3.アレルギーの怖さ
お久しぶり……というわけでもない?
えー、この度、私ことゆるですね
アナフィラキシーで入院してました。
あ、今日無事に退院しましたよ。
セカンドアタックも起こしましてね。
なんかあと一日入院説も出ましたけど。
ゆるは自己紹介を見ると分かる通り
とにかくアレルギーが多いんです。
エピペンも所持している重度。
中にはとても珍しいアレルゲンも……。
しかし皆様、ご存知ですか?
アナフィラキシーの本当の怖さを
アレルギーがどれほど危険かを
花粉症などがポピュラーですが
本当の怖さを知らない人が多い
花粉症や蕁麻疹で済む人もいる
中には、命の危険を伴う人もいる
あくまで個人差はあります
でも、分かってほしい
アレルギー持ちの人にとって
時にアレルゲンは猛毒になることを。
まず、今回の状況を説明させてもらおう。
今回私が反応したのはキムチだった。
店頭によくあるこくうまキムチ。
「一部原材料に小麦・エビが含まれます」とは書いてあった。
いわずもがな、この2つは揃ってアレルゲン認定されているものである(自己紹介のnote参照)
だが、これがまた不思議なのだが……
一部だからか、ごく少量だからか
今まで食べても大きなアレルギー症状が出なかったのだ。
それは何度か試した(危険なので真似厳禁)
他のキムチでは出るのだが、こくうまは大丈夫だった。だから何も考えずに夜食で口にした。
この数分後。それは起きた。
お腹を壊し、トイレに駆け込む。
これで留まるかと思えば吐き気が強まる。
横になってみたら凄まじい眠気が襲う。
動悸も酷く、息苦しい。
肌や目がどんどん痒くなっていく。
この眠気、眠いから寝ようなんてものじゃない。
まるで身体から引きはがされるかのような強烈な眠気、もはや「落ちる」に近い言葉を使える眠気なのだ。
その時、LINEで喋っていた友達が察して電話をかけてくれたことで、幸いにも意識が引き戻された。神対応である。
(当時の会話と後の会話↓)
この後、這うようにしてエピペンを取り出し、投与。
すぐさま119通報をして今に至るわけだ。
もう一度言う。
キムチを食べただけだ。
今回はストレス過多だったのがいけないらしい。
ストレス、体調、摂取した量……その程度によってはアナフィラキシーが誘発されてしまうというのだ。
たったそれだけで、こうなってしまう。
今回は小麦かエビ、普段なら反応しないごくわずかな量だったのがストレスによって誘発されたというのが医者の見立てだった。
あの友人の電話がなかったら?
もしエピペンが手元に無かったら?
もっと多い量を食べてしまっていたら?
今頃私は、空の上にいたかもしれない。
さて、ここからはアナフィラキシーについて記していこう。
発症する人やアレルゲンによって出る症状は違うので、あくまでもゆるの場合と考えてもらえると幸いだ。
まず、アナフィラキシーとは何か。
簡単に言えば「重篤なアレルギー」のこと。
呼吸器症状、胃腸症状、循環器症状、皮膚症状、神経症状など、様々なアレルギー反応が一気に、または連鎖的に起こることをいう。
食物、薬剤、ハチ毒……など、反応するものは様々。
私のアルコールだと薬剤アレルギーだろうし、カカオマスなどは食物に入る。紫外線に関してはその他だろうか。
今回起こったゆるの症状を思い出してみよう。
①お腹を壊す(下痢=胃腸症状)
②酷い吐き気と気持ち悪さ(胃腸症状)
③動悸が酷くなる(循環器症状)
④息苦しくなる(呼吸器症状)
⑤肌や目が痒くなる(皮膚症状)
⑥意識を飛ばす(神経症状)
フルコンボだドン(死語)
もはや見事だ。こんなにもいい例が出来てしまうとは。全く嬉しくないが。
今回は一気にというよりは、連鎖的にが近い。
これが①~⑤の中で一つだけなら、アレルギーだ。
これが一気に、もしくは連鎖的に出る。または⑥の症状が出ると、アナフィラキシーとなる。
というより、もはや⑥まで行くとショック状態なので「アナフィラキシーショック」である。
