細かい地形でゾワゾワしよう!:熊本県北東部山間地域【ふるさと探訪vol.5】
熊本県北東部の阿蘇カルデラは非常に目立つ地形ですよね。
しかも九州はおろか山口県にまで火砕流が達するような大噴火を起こしています(※詳しくはコチラ)。
そのカルデラ外縁の地形は一見ノッペリしているようで、実はそうでもないんです。
(※トップ画像はいらすとやより)
場所の再確認
今回見ていく場所は九州のほぼ真ん中、熊本県北東部です。
九州のほぼ真ん中にあるカルデラ(凹地形)、目立ちますよね。
薄い青色で着色した範囲が北東部山間地域です。
今回はこの南部の山都町(やまとちょう)をメインに見ていきます。
意外と凹凸がある!
では行ってみましょう♪
これが阿蘇カルデラと、その周囲の火砕流台地です。
カルデラの南方をアップにしてみました。
だいたい南北方向に細かく谷筋が見えますね。
うおおおお!
何だか最初のイメージと違います。結構、細かく深く谷が刻まれています。
さらに拡大しました。
ガリ―浸食状の谷地形がすごい!
そして北西と南東では少し様子が違って見えませんか?
えええええ!?
凄くないですか?なんだか細かい凹凸がたくさん!
まるで模様♪
いやぁ・・・なんだか背筋がゾワゾワしませんか?
凹凸の正体は?
いやぁ・・ゾワゾワする模様みたいな地形、これ何??
もう少し拡大してみましょう。
ほほ~う・・。
もともと細かい谷地形があり、そこを人間が段々畑にしたように見えますね。
やはり、畑と水田の記号がありますね。
空中写真をかぶせました。確かに畑や水田がたくさん!
少し東の方です。いやぁ・・すんごい細かな凹凸でゾワゾワします(笑)
すごい!
3Dです!うっひょ~
ん??
向こうの方に白いのが見えてるの、何でしょうね?
アップにしてみました~(^^)v
これは・・台地ですね。しかも台地の上にも凹凸があって段々畑がつくられてますね!
地質は?
気になりますよね、気になりますよね??
こんなゾワゾワする地形、絶対に地質が関係してるハズ!(笑)
薄いピンク色は阿蘇4火砕流堆積物でやや濃いピンク色は阿蘇3火砕流堆積物です。つまり台地は火砕流台地で、それが浸食されて下の地層である阿蘇3が浸食されて谷になったので、顔を出しているのでしょう。
そして北東に見える黄緑色は新第三紀中新世(約1500万年前くらい)の流紋岩の溶岩類です。つまり、一昔前の地層で、阿蘇山が大噴火した時代に「地面」だったということです。
地質図の解説書では残念ながら岩質(硬いとか柔らかいとか・・)に関する説明がありませんでした。
火砕流堆積物は溶結凝灰岩になる場合がありますが、その場合は「溶岩なの?」と思うくらいに硬いハズなんです。
その場合、この様なカタチの浸食にはならないと思います。
そうすると、おそらく火山灰と火山岩塊(※安山岩などの大きな硬い岩石のかたまり→数10cmから1mを超える場合も)が混ざった凝灰角礫岩(ぎょうかいかくれきがん)だと想定されます。
時代は約9万年前と地質学的には新しいので、火山灰部分は柔らかく削れやすい。そして例えば火山岩塊の下の火山灰が先に削れ、どこかの段階で岩塊がゴロリと抜け落ちたりする。
そういうタイプの浸食が進めば、細かい凹凸地形ができるのではないかな?と考えられます。
この場所も地形的特徴がハッキリ分かれていますね。
細かい凹凸地形は、火砕流堆積物をはじめとする新しい時代の河川堆積物などの柔らかい地層が分布している場所です。
それ以外の灰色・茶色・緑は中生代のジュラ紀や白亜紀の硬い地層が分布している場所です。
地質によって地形や人間の土地利用の違いが明瞭で面白いですよね。
今回は以上となります。
お読みいただき、ありがとうございました。
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