![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/58619877/rectangle_large_type_2_751849f5941284cf109101ea859d0213.jpg?width=1200)
"深海底"がシンボルの山に?!:滋賀県南東部平坦~中山間地域【バーチャル観光vol.16】
滋賀県の南東部平坦~中山間地域は、古琵琶湖層群のような新しめの軟らかい地層が広く分布し、丘陵地をつくっています。
また一方で、一部の古くて硬い地層が山地をつくっています。
今回はその山地の1つを紹介します。
場所は?
再確認しましょう!
![24_周辺市町村位置01](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/58614368/picture_pc_9131e901f5239722a40ff3bed8ef209c.jpg?width=1200)
スーパー地形(カシミール3D)より抜粋した画像をもとに筆者作成。
なおカシミール3Dは元データとして国土地理院の「電子国土」を使っているそうです(出典:国土地理院ウェブサイト)
※トップ画像や以下の地形・地図画像すべて引用もとは同じです。
滋賀県は京都府の東隣に位置しています。
![24_地形区分02](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/58614523/picture_pc_ad1b39dd3486735346e890961b25bc7c.jpg?width=1200)
南東部平坦~中山間地域は⑨です。
![2409_⑨地域市町村_02](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/58615058/picture_pc_16082d06f4969aa2aabfa20a308c791e.jpg?width=1200)
⑨地域は上図6市町それぞれの一部地域。今回は野洲市が舞台です!
地形を見る
では行ってみましょう!
![画像4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/58615185/picture_pc_0f3e64c7c035c2508c1b9de7f1e06ae6.jpg?width=1200)
⑨地域の大部分は丘陵地で、その間に河川沿いの平坦地があります。
その中にあって、北西の山地はちょっと目立ちますよね。
![画像5](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/58615269/picture_pc_1fda61d0d6df4aa6dce700a5728854b5.jpg?width=1200)
こちらです。
滋賀県のプロローグを読んで下さった方々はピンと来ているでしょう(笑)
![画像6](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/58615411/picture_pc_5026e369f9639063b18dfae2fe1ee63a.jpg?width=1200)
この真ん中の山だと思います!
![画像7](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/58615459/picture_pc_21cebbfa61a50d91ede0f93757ec0ac2.jpg?width=1200)
![画像8](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/58615475/picture_pc_81bf7af5070c2c3a9c12fdb33b21860b.jpg?width=1200)
そう、三上山(みかみやま)です。別名は近江富士(おうみふじ)。
思ったよりはゴツゴツしてますが、横から見たら綺麗な三角形に見えそうですね♬
ウィキペディアの野洲市(やすし)で三上山がトップになっていることをみると、やはり同市のシンボル的な山なのでしょうね。まさにふるさとの山。
![画像9](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/58616023/picture_pc_67b7b0fc09c84bccda5fc11879e10c6e.jpg?width=1200)
標高は432mと決して高くはありませんが、雄大な雰囲気の山ですよね。
どんな山?
野洲市のシンボルである三上山。地質は何なのでしょう?
![画像10](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/58616163/picture_pc_fbb8dc776ce2d9e1b5b3d49598dcd083.jpg?width=1200)
シームレス地質図V2によれば、ジュラ紀に大陸にくっついた付加体のチャートでした!!
チャートと言えば、カッチカチに硬くて、ハンマーで不用意に叩くと軽く跳ね返されるほどです。時には火花が散ることも!
急斜面が多いのも頷けます。
![240901_5万分の1地質図_01](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/58616458/picture_pc_9e0c9d4590589a3046f351fd902c2836.jpg?width=1200)
5万分の1地質図幅「近江八幡」より
5万分の1地質図を見ると、地層の面(層理面)の方向は場所によって違っていて、地層がグニャグニャ曲がっている(褶曲:しゅうきょく)のが分かります。そしてチャートだけではなく珪質泥岩(珪質分が混ざっていて普通の泥岩よりも硬い泥岩)が挟まっているんですね。
地層が曲がっていたり、違う地層が挟まっているなどが原因で、少しゴツゴツしたカタチになったと考えられます。
深海からシンボルの山へ
そしてチャートは実は水深4000m以上の深海でできる地層なのです。
なぜかと言いますと、水深4000m以上にもなると、陸地から何かが流れてくることはありません。
ですので堆積するものは、雪のように上から降って来る(マリンスノーと呼ばれる)プランクトンの遺骸(殻)だけになります。
プランクトンの殻の主成分は2種類で「炭酸カルシウム」または「二酸化ケイ素」で、炭酸カルシウムは水深4000m以上だと水圧で溶けてしまいます。
そして二酸化ケイ素の殻だけが堆積してチャートができます。
![チャート](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/58620335/picture_pc_1309d66f68fc2b2f1b47ac539f7f4cd2.jpg?width=1200)
チャートの岩石標本:地質標本館ホームページより
※チャートはこんな感じの岩石です。
つまりチャートでできている三上山は、もとをたどれば水深4000m以上の深海底だったということになるのです!
それが数億年の時を経過して陸地になり、人々に愛される山になったなんて、なかなかロマンのある話ですよね。
そんなことを考えつつ、三上山の3D画像をお楽しみください。
![画像12](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/58619462/picture_pc_a7bbf74ba22a878af918cee41d05e11b.jpg?width=1200)
![画像13](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/58619477/picture_pc_95938688ac03fc4f74e30d75ee7890f3.jpg?width=1200)
![画像14](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/58619489/picture_pc_6059b7e404857e0774647813bded6bcc.jpg?width=1200)
![画像15](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/58619501/picture_pc_834b101c77f7ff9be339255b101e7de7.jpg?width=1200)
![画像16](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/58619508/picture_pc_e9eeab79c7670304443fea1cb0fa617d.jpg?width=1200)
![画像17](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/58619515/picture_pc_bdace85ada05f3c51cb14479ecaa430d.jpg?width=1200)
![画像18](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/58619523/picture_pc_91946205c9b87569b05725e0ae579244.jpg?width=1200)
アクセス
三上山へのアクセスを簡単に紹介します。
![240901_アクセス](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/58619548/picture_pc_54bddc4bd846d8afe0a7a29c3af67f00.jpg?width=1200)
電車:JR琵琶湖線の野洲駅(赤丸)を降りると目の前に見えます。
自動車:名神高速道路から栗東第二IC(青丸)で降りて国道8号線に合流し、北東へ。
以上となります。
お読みいただきありがとうございました。
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参考文献
吉田史郎・西岡芳晴・木村克己・長森英明(2003)近江八幡地域の地質.地域地質研究報告(5 万分の 1 地質図幅).産総研地質調査総合センター,72p.