ショックまで行ってしまうと、血圧が急降下したり、気道が塞がったり、それこそ命にかかわる重篤な事案となる。
まさに紙一重。何度も言うが、今回の友人の対応に関しては完璧としか言いようがない。
目の前でアナフィラキシーを起こした人が何故かふっと寝そうになっていたら、大声で肩を叩きながら呼び掛けるなど、絶対に寝かせないようにとだけ言っておこう。
それが眠気ならいいが、血圧急降下による意識消失の前触れの可能性の方が高い。気を付けた方がいい。
次にエピペンについて、記していく。
エピペンとはアナフィラキシーを起こした時に打てる頓服に近い自己注射薬で、中身はアドレナリン。いわずもがな劇薬だ。
一応打てるのは医療従事者や教員、保護者、本人とされている。
が、本人の意識が飛んでいる時など、万が一の時には打ち方さえ分かっていれば打ってもらって構わない。
医療従事者以外が注射をするので本来なら法律違反だが、ここは緊急避難というものが適用され、法的に罰せられることは無い。
本来なら打てない素人が扱っても大丈夫なように設計されているため、打ち方を知っている場合は迷わず打ってほしい。
ちょうど昔撮った写真が残っていたので載せてみよう。本当に今年の夏頃に撮った写真だ。
なかなか見る機会も無いと思うので、是非見てみてほしい。
こんな感じになる。
箱の中にはキュッと収まっているため、一度出すと戻せないことが多かったりもする。え、私が不器用なだけって? 気のせいです。
見ての通り、エピペンには使用期限がある。
これが過ぎると打っても痛いだけで効かない。最悪すぎる。
そしてアレルゲンなどを書いて、黄色いケースに貼っておくシールがある。
どうしてかはあまり知らないが、処方している病院と医師の名前は大切らしい。なんでだろう。どこかで調べたい。
練習器具に関しては名前の通り、薬剤や針がないものの、本物のエピペンのように練習出来るものだ。
もし持っている人がいたら、迷わず教えてもらうといい。
本人は医師や薬剤師から指導を受けているため、きちんと教えられる。
ちなみに針の太さはこれだ。
画質が荒いが許してほしい。
とても太いが、理由がある。
万が一の時、ズボンを切るなんてやってられない。
だが、ジーンズなど硬い素材だとそうもいかない。
この太さは、ジーンズすら貫通する。
万が一の時、着衣の上から刺せるのだ。
ちなみに刺すとこうなる。
なんか伸びたなーが最初の感想。
オレンジ色の先端が伸びて、針を隠してくれる構造だ。
まぁ、想像できるだろうが、痛い。
針が刺さってくる感覚が分かるぐらいには痛い。
後から見たら血がわずかに出たような痕もある。
普通に注射なんだなと思った記憶がある。
命の痛み! と言って怒られた。解せぬ。
このエピペン、かなり難しいのが持ち歩く方法だ。
エピペンの保存温度を知っているだろうか。
15℃~30℃だ。近年の灼熱に近い夏は大変である。
つまり、冷蔵庫にも入れられない。
日向はおろか、鞄に突っ込むだけでも危うい。
大抵の人は保冷バッグを使っているらしい。
自分達はオーダーメイドのエピペンケースを使用している。
身バレが怖いので載せないが、エピペンを安全に持ち運べて、緊急時の事も考えられたものだ。重宝している。
この保存温度を超えると「アドレナリンが無効化する」のだ。
つまり打っても痛いだけで助からない。やめてほしい。
エピペンはかなり大切な物だ。
打てば血圧を上げたり、気道を拡げたり、かなり強い効果が出る。中身がアドレナリンだから当然と言えば当然だ。
それこそ命を繋げる橋渡し役のようなもので、これがあったから今回も助かったことは間違いない。
だがエピペンは、効いても15~20分しか持たない。
それだけ? と思うかもしれない。もちろんその時間が経ち、そこまでに適切な治療が行われなければ、もう一度アナフィラキシーを起こす。
ここで、少し考えてみてほしい。
