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【流れの跡イロイロ】ゆるく楽しむ日曜地質学:2024年11月17日号

11月も半分が過ぎました。
現在、地質調査の仕事が忙しく、何もできずにあっという間に年末になってしまいそうな予感がします(;^_^A

マグマが流れた跡

みなさんは「流理構造」を知っていますか?
簡単に言うと、マグマが流れた痕跡のことです。
例えば、ドロドロのカレーをかき混ぜると少しのあいだ、流れた跡が残りますよね。あれが岩石にそのまま刻まれたものと考えれば、イメージしやすいかと思います。

この流理構造は「流れの跡が何でできているか」で主に2種類に分けられます。

流離構造が認められる火山岩の礫:筆者撮影

これは秋田県八峰町のとある海岸で見つけた流理構造です。
バキバキに破砕した溶岩のカケラと土砂が混ざって流れ下り、堆積してできた地層です。
長い年月の間に固結して「凝灰角礫岩」になりました。
この中に含まれる礫の1つに流理構造があります。写真の中央です。

この岩石はおそらく安山岩。
右上→左下→右下
と「く」の字にカーブしたスジが見えますよね。
これが流理構造です。

流理構造をつくる"スジ"は色の違いで描かれており、この色の違いは鉱物の違いを示しています。
つまりマグマの流れで鉱物が並び、それがスジになって流れの痕跡として残りました。

流離構造が認められる火山岩の礫②:筆者撮影

これも流理構造。
黒い鉱物がスジをつくっています。

流離構造が認められる火山岩の礫③:筆者撮影

真ん中よりやや左上の黒い礫に流理構造があります。
こんどは鉱物のスジではありません。
いったい何で流れの痕跡ができているのでしょうか?

流離構造が認められる火山岩の礫③ 拡大:筆者撮影

拡大しました。
ブツブツと小さい穴があり、良く見ると穴は横方向に伸びています。
それらの穴が横方向に並び、スジをつくっています。
これはマグマの気泡が並んで流れの痕跡として残り、流理構造を形成しています。

いかがでしたか?
鉱物でできた流理構造と気泡でできた流理構造。

ただの石ころと思うなかれ。
それぞれに特徴があり、「でき方」に違いがあり、それぞれの歴史を示しています。

みなさんも色々な「流理構造」を探しに秋田県八峰町へ行ってみませんか?


今週の予告

やはり書けませんでした・・・。
先週は2案件のデータ取りまとめを並行してやりつつ、別の案件のボーリング調査の管理業務もやらねばならず、かなりのマルチタスクで脳みそが疲労困憊でした(;^_^A
土曜に何とか1本投稿できて良かったです。

今週も同様の状態が続きますが、引き続き以下を目標に頑張りたいと思います。投稿されなかったら「大変だったんだな」と思ってください。

〇11/20 水曜日:都道府県シリーズ 2週目
福井県の地形・地質についてについて【都道府県シリーズ第2周:福井県 導入編no.1】※タイトル変更します。

〇11/22 金曜日:日本の歴史と地形・地質
「織田信長の伊勢侵攻」を地形・地質的観点で見るpart4【合戦場の地形&地質vol.7-4】※タイトル変更します

では、今週もよろしくお願いいたします。

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