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あの・・この山、曲がってません??:宮崎県南部平坦~中山間地域【バーチャル観光vol.12】
宮崎県の南部平坦~中山間地域の大部分は、約5600万年前~1400万年前に海に溜まった地層(砂岩、泥岩など)です。
その砂岩や泥岩の山が、よ~く見ると曲がってる??
場所は?
再確認しましょう。
スーパー地形(カシミール3D)より抜粋した画像をもとに筆者作成。
なおカシミール3Dは元データとして国土地理院の「電子国土」を使っているそうです(出典:国土地理院ウェブサイト)
※トップ画像や以下の地形・地図画像すべて引用もとは同じです。
宮崎県は九州の南東部に位置しています。
南東部平坦~中山間地域は上図の⑫地域です。
⑫地域は日南市と串間市のそれぞれの一部地域ですが、今回も串間市がメインになります。
地形を見る
ではさっそく、行ってみましょう。
よ~く見ると、大小様々な台地があちこちに沢山!!
でも今回は台地の少ない南部地域を詳しく見てみましょう。
中心部付近の山地、私はなんだか違和感を感じるんですよね。
どうでしょう?
私自身は、この縮尺の段階で違和感の正体に気づきましたが、みなさんはいかに??
こんな感じで曲がってるように見えませんか???
イヤイヤ、気のせいではないハズ!(笑)
また地形図だけを載せるので、もう1度見てみてください。
ほら、曲がってますよね?
尾根筋も谷や川も曲がってますよ!
このあたりは特に、真ん中付近の尾根3本と間の谷2本、ほぼ平行に曲がってますよね。
まるでニッコリしている口元のよう?
私もこれまで各地の地形を見てきましたが、こんなのなかなか見ないです。
国土地理院地図をかぶせると川筋の青が目立ち、蛇行が分かりやすくなるのでイマイチですが、大局的に見れば、やはり曲がっている!
なんで??
やっぱり地質ですよね???
シームレス地質図V2をかぶせました。
ハイ。一目瞭然。地質も曲がっていますね(笑)
もともと海に溜まった砂や泥の地層が日本列島にくっつき、ギュウギュウ押されて曲がりました。
地層が曲がっていることを褶曲(しゅうきょく)と言います。
決して珍しい現象ではなく、むしろ、だいたいの地層は褶曲しています(※日本の場合は特に)。
でも一定以上の広い地域で、ほぼ同心円状に曲がっているのが珍しいのかもしれません。
あまり小刻みにグニャグニャしてると、さすがに地形に出にくいですし。
ちょうど地形に出やすい程度に曲がっているのかも知れません。
ここでチョット頭の体操です。
紙を下に向かってグニャリと曲げます。これが地層だと褶曲。
この時、底の赤線を地質学では褶曲軸(しゅうきょくじく)と言います。
そしてだいたいの褶曲は素直に水平ではなく、下図のように傾いています。
実際の地層はこのように重なっていますね(表現下手でスミマセン)。
ちなみに私たちは地面しか見えていませんよね。
大きい地球で100~200mの起伏なぞ誤差。ほぼ水平です。
ということで、下図のように左に傾くと、左側ほど上の地層が見えることになります(青線が水平線です)。
実際の地質図で考えましょう。
ちょっと複雑なので、青点線などいくつか軸がありますが、分かりやすさのために赤点線の軸だけ考えてください。
これを軸に下に地層を曲げ、北に傾けます。
そうすると、南から北へ、同心円状に上の地層(新しい地層)が見えることになります。
どうでしょう?
想像できましたか?
硬い地層が山になり、軟らかい地層が谷になり、その地層ごと曲がっているため、山や谷が曲がっているのでしょう。
バーチャル観光
では、3Dで見てみましょう。
3Dで見ると特に分かりやすくないですか?
地層が北に傾いているので、北向き斜面はほぼ地層面です。
ですので北向き斜面がゆるやかで、逆が急斜面。こういう地形をケスタ地形と言いますが、この地域はケスタ地形ごと曲がっています!
地形の曲がりと地質が合ってますよね。
西から見ています。
どうでしょう?
左側(北)に傾いた板(地層)が積み重なっているように見えませんか?
こんな感じです。
そのイメージのまま、もう1度。
ほら!
下向きに曲がって北に傾いた地層がつくる地形、見えてきませんか?
見えますよね!!(ゴリ押し笑)
いかがでしたか?
地層の褶曲がここまで地形に見えるなんて、私は初めてでした。
その場所に行けば分かるものではなく、飛行機からじゃないと見えない景色ですよね。
スーパー地形アプリのおかげです!!
お読みいただきありがとうございました。