規則正しい?谷地形:埼玉県中西部平坦~中山間地域【流域を考える】
埼玉県中西部の秩父盆地は、主に新第三紀中新世の前期頃(約2000万~1400万年前)の山地と第四紀更新世中~後期(約77万~1万年前)の平坦な段丘で成り立っています。
特に山地は地質に左右されて様々な地形が見られるのですが、今回は異様に「規則正しい」地形を紹介します。
場所は?
秩父盆地は上図の⑩です。
埼玉県のプロローグはコチラ↓
また秩父盆地の成り立ちについては、以下の過去記事をどうぞ↓
地形を見る
では行ってみましょう!
秩父盆地全体の地形図です。
やはり段丘でできた平坦地が目立ちますよね。またポツポツと山頂が平坦になっている場所もありますが、これは侵食からわずかに残った古い段丘の名残です。
それ以外の、主に南西部に見える山地が約2000万~1400万年前の地質でできた山地です。
前回は蛇行と凹凸が激しい地形でしたが、今回はやけに規則正しい地形。
これです。真ん中あたりの縦長の葉っぱのような谷。
真ん中を南から北へ流れている川は伊豆沢と名付けられています。この伊豆沢沿いに集落があり、水田が築かれています。
地質図を見ると一面同じ色ですね。
ただしこれは大雑把な図ですので、もっと詳細な地質図を見ると、砂岩・泥岩・礫岩の互層になっています。
もちろん「規則正しい」と言っても自然の地形なので、人間がつくったような左右対称ではありません。この地域を詳しく見ると微妙な違いはありますので、そこは地質の違いが影響してると考えられます。
とは言えこのあたり一帯は、地質の時代が同じ(硬さ等、性質が近い)であり、かつ地層の方向(専門的には地質構造と言います)がほぼ同じ(東に30~50度傾斜)という要素が重なって、統一的な地形になったのだと考えられます。
流域を知るのにちょうどいい
私の記事ではたまに「流域」という言葉が出ます。
降った雨が「とある河川」に集まる範囲を流域というのですが、百聞は一見に如かずです。見てみましょう。
このように、降った雨は山頂(赤丸)を境にして青矢印側か赤矢印側へ流れます。その中でも青矢印側に流れた雨水だけが、真ん中の川に流れ込みますよね。
そして地形図上で、この山頂(尾根)を線で結んでいくと・・・
このような図になります。
赤線で囲まれた範囲が伊豆沢の流域で、その面積を流域面積と言います。
この流域内で雨量が一定だとすれば、雨量に面積を掛ければ川の流量を導き出すことができます。
ハザードマップの中の浸水区域想定図は、この流域面積をもとに計算された結果をマップにしたものです。
自分が住んでいる地域の河川の流域がどんなものなのか、一度地形図で眺めてみるのも面白いかも知れませんね。
「流域」はコミュニティ単位?
同じ川の水を使うという意味では、流域はコミュニティの最小単位なのかも知れません。特にこの伊豆沢は南北にまっすぐで分かりやすいですし、流域に住む人々は「自分たちの範囲」を明確に意識してたかもしれません。
伊豆沢の合流点付近には、左右に向かい合わせで神社があります。
東の神社は、もしかしたら昔はもっと山側にあったのかも知れません。
おそらく伊豆沢の人たちは、東の山と西の山には別々の神様がいると考えたのだろうか?という私の想像が根拠ですが(笑)
そう考えつつ最上流部を見ると、そこにも神社が!
南の山を東西の山と区別していたのでしょうか?
また南東の尾根にもある神社はどんな意味合いだったのか?
興味深いですよね。
今回は以上です。
お読みいただき、ありがとうございました。
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