119通報をして、救急車が来て、運ばれて治療開始。ここまでに15分あれば、大抵は間に合うのではないか。
この15分の間に、血圧の急降下や気道閉塞が起こればほぼ助からない。
言ってしまえば重篤な事案までの時間を引き延ばし、助かる確率を増やすのがエピペンなのだ。
だからこそ、アナフィラキシーを疑ったら打てばいい。
中身はアドレナリン。劇薬ではあるが、間違って打っても15分ほど動悸や血圧上昇が起こるだけだ。
打って軽症だった。間違いだった。
それならそれでいい。笑い話にすればいい。
本当にアナフィラキシーだった場合、ショックに移行した場合、助からないことだってあるのだ。まさに命の危機と隣り合わせである。
エピペンを打ったら即119通報
これさえ守れば、大抵は助かることが多い。
アナフィラキシーを持つ人にとって、エピペンはお守りにも近い。
・本人の意識があるうちに打ってもらう
・会う時にはエピペンの場所を教えてもらう
・最悪自分が打つ覚悟をして打ち方を教えてもらう
最悪の事態が起こった時、決して後悔しないようにしてもらいたいと、当事者として強く思う部分がある。
さて、ここからはアナフィラキシーを起こした場合・目の前で起こっている所に居合わせた場合の対処法をお伝えしよう。
いわずもがな、エピペンを所持していれば打つ。
そしてさっきも言った通り、即座に119通報をしてもらいたい。
アナフィラキシーを起こしています。
エピペンを打ちました。
と言えば、秒で向かってくれる。
そのぐらい危険なものだと指令室も救急隊も分かってくれている。安心して伝えてほしい。
そしてこの時、エピペンを打った時間を覚えておいてほしい。
大抵効能が続くのは15~20分。そこを逆算して医師や救急隊も動いてくれることが多い。
その後、必ず本人の様子を観察することが大事だ。
・嘔吐した場合に備えて顔は横に向ける。
・脈の取り方が分かれば、触知出来るか確認。
・意識消失をしそうか。もしくはしているか。
・どんな症状を訴えているかを覚えておく。
・本人のことは無理に動かさない。
特に最後だが、これが結構大事だ。
必ず安静にさせておくことが大事で、これにはこんな理由がある。
運動することでアナフィラキシーを起こすことがあるのだ。
運動誘発性アナフィラキシーショックといって、何かを口にしたり、触れたりした後、運動することでアナフィラキシーを起こすものだ。
もちろんふらついて倒れて頭を打つこともあるため、とりあえず安静にさせてほしい。
また、エピペンが間に合わないこともしばしばある。
そうなると最悪心停止を起こしかねない。
その場合、決して慌てず、心肺蘇生をしてほしい。
・顎を上に向けて気道確保
・120回/分の速さで胸骨圧迫
・(出来そうなら)人工呼吸
人工呼吸は出来そうならでいい。
比率は胸骨圧迫30回→人工呼吸2回だ。
昨今の世の中、胸骨圧迫や人工呼吸等、心肺蘇生に関してはYouTubeなどに動画が溢れている。
今一度覚えておくと、アナフィラキシー時以外にも人助けが出来る可能性が高いため、おすすめだ。
ここからは、アナフィラキシーの後遺症について。
そして、最初に出たセカンドアタックについて話したい。
アナフィラキシーは、最初こそ「助かった! 神様ありがとう!」という気持ちが出てくる。
が、そんな甘くいかないのが世の常。
アナフィラキシーは事後が一番きついと言っても過言ではない(※人による)
ちなみに今回、ゆるが出した後遺症はこちら。
・全身炎症による発熱
・気持ち悪さと吐き気の継続
・差し込むようなお腹の痛み
・片頭痛発作と間違えるような頭痛
・横になっていないと辛い倦怠感
乳酸リンゲル液という輸液を使い、ステロイドを入れ、時に吐き気止めや痛み止めを入れ、氷枕などで冷やし、どうにか治るまで安静にするしかないのが現状。
ちなみに薬の効きなど一時的だ。
これが大抵数日は続く。たまったもんじゃない。
そして、アナフィラキシーの恐怖
セカンドアタックについて
