「堰き止め」なんてもんじゃない?: 謎のへっこみ地形があるよ♬part3【都道府県シリーズvol.10富山県part2 東部山間地域no.2-3】
富山県上市町のとある山間地域に見られる謎の凹地はおそらく、谷の堰き止めでできたと考えられます。
前回までの検証では、凹地の西と南南東に隣接する谷が堰き止められたと考えられます。
前回記事は以下を参照ください👇
場所は?
一応、場所の再確認です。
富山県北東部に位置する上市町(上図赤)が舞台です。
「へっこみ地形」は上市町南西部(上図赤丸)にあります。
国土地理院地形図をかぶせました。
道路があった方が分かりやすいですよね。
西の谷の堰き止めはなかった?
前回までの考察がやや中途半端だったので、さらっと補足説明です。
もう1度平面図を見てみましょう。実は上の図を見るだけでも「西の谷が上図水色の流路だった可能性は低い」と想定できます。
と言うのも、そもそも凹地が北北西-南南東方向に伸びているので、青点線の支流があったと考えられます。でもこの支流の傾斜は極端に緩やかですし、源頭部の標高が低くて不自然です。
断面図を見ると青矢印区間と赤矢印区間では勾配が明らかに違います。よっぽど地質の違いがない限り、ここまでの違いは見られないので、やはり不自然です。
完全否定はできませんが「ありそうにない」が私の結論です。
南南東の谷は?
では最後に残った「南南東」の谷はどうでしょう?
このようなルートで断面を切ります。
青矢印区間が凹地です。
これもまた、勾配が急激に変わっています。凹地と下流部で標高は概ね同じですし、凹地を含めた下流域はすべて同じ堆積物でできているようにも見えます。
「地形だけ」で見ると分かりやすいのですが、凹地から南南東へ「スジ」が見えますよね。
凹地ができた当初は水が溜まったでしょうが、ある時に溢れ、青矢印のように流れたと考えられます。
また赤丸内には、いかにも流れてきた土砂が溜まったかのような地形が見られますし、南の方から流れてきた土砂が凹地の谷を堰き止めた可能性があります。
南には何がある?
と言うことで、凹地より南の地形を見てみましょう。
まずは思いっきり引いて、広い範囲を確認します。
赤丸が凹地です。
これは想像以上に凄い地形でした!
真ん中よりやや下にある「大沢」の東にある神社の南の斜面は、明らかに過去の崩壊跡だと思います。
このように、青線の範囲で山が崩れ、青点線の範囲にその土砂が堆積したと考えられます。でも直感的に崩壊規模に対して土砂が多すぎるという印象を受けますし、青点線範囲の北西や東の地域も地形が乱れています。この範囲にも崩壊土砂が堆積しているような・・・。
・・と思ってさらに引いて見てみたら、ゲゲゲゲ!!
かなり広範囲にわたって乱れた地形が広がっています!!!
これは「谷の堰き止め」なんてものではなく、とんでもないスケールの大きな出来事が、過去にあったのかもしれません。
次回へ続きます!