑いなあ、けれどアイスほどキンキンに冷たいものが欲しいわけじゃない、というときに食べたくなるし、スーパーでもひょっこり目立つところに手頃な値段で売られているから、ついついあの水色のトレーに手が伸びてしまう。
代表的な夏の風物詩というわけではないけれど、ひんやりしたいときにそばにいてほしい。
しかし気温が下がって寒くなったら、わらびもちのことはすっかり忘れて、芋とかかぼちゃのスイーツに夢中になる。そんなサイクルを年中繰り返している。
冬はスーパーで売られているのだろうか。それすらわからないとは、なんと薄情なことか。
しかもわらびもちって、はっきり「これ」と主張するような味があるわけではない。
きなこと黒蜜をかけて、初めて「わらびもち」って認識しているような気がするし、現代では抹茶わらびとかクリームわらびとか、バリエーションは様々だ。
それでも「わらびもち」なのだから、なんだかつかみどころのあるようで、ないような食べものだなあと思う。
わらびもちにインタビューをする
ここからはわらびもちの気持ちになって考えてみようと思う。
平々凡々と生きてきたわらびもち。
それがなぜかじわじわ高級化扱いされることになったわらびもちにインタビューをしたら、どういう返事が返ってくるのだろう。
インタビュアー
「わらびもちさん、ついにあなたも注目されるようになりましたね!今、どのようなお気持ちですか」
①「そうなんですか。いやあ、ま、嬉しいかぎりです。」
②「そうですね、長い冬を越え、ついに我らの時代の到来です。様々なお味とコラボもさせていただいております。」
③「いやはや、驚いています。なーんでわたしなんでしょうね…大人しくスーパーに並んでいたのですがねえ」
①の回答は無難そうに見えて、今後の自らの展開をしっかり見据えた感じだ。淡々とした今のこの気持ちをどこまで保てるだろうか。
②の回答は、密かにチャンス!とばかりに自分を売り込む様子が窺える。羽振りの良い暮らしを夢見ているか。
③の回答は、高級化扱いされることが嫌な様子。ちょっと放っておいてくれないかな…とさえ思っていそう。
正直どの回答も謙虚そうに見えて、腹黒そうに見えるし、腹黒そうに見えて、謙虚そうにも見える。
人間みたいだ、と思う。でもさ、そんなの疑いだしたらキリがない。目の前にあるわらびもちが、全て。
わたし自身がわらびもちだったら
チョコレートやドーナツは、海外生まれだからか、主張が強い食べものだと思う。
チョコレートとか何やっても「チョコ〜ッ!!」だし、ドーナツも何やっても「ドゥーーナッツ!!」って感じだし。
わたしがわらびもちだったら、チョコやドーナツの主張の強さが羨ましくて仕方ないと思う。
わたしには、本当になにもないから。
実際「これ」といった特技や自分がないことは、長年の悩みで、今もそうだ。
いつも何かに、誰かになりたがっている。
けれど、「これ」という主張はなくてもいいのかもしれない、なんて思う。
「これ」という主張がなくても、きなこや黒蜜をかけても、クリームになっても、「わらびもち」というのはわかる人にはわかるのだから、わかってもらえる人にわかってもらえれば、それでいいのではないだろうか。
最近食べたわらびもちたち
おまけ。
①職場近くの新規オープンしたわらびもち屋さん
職場の近くにわらびもち屋さんができて、みんな同じ手提げをもって歩いていたのが気になって、行ってみた。いわゆる「高級わらびもち」だ。
1つ1つが…でかい。写真ではあまり伝わらないかもしれないけれど、スーパーのわらびもち4個分が、1つ分だ。
6つ入って、840円。
とろとろの きなこたっぷり
やっぱり黒蜜ときなこの組み合わせが好き。
②宇治抹茶ラテ冷やしわらび(セブンイレブン )
最後の一つをつかみとった。
わらびって書いてるけど、それっぽいのが見当たらず、どういうことなんだろう…?と思ったら
中から出てきて、あ、そういうことね、と納得。
抹茶ムースが濃くて、仕事帰って家で食べるのにちょうどよかった。
そして今日はスーパーで49円で買ったわらびもちを口にぽいぽいいれながら、これを書いている。
これからもわらびもちは、身近なものであり続けるだろう。
ありがとうございます。文章書きつづけます。