これは簡単に言えばアナフィラキシーをもう一度起こすことだ。
大抵24時間~48時間「以内」に出る。つまり2日が勝負だ。
だからこそ、入院を求められることが多い。
何かあった時、運ばれるよりはその場で対処できた方が確実に安全だからだ。
そして今回の件で初めて知ったのだが、エピペンはこのセカンドアタックをある程度だが抑える効果があるらしい。
まぁ残念なことに医師の予想通り、あと少しで24時間というところでセカンドアタックを起こしたのだが。もはや見事かもしれない。
夜中にとんでもない吐き気とお腹の痛み、目の痒みで目を覚ましてナースコールをした。大騒ぎになったのは言うまでもない。
本来ならもう一日入院しても許されるらしかった。
年末前最後の通院祭りがあり、このままだと常備薬が無くなってしまうため、退院させてもらったが。
ちなみに今もかなり体調が悪い。
貰った頓服をひたすらに飲んではどうにかする時間が続いている。軽く歩くだけで息が上がるのは勘弁してほしいところだ。
そしてエピペンは、何と基本的に外注だ。
つまり……今から数日間は、エピペンを無しで過ごすことになるのだ。これほど怖いことは無い。
何かあれば搬送されるしかない。助かる確率も下がる。
毎日がサバイバルすぎる。
本当に明日があるかも分からない生活なのだ。
さて、どうだっただろうか。
花粉症でくしゃみが止まらない
喘息が冬はキツくなる
ちょっとかぶれて蕁麻疹が……
これらもアレルギーだが、それが一気に重篤化するとアナフィラキシーになってしまう。
私も実は最初の方こそ、アトピーや花粉症、喘息から始まったnot アナフィラキシーだった。
案外食物などでも出やすいが、私の場合はアルコールや紫外線がある。
アレルギーはわりと皮膚科や内科なら検査を導入しているところがあるため、以下の症状に心当たりがあれば一度やってもらいたい。
・何か特定の物を食べた後に体調を崩す
・特定の物に触れると異変が出る
・花粉症や喘息のような症状が続く
軽症なら、まだ薬で抑えられることがある。
金をかけてでも、おかしいと思ったら病院で相談してほしいところだ。
アナフィラキシーはかなり怖い疾患だ。
でも、周りの知識と理解で嫌でも救われることが多い。
決して無理だと言われた物を食べさせない
周りからとにかく除去し続ける
万が一なってしまったら冷静に対処する
触れるだけで、食べるだけで、飲むだけで
たったそれだけのことで命を落としかねない。
「下手したら死ぬ」と分かってほしい。
周囲の理解が少しでも増えるだけで助かるのだ。
これぐらい……が、あなたを加害者にしかねない。
あなたにとって大切な人を被害者にしかねない。
もちろん本人がここまでは平気と分かっていることもあるため、とにかく本人の意思と意見に従ってほしい。
そしてこれは勝手な思いだが、好き嫌いを言える幸せを分かってほしい。
もちろん吐いてでも食べろとは言えない。
だが、私のように大量のアレルギーを持っていると、好き嫌いなど言ってられない。嫌いでも食べないと栄養失調になる。
かつて、こんな投稿をXで見たことがある。
「アレルギーになれば、○○を食べずに済むのに」
きっと軽い思いで言ったのだろう。
その人なりの悩みで呟きたくなったのだろう。
それでも、相手が公開垢で流れてきたこともあり、激しい怒りと嫌悪の思いが湧いた。
そんなことで? と思ったあなた。
どうか自己紹介noteを見て、一日だけでいい、記されたアレルゲンを完全除去した生活をしてみるといい。
下手に食べたら死ぬという思いを持って、触る物を間違えたら死ぬという思いを持って生きなくてはいけない。
想像以上に心をすり減らす日々だ。
でもなってしまったものはしょうがない。
どうかもう少しだけ、アレルギーの怖さを知ってほしいと切に願っている。
そしてあなたの周りに当事者がいたら、どうかこのnoteを思い出し、理解を示してあげてほしい。
また次回、何か書くものが決まった時に。
ゆる