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高い山は大陸の名残、低い山は日本列島形成史を刻む:東部山間地域【都道府県シリーズvol.10富山県part2】
都道府県別に地形と地質の特徴をザックリ見ていくシリーズ。
2周目第4弾は富山県です!
今回はメンバーシップ参加者のリクエストと言う新たな試みです。
松井さん、リクエストありがとうございます♬
富山県全体については、以下リンクを参照ください。
この記事に他の富山県の記事のリンクが貼ってあります。
場所の再確認
地理が苦手な人のためにも、まずは場所の再確認です。
![](https://assets.st-note.com/img/1658277641035-Do55RLp0nH.jpg?width=1200)
スーパー地形(カシミール3D)より抜粋した画像をもとに筆者作成。 なおカシミール3Dは元データとして国土地理院の「電子国土」を使っているそうです(出典:国土地理院ウェブサイト) ※トップ画像や以下の地形・地図画像すべて引用もとは同じです。
富山県は新潟・長野・岐阜・石川に囲まれた日本海に面する県です。
![](https://assets.st-note.com/img/1658277744882-o97etj3fDI.jpg?width=1200)
富山県は地形的に8の地域に区分でき(※筆者の個人的見解)、今回は②の東部山間地域がテーマです。
![](https://assets.st-note.com/img/1658278373032-I4f6sZBabb.jpg?width=1200)
②地域は朝日町(あさひまち)・入善町(にゅうぜんまち)・黒部市(くろべし)・魚津市(うおづし)・滑川市(なめりかわし)・上市町(かみいちまち)・立山町(たてやままち)それぞれの一部地域です。
地形を見る
ではさっそく行ってみましょう♬
![](https://assets.st-note.com/img/1658279705558-WtOMmeriLO.jpg?width=1200)
東の濃い茶色をメインとする山地は標高2000~3000m超の高山地域で飛騨山脈と呼ばれ、通称は北アルプスです。
今回のテーマである東部山間地域は、この山脈中腹部の北西向き斜面です。
![](https://assets.st-note.com/img/1658281181132-Mf7ra5Ecp2.jpg?width=1200)
地域範囲を入れました。
北西~西方向へ流れる河川が山地を貫いています。それぞれ急流で土砂流出が多いためか、下流には綺麗な扇状地が発達しています。
この地域は祖父母の故郷と言うこともあり、キャンプに行ったことがあります。山地が山に迫っているため、キャンプ場から海を一望でき、夕日が綺麗でとても良いところでした。
大地の成り立ち
ではこの地域一帯が、どのような経緯をたどってつくられたのか?見てみましょう。大きく分けて5つのステージになります。
〇ステージ1:中生代三畳紀(約2億5000万~2億年前)
この時代、日本はまだユーラシア大陸の一部でした。その大陸縁辺部に花崗岩が貫入し、そのマグマに焼かれて変成してできた片麻岩(へんまがん:泥質、石灰質片麻岩など)が分布しています。
下図の黄色で囲まれた枠内の紫色が花崗岩、濃い紫色が泥質片麻岩、青が石灰質片麻岩です。
また黄色枠内北東部の濃い茶色は、地下深くで圧力で変成してできた泥質片岩(でいしつへんがん)です。
![](https://assets.st-note.com/img/1658292709511-KAtle8DSVZ.jpg?width=1200)
〇ステージ2:中生代ジュラ紀~白亜紀(約2億~6600万年前)
このステージは、さらに3段階に分かれます。まだ大陸の一部です。
①前期ジュラ紀~中期ジュラ紀(約2億~1億6000万年前)
花崗岩や花崗閃緑岩が貫入します。
下図の紫色が花崗岩、南の赤が花崗閃緑岩です。
![](https://assets.st-note.com/img/1658295495818-MbTCrFknXN.jpg?width=1200)
②前期白亜紀の後期(約1億2500~1億年前)
陸性の礫岩や砂岩泥岩互層が堆積します。
黄色枠内のベージュが礫岩、南部の薄緑色が砂岩泥岩互層です。この砂岩泥岩互層の地層名は、恐竜化石の産出地層として有名な手取層群ですが、残念ながらこの地域では恐竜化石は見つかっていないようです。
![](https://assets.st-note.com/img/1658296007639-hqZrMgCeaf.jpg?width=1200)
③後期白亜紀の後期(約8400万~6600万年前)
花崗閃緑岩が貫入します。
2つ上の図(富山県東部山間地域地質図ステージ2①・③)の北東部の黄色枠内の赤色が花崗閃緑岩です。
〇ステージ3:新生代古第三紀暁新世(ぎょうしんせい)前期~始新世(ししんせい)前期(約6600万~4800万年前)
まだまだ日本は大陸の一部です。
陸上の火山活動が活発化し、流紋岩質の溶岩や火砕流が噴出します。火砕流は部分的に溶結凝灰岩になっています。
下図黄色枠内の薄いベージュが流紋岩質溶岩・凝灰岩類です。
![](https://assets.st-note.com/img/1658296906746-8kIWkNVGJi.jpg?width=1200)
〇ステージ4:新生代新第三紀中新世(約2000万~720万年前)
大陸縁辺部で火山活動が活発化し、大陸が裂けて日本海や日本列島が形成されます。はじめに安山岩~デイサイト質の溶岩や凝灰岩類が噴出・堆積し、その上に海に堆積した礫岩・砂岩・泥岩が見られます。
下図のベージュが溶岩・凝灰岩類。茶色が礫岩、薄いベージュが砂岩、水色が泥岩です。
![](https://assets.st-note.com/img/1658297550481-nkXyK1ja4C.jpg?width=1200)
〇ステージ5:新生代第四紀更新世~完新世(約258万年前~現在)
日本列島は現在とほぼ同様の位置に落ち着き、海に堆積した泥岩や、河川の堆積物(段丘堆積物や扇状地堆積物など)が堆積し、現在に至ります。
また一部地域(下図南部の茶色)では火山活動が起こりました。
![](https://assets.st-note.com/img/1658298399771-zJX4ejwhyV.jpg?width=1200)
まさに、大陸時代から日本列島形成までを通して見ることができる地域ですね。
長くなってしまいましたが、今回はここまで。
次回からは、この地域内の気になる地域を詳しく見ていきます。
お読みいただき、ありがとうございました。
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参考文献
野沢 保・坂本 亨(1958)5萬分の1地質図幅説明書「五百石」 . 地質調査所,68 p.
竹内 誠・古川竜太・長森英明・及川輝樹(2017)泊地域の地質.地域地質研究報告(5 万分の1地質図幅),産総研地質調査総合センター,121 p.