蛇行だって色々あるさ だって地形だもの:徳島県南部山間地域【ふるさと探訪vol.10】
徳島県の南部山間地域は遥か昔から海の堆積物がペタペタくっついてできた地域でした。
今回はそんな南部山間地域を流れる川のお話し。
場所は?
地形図で確認してみましょう。
上図の着色された地域が南部山間地域です。
阿南市、那賀町、美波町、牟岐町、海陽町それぞれの一部地域です。
今回はこの中の那賀町北東部を詳しく見ていきます。
地形を見る
さっそく行ってみましょう!
前回からずっと、北東に見える蛇行が気になっていました。
コレです。いくら何でも蛇行しすぎじゃないですか?(笑)
しかも一部では、蛇行の間がつながっているようにも見えます。
拡大してみると、真ん中の蛇行の西側は、今は川が流れていないようにも見えます。また他にもいくつか蛇行の跡らしきものが見えます。
やはり西側は蛇行の跡のようです。
小さい川は流れていますが、大きな川は流れていません。
この大きな川は那賀川(なかがわ)です。
おそらく過去の那賀川は青線のように流れてましたが、赤点線部分の山が浸食されて無くなり、今の流れになったと考えられます。
そのため西の蛇行が取り残され、広い平坦地になりました。
那賀川が運んだ土砂が堆積してできた平坦地。
取り残されて間もなくは湿地だったと思われます。那賀川は流れていなくても小さい川は流れ込んできますし、水田に適した土地です。
やはり水田地帯のようです。
かなり多くの家がありますよね。
真ん中に山があって周囲をぐるっと集落が取り囲んでいいます。
是非、ここを散歩して一周してみたい♬
地質と地形の関係
地形図を見ていて気になったことがあります。
このあたりはどうも、南北方向よりも東西方向に蛇行が出来ていますよね。
そもそも南北方向よりも東西方向の流れの方が多いように見えなくもない。
それもそのハズ・・。地層の方向が東西方向なんです。
薄い緑色と水色は新しめの河川堆積物なので無視しちゃってください。
これ以外の地質で、オレンジに注目!
これはチャート(もとはプランクトンの殻が堆積したもの)です。
周りの灰色は泥岩で、その中にチャート層が何枚も挟まっているとイメージすると分かりやすいかも?
泥岩同士や砂岩(黄色)同士の境界は地質図には図示されてませんが、実際にはチャートと同じ方向に地層が重なっています。
断層(黒い太線)の影響などもあるので一概には言えませんが、このあたりの地形は地層の東西方向の影響を受けてると考えられます。
取り残された蛇行の集落
他にも取り残された蛇行があるので見てみましょう。
やや上流の地域です。ありますあります!
でもここは少し荒々しい感じですね。
凹凸が多めで北から南に向かって傾斜しています。
これは恐らく、北~西の急斜面のせいだと思います。
ここを流れる沢が急流なので、その勢いのある水流に削られたのでしょう。
那賀川沿いに一段高い平坦地がありますよね。
おそらく取り残された当初は、全体がこの高さの平坦地だったハズ。
こんな感じで断面を切ってみます。
真ん中あたりはややへこんでいますが、両サイドは同じような標高(130mくらい)です。
おそらく赤点線のような感じで平坦な地形だったと思われます。
今度は少し上流のコチラ。これも取り残された蛇行っぽい。
ここはさっきより穏やかな雰囲気です。
さっきの集落とは逆で、斜面の傾斜が緩やかです(赤点線)。
尾根を挟んだ反対側斜面は急ですよね。どうやらこの周辺地域は北向き斜面が緩やかで、南向き斜面が急なようです。
地層が北向きに傾いてるのが原因と考えられます。
次はここ。でもここ、カタチは蛇行跡っぽいですが平坦地が極端に少ないですね。なぜ??
それもそのハズ!
東を流れる蔭谷川(かげだにがわ)が割と長くて流域面積が大きいんです。
こんな感じです。
だから水量が多めで平坦地が削られたのでしょうね。
以上の様に同じ蛇行跡の平坦地でも、色々な条件で雰囲気が違うのですね。
お読みいただき、ありがとうございました。
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