山が険しすぎて迂回されちゃってます:中部高山地域【都道府県シリーズvol.39山形県part1】
山形県は地形的特徴から13の地域に区分できます(※筆者個人の見解です)。県の面積としてはそこまで大きい方ではないのですが、1500mを超えるような高い山地が多いのが山形県の特徴です。
今回はその中でもとりわけ山深い中部高山地域を見てみましょう。
場所は?
再確認します。
山形県は東北地方の南西部に位置しています。
中部高山地域は⑦です。
かなり多くの市町村の一部地域となっています。
地形を見る
では行ってみましょう!
内陸の盆地と沿岸部の平野に挟まれた山地です。
地域境界を入れました。
この地域は大局的には、北の火山の山地と西の花崗岩の山地に分かれます。
こんな感じ。
北は月山(がっさん)を中心とする山地。南は朝日(あさひ)山地です。
道路の通し方を見ても、この地域がいかに山深いか分かるかと思います。
南東の赤丸が県庁所在地の山形市ですが、真西に向かって海へ抜けられないんです。
月山と朝日山地の間(月山道)を通るか、新庄まで北上して西へと大きく迂回しないと、酒田・鶴岡方面へ行けないのです。
朝日山地が大きな障壁なんですよね。でもそのおかげで、山形市は県内の他の地域より雪が少ないのだそうです。
山形県の地元の方々は「山形市だけ仙台みたいなもんだ」と言ってましたが、仙台出身の私から見たら「いやいや、山形市でも十分雪多いッス」と思っていましたが(笑)
冬の月山道は物凄く大変でしたね。
ホワイトアウトは本当にヤバいです。
積雪深が3~5mとかになるので道路の横に雪の壁ができるんですが、道路も真っ白、目の前も吹雪で真っ白だと、訳が分からない。
危うく雪の壁に衝突しそうになったこともあります。
数年前から壁に蛍光塗料が塗られるようになってからは走りやすくなりましたが・・。
大地の成り立ち
そんな山深く豪雪地帯な山形県の中部高山地域。
どのような歴史をたどったのか?見ていきましょう。
〇ステージ1:中生代後期白亜紀
まだ恐竜が生きていて、日本が大陸の一部だった時代。約1億年~6600万年前に花崗岩質のマグマが地下深くでゆっくり冷えて固まります。
図の赤線で囲った範囲です。
ピンク色が花崗岩、濃いピンクが花崗閃緑岩です。まさに、朝日山地は花崗岩の山ですね。
また北に少しだけ薄いピンクがありますが、これは流紋岩質の火砕流堆積物です。
〇ステージ2:新生代古第三紀漸新世(ぜんしんせい)前期
恐竜が絶滅した後の、大型哺乳類が繁栄した時代である、約3400~2800万年前。またしてもマグマが貫入し、花崗閃緑岩がつくられます。
赤で囲った範囲内の濃いピンクです。
白亜紀の花崗岩類とこの時代の花崗閃緑岩が、この地域の土台になっています。
〇ステージ3:新生代新第三紀
日本が大陸から分離しはじめてから、今の位置に落ち着いた後も含めた、約2000万~258万年前の期間。
花崗岩類の上に海の堆積物(砂岩・泥岩・礫岩)がたまったり、火山が噴火したりします。
大きく分けて4地域です。
・北東部
あらゆる成分のマグマが噴出しています。
青灰色が玄武岩、黄色がデイサイトや流紋岩、濃い黄色が安山岩など。
また海に溜まった泥岩(水色)や砂岩(薄いベージュ)もあります。
あちこちにポツポツある茶色はデイサイトや流紋岩の貫入岩です。
・西部
茶色の安山岩溶岩類がメインで北の方に泥岩(水色)や砂岩(薄いベージュ)が見られます。
・東部
西が火山岩中心で、茶色が安山岩、薄い黄色が流紋岩。
東は堆積岩類で黄色が砂岩、水色が泥岩です。
・南部
凡例と重なってしまってますが、泥岩や砂岩がメインです。
〇ステージ3:新生代第四紀中期更新世~後期更新世
時代は少し飛んで約77万~1万年前。
月山(がっさん)やその他の火山活動が起こります。
西の大きな範囲が月山です。
茶色が安山岩溶岩類、灰色が岩屑(がんせつ)なだれ堆積物です。
岩屑なだれとは山が大きく崩れ、大量の土砂がなだれのように流れ下る現象のことです。活火山の活動の中で発生することが多く、身近で起こったら?と思うとゾッとするような大災害です。
北東の赤線で囲ったピンク色は肘折(ひじおり)火山の火砕流堆積物です。カルデラをつくるほどの大規模な噴火でした。
また東の赤丸は大高根山(おおたかねやま)の岩屑なだれ堆積物です。もう火山の本体らしきものは残っておらず、岩屑なだれ堆積物だけが残っているといった感じです。
以上となります。
お読みいただきありがとうございました。
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