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岩塊がそこにある意味とは?:ポッコリ山はどのようにできた?その2【都道府県シリーズvol.10富山県part2 東部山間地域no.1-4】

富山県上市町の大日山日石寺には、修行体験ができる「六本滝」があります。この滝の左右にある大きな岩塊がナゼそこにあるのか?
順を追って、なぞ解きを進めていきましょう。

前回記事はコチラ👇

大きな岩塊は以下リンク先のトップ画像で見ることができます。

なお岩塊がそこにある理由として想定されるのは、以下3点です。

①もともと、そこにあった
岩盤が部分的に風化し、風化した部分だけが水に流され、風化しなかった硬い部分だけが岩塊として残った。
②近くの崖から落石してきた
③過去に土石流が起こり、その時に運ばれた
通常の川の流れでは直径2mを超えるような岩塊は運ばれませんが、土石流であれば運ばれます。
(※土石流で運ばれる岩塊の大きさにも限界はあります。)

地質図を確認しよう

①の可能性を検証するため、地質図を見てみましょう。

大岩山日石寺周辺の地質図:シームレス地質図V2を表示したスーパー地形画像に筆者一部加筆

上図の赤丸は「六本滝」です。グーグルマップで確認し、概ねの場所にプロットしています。
図の水色は新第三紀の前~中期あたりの約1500万~730万年前泥岩です。
つまり大岩山日石寺のは泥岩の地盤の上に建っていることになります。
泥岩は一般的に風化しやすく、地上に出ると水の影響でボロボロになりやすいので、大きな岩塊としては残りにくい岩石です。

したがって「①」の可能性はなさそうです。

地形図を詳しく見る

今度は②と③の検証のため、地形図を詳しく見てみましょう。

六本滝位置図:スーパー地形画像に筆者一部加筆

赤丸が六本滝の位置です。
周囲には「崖」であろう段差地形は見られません。
よって「②」の可能性もなさそうです。

一方、すぐ北にはゴツゴツした「岩の記号」があるので渓流だと考えられます。渓流であれば、過去に何度も土石流が発生したと考えられます。
では六本滝の場所に過去、土石流が達しているか?地形図で検証します。

六本滝周辺地形図:スーパー地形画像に筆者一部加筆

地形条件から、過去に土石流堆積物が堆積した可能性がありそうな範囲を赤点線で囲ってみました。
ギリギリ、範囲外ですね。
もちろん絶対にないとは言い切れませんが、可能性は低そうです。

地形図をもう少し詳しく見る

じゃ、どういうことよ?となりますが、ご安心ください!
もう1度、地形図を詳しく見てみましょう。

六本滝周辺地形図②:スーパー地形画像に筆者一部加筆

よ~く見てみてください。何か気づきませんか?

六本滝周辺地形図③:スーパー地形画像に筆者一部加筆

周囲の緩やかな斜面には、モコモコとしたシワ状の段差地形が見られます。
このような地形をつくる可能性のある現象として考えられるのは「地すべり」です。
地すべりは地表現象ですので、小規模な場合は地質図には記載せず、地すべりの地下にある地層が記載されます。
ここの場合、スーパー地形のスケールでは明確に地すべり地形と言える地形は見られないため、地すべりだとしても小規模でしょう。
何より泥岩の分布地域であれば、地すべりの可能性は高いです。

つまり3つの理由のうち①の変則バージョンの可能性が浮上しました。

それはいったい、どういうことでしょうか?
次回へ続きます。

お読みいただき、ありがとうございました。


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