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まるで万里の長城??「細長い丘」のナゾ:沖縄本島南部平坦~中山間地域【地元再発見の小旅行vol.25】
沖縄半島南部は約700万年前以降の比較的新しい地層が分布していて、平坦な地形が広がっています。
今回はその南端部の不思議な地形を見に行きましょう♬
場所は?
確認しましょう。
スーパー地形(カシミール3D)より抜粋した画像をもとに筆者作成。
なおカシミール3Dは元データとして国土地理院の「電子国土」を使っているそうです(出典:国土地理院ウェブサイト)
※トップ画像や以下の地形・地図画像すべて引用もとは同じです。
※トップ画像の3Dは高さを5倍にしています。
本島南部平坦~中山間地域は上図の18市町村それぞれの一部地域です。
今回はこの中の糸満市と八重瀬町の地形と地質を見ていきます。
地形を見る
早速、行ってみましょう!
やはり大部分が平坦ですね!
南部をアップにしました。
内陸部が大地になっていて、沿岸部は標高の低い平坦地になっています。
さらにズーム!
問題の場所はここなんです。何か気づきませんか?
南部をさらに拡大です。
この細長い山、やけに真っすぐ続くし、あまり見ない地形ですよね。
もしかしたら遺跡など人工的な地形でしょうか?
万里の長城みたいに、防壁としてつくられたとか?
しかし国土地理院地形図をかぶせて見ても、遺跡っぽい記述はありません。
普通の山のような感じです。
さらにアップです。
幅は50~100mくらい。周囲との標高差は10~20m。
山と言うより「丘」と言うのが適切なほど低い山地です。
空中写真をかぶせました。
うん、普通に山ですね。
しかも一か所ではないんですよね。
細長い丘のような地形を赤点線でなぞってみました。
あちこちにありますね。
苦痛写真3Dです。高さを2倍に強調してます。
面白い地形ですよね。
このnoteを通じて日本全国あちこちの地形を見ましたが、こんなの初めてです。
地質図を見る
いったい、何が原因でできた地形なのか?
謎が解けるか半信半疑で地質図を見てみたら・・
何と、一発で分かってしまいました(笑)
断層ですね。
並べるので、見比べて見てください。
水色~青緑色が約258万年~13万年前のサンゴ礁起源の石灰岩です。
そして網の目のように描かれている黒線が断層です。
断層と細長い丘がほぼほぼ対応していますよね。
普通は、逆なんですよ。
断層は、言わば地層が壊れた箇所です。何度も動き、バキバキに割れて粉々になり、粘土になります。
周囲の岩石よりも弱く柔らかいので、削れやすい。
つまり凹地になるのが普通。凸地になるなんて、私は初めて見ました。
これは周囲が石灰岩だからでしょう。
粘土も浸食に弱いですが、石灰岩は水で溶けやすいので、粘土よりも浸食が早いのでしょう。
しかも粘土の方が植物が育ちやすいでしょうから、草木に守られ、さらに浸食されにくくなったのでしょうね。
バーチャルツアー
では、とても珍しい断層粘土の細長い丘を見物しましょう。
細長い緑が網目状に広がっています。
空中写真3Dです。
高さを2倍にしています。
細長い丘を眺めながら、このあたりを散歩するのも楽しそうです。
見事に重なりますよね♬
これだけ高さ5倍です!
いかがでしたか?
まるで遺跡のようにも思えた細長い丘は、なんと断層でした。
本来なら削れやすい断層ですが、周囲が石灰岩の場合は逆に山になってしまうとは・・私も勉強になりました。
お読みいただき、ありがとうございました。