蛇行の中で生きていく:和歌山県中央部山間地域【流域を考える旅vol.18】
前回は日高川のホレボレするような蛇行っぷりを見ていきました(笑)
でも山間地域での蛇行は、小さいながらも平坦地をつくり、人が住める場所になっています。
そう考えると、蛇行って人間にとって大切ですよね。
今回も引き続き、日高川の蛇行を見てみましょう。
場所は?
前回を見ていない人もいるでしょうから、ザッとおさらいです。
スーパー地形(カシミール3D)より抜粋した画像をもとに筆者作成。
なおカシミール3Dは元データとして国土地理院の「電子国土」を使っているそうです(出典:国土地理院ウェブサイト)
※トップ画像や以下の地形・地図画像すべて引用もとは同じです。
中央部山間地域は図の⑦です。
上の10市町それぞれの一部地域になっております。
今回も有田川町がメインです。
蛇行!
では早速、見に行ってみましょう。
前回はここまででしたが、実は右端のあたりに、ものすご~く気になる箇所があるんです!
真ん中より少し下です。
標高の低い痩せ尾根を国道が通っている箇所です。
拡大しました。これ、けっこう怖いですよね。
大雨で増水したら、溢れて西へ流れそうです。
民家が沢山ありますし、そうなったら大惨事・・。
こうなってしまったら??
と思うと、本当に恐ろしいですよね。
でも、さらに拡大したら、凄いものを発見しました!
お気づきでしょうか?
上流のダムで水を溜めて取水して(右の赤丸)、トンネル水路で西へ流し、落差を利用して水力発電をしているようです。
左の赤丸が「発電所」の記号です。
検索してみたら、この様なサイトを見つけました。
http://www.suiryoku.com/gallery/wakayama/kosikata/kosikata.html
やはり水力発電所だそうです。
ただ残念ながら発電所建設の経緯までは分かりませんでした。
①洪水対策でダムとトンネル水路を建設する計画が先にあり、せっかくだから発電もしよう
②洪水対策と発電の一石二鳥!
③洪水対策ではなく、発電目的だけで建設
果たして、どのパターンなのか?
これはいずれ、現地見学も兼ねて電力会社に取材してみたい!
蛇行の中で生きる人々
さらに上流を見ていきましょう。
大きなダムがあって、その西(図の真ん中)に大きな平坦地があります。
地質図を見てみると、平坦地の北の端っこは断層の影響でできた地形のようです。でも平坦地そのものは付加体の泥岩砂岩互層(緑色)で、周囲と地質は同じ。
地形を見る限り、おそらくここも昔、河川が流れた跡なのだと思います。
ここの場合は逆に、以前はまっすぐに流れていたのが、ある時から蛇行が大きくなったのでしょう。
一段高い段丘状の地形なので、おそらく地質は段丘堆積物だろうと思われます。20万分の1地質図でも記載がないので、おそらく小規模なので省略されているのでしょう。(※5万分の1地質図はつくられていませんでした)
さらに上流にはこんな場所が!!
小森という集落・・。これぞまさに蛇行跡!!
周囲を急斜面に囲まれていて、隠れ里感があっていい感じですね。
でも幸い、南側は開けているので日当たりは良さそうです。
空中写真3Dは、ちょっと見づらいですね。
地形図の方が見やすい!
ドーナツ状でかわいらしいですね。
真ん中に小山があったり、これは是非、現地を散歩してみたい!
やはり蛇行した川沿いを見ていくと、色々な発見があったり、風情のある集落があったり、色々と楽しいですよね。
以上、お読みいただき、ありがとうございました。
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