あれも台地、これも台地!!:宮崎県南部平坦~中山間地域【地元再発見の小旅行vol.27】
宮崎県南部の平坦~中山間地域は姶良火山から噴出した火砕流堆積物で大きな台地がつくられていました。
今回はその火砕流台地をじっくりと見てみましょう。
場所は?
再確認します。
宮崎県は九州の南東部に位置しています。
南部平坦~中山間地域は上図の⑫。
⑫地域は日南市と串間市それぞれの一部地域です。
今回は串間市の台地を見に行きましょう。
地形を見る
ではさっそく見てみましょう。
南西の方に大きめの台地がありますね。
さらに拡大!
中央の大きな台地のほかにもあ、あちこちに大小様々な台地が見えます。
なるほど!地質図をかぶせてみると、台地はことごとく火砕流堆積物(ピンク)ですね!!
さらに拡大しました。
何やら四角がたくさん!綺麗に区画整理されているようです。
やはり、一面が水田や畑です。
色々な緑色がモザイク状になっていて綺麗ですよね。
空中写真3Dです。壮観な景色ですねぇ。
そしてよく見ると綺麗な段差地形になっていますね。東西を流れる川に浸食されたのでしょう。
そして段差の部分は切り立った崖のように見えますね。
拡大してみました。
灰色の崖が長く続いていますね。
なぜ崖になっているのか?
まずは段差を断面図で確認してみましょう。
こんな感じでスパッとやってみます。
やはり綺麗な段差になっています。
そして台地の端っこは崖。
ちょっと奇妙ですね。
と言いいますと・・・
真ん中に小山がありますよね。
周囲が耕作地ですが、ここは人間の手は入っていません。
地質図を見ると、山の部分だけ違う地質でした。
他の場所を見ても、耕作地は火砕流堆積物や河川堆積物です。
軟らかくて耕しやすいのでしょう。
でもちょっと待ってください。じゃあナゼ、端っこは崖なんでしょう??
軟らかい地質なら、こんな崖にはなりにくいと思いませんか??
軟らかいのに崖な謎
火砕流堆積物は、大きく分けると2パターンあります。
火砕流が流れて止まった時にまだ高温だと、その場でいったん溶けて、冷えて固まります。これが溶結凝灰岩で、まるで溶岩かのように硬くなります。
台地なので火山灰などが積もって土壌ができれば耕しやすくはなります。
じゃあ硬いのか軟らかいのかどっち?
これを見てください。
赤丸の箇所はガリ―と呼ばれる地形で、柔らかい地質が浸食されてできる地形です。
そう軟らかいんです。
ということは、未固結~半固結の火山灰層です。俗称でシラスと呼ばれたりします。特に九州南部では多くのシラス台地があります。
この地層が崖をつくる秘密はズバリ火山灰!
火山灰って見た感じ粉ですけど、顕微鏡で見るとこうなんです。
まるで粉々に割れたガラスの破片のようにギザギザしてます。
こういうカタチなので、火山灰粒子同士がガッチリ噛み合っていると、崩れにくい地質になるので崖になるんです。
でも大雨が降って水が浸み込むと、粒子の間に大量の水が入り込んで噛み合わせがほどけてしまう。そうなるとあっという間に崩れてしまいます。
あっちもこっちも
九州南部に多いシラス台地は端っこが崖になっていて、大雨が降ると崩れやすい。そんなことを考えながら眺めてみるのも良いでしょう。
改めて見てみると、台地周辺は灰色ですね。
南の台地も見てみましょう。
やはり周囲は灰色ですね。
台地のはじっこは、ことごとく灰色の崖ですね。
特徴的な景色です。是非、行ってみたい!
ちなみにこの空中写真では灰色に見えていますが、一般的にはシラスは白っぽい地質なので、もう少し薄い灰色や白色です。
だからシラスなんですね(笑)
ひと口に台地と行っても、地質の違いで色々な特徴があるんです。
お読みいただき、ありがとうございました。
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引用文献
村松憲一(2021) 火山灰層の観察—愛知県とその周辺で見られる火山灰層—.名古屋地学83号,p17